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乱舞な宴

「貴女方にはこれから勇者と共に魔王討伐の旅に出ていただきます」
それを聞いて俺は驚愕した。
まさか自分がそのような立場に置かれるとは夢にも思っていなかったからである。
しかし、断ることも出来ずに仕方なく承諾するしかなかったんだ。
こうして俺は異世界での生活を始めたんだけど、最初は不安しかなかったよ?
「あ、あの、あなたは一体何者なんですか? どうして俺達にこんなことをさせるんですか?」
俺は思い切って聞いてみたんだが、返ってきた答えは意外なものだった。
なんと彼らの正体は魔王軍だということが判明したのだ。
つまり俺達は魔王を倒すために召喚されたということらしい。
そんな馬鹿なとは思ったが、実際問題として起こってしまっている以上信じるしかなかったのである。
そして俺達は旅に出ることになったのだが、その前に一つ忠告を受けたんだ。
それは何があっても勇者様に逆らわないようにということだった。
もし逆らったりしたら命はないと思った方がいいと言われたくらいだから相当ヤバいことなんだろうなぁと思ったものだ。
正直不安だらけではあるが、今は従うしか方法はないと思い我慢することにしたというわけだ。
そんな訳で旅が始まったわけだが、最初の内は慣れずに苦労の連続だった。
「聖女様方、どうか魔王を討伐してくだされ」
王様にそう言われ、俺達は渋々了承することにしたのだが、正直なところあまり乗り気ではなかった。
そもそも俺達は普通の女の子であって、戦いなんてできるはずがないと思っていたからだ。
だが、現実はそう甘くはなかったようだ。
旅を続けるうちに俺達は次第に強くなっていったのである。
それは自分でも驚くほどの成長だったと言えるだろう。
そんな最中、ついに魔王と対峙する機会が訪れたのだ。
相手は強敵だったが、何とか勝利を収めることができたんだ。
そして遂に俺達は世界を救った英雄として讃えられるようになったんだけど、それと同時に新たな問題が浮上してきたんだ。
なんと、俺達が元の世界に帰ることができないというのだ。
しかも、この世界で一生を過ごすことになると言われてしまい途方に暮れてしまうことになったのだ。
そんな訳で俺たちはこの世界で生きていく覚悟を決めることになったんだが、ここで問題が発生したんだ。
「聖女様方、どうか魔王を討伐してくだされ」
王様にそう言われ、俺達は渋々了承することにしたのだが、正直なところあまり乗り気ではなかった。
そもそも俺達は普通の人間であって、戦いなんてできるはずがないと思っていたからだ。
だが、現実はそう甘くはなかったようだ。
彼女は俺の問いかけを無視して再び歩き出そうとしていたが、そんな彼女の腕を掴むと強引にこちらを振り向かせてキスをしたんだ。
最初は驚いていた彼女だったが次第に受け入れてくれて舌を絡め合うような濃厚なディープキスとなったのである。
「ふふっ♡ これで私の罠にはまったも同然ね♡」
そう言うと彼女は嬉しそうな表情を浮かべながら立ち上がりましたわ。
そして、彼女の言葉の意味を理解するよりも早く彼女の策略が動き出したのですの。
突然現れた無数の触手たちによって身動きが取れなくなってしまった俺はあっという間に拘束されてしまったのですわ。
しかもそれだけじゃありませんの、
「なっ、何だこれは!?  一体どうなっているんだ!?」
「うふふ、もう逃げられないわよ♡」
そう言いながら近づいてくる彼女に恐怖を感じた俺は必死に抵抗するが、全く歯が立たなかった。
それどころか抵抗すればするほど強く締め付けられていってしまう始末だ。
結局為す術もなく捕まってしまった俺だったが、その後すぐに不思議な感覚に襲われたんだ。
俺は、その感覚に戸惑いながらも次第に気持ち良くなっていった。
そして、気がつくと完全に彼女の虜となってしまっていたんだ。
それからというもの、毎晩のように彼女と愛し合う日々を送っていたよ。
でもそれも悪くないと思っていたし、彼女も楽しそうにしてくれていたからお互いそれで満足していたと思う。
そんなある日の事だったかな? いつものように彼女と愛を深め合っていた時にふと気づいたんだよ。
彼女の身体の中にもう一つの何かが存在しているという事にな……
それは、彼女の中にある闇の部分だと思われるんだが彼女はそれを隠そうとしなかった。
むしろ見せ付けてきたのだ。
まるで俺のことを受け入れてくれるかのようにね。
そして遂にその日がやってきたんだ。
「ねぇ、今日は特別なことをしてあげようと思うのだけれど」
彼女はそう言うと俺の上に跨ってきたんだ。
そして次の瞬間、信じられない光景を目にしてしまったんだよ。
俺は思わず息をのんでしまう、そう、彼女の乱舞が余りに綺麗で美しかったからだ。
それはまさに芸術と言い表すべきものであり、俺は完全に虜になってしまったよ。
「この踊りは普段見せないのよ」
「そうなのか、これはずっと見ていたいな」
そう言っているうちにある事に気づいたんだ。
そう、この乱舞を行っている間は彼女の動きが止まっていたのだと気づいた瞬間、俺は不意にその場に立ち止まった。
ただジッと見つめているだけの時間をどれだけ過ごしたであろうか、気が遠くなりそうになったものの辛抱強く待ち続けていた結果ついにその時は訪れることとなるのだ。
その舞が余りに綺麗すぎて気付かなかった。
何故他の人が見れないのか?
それは最後まで見ると、死んでいるからなのだと……
そう、彼女こそがこの舞いを踊り続けていた本人だったんだよ。
そして、その舞の最後に彼女はこう言ったんだ。
「この舞をけして言わないで下さい、出ないと、命はありませんよ」
と……、その表情が余りにも恐ろしく、俺は断腸の思いで秘密にすることを約束するのだった。
正直言うと今でも気が気ではないのは事実ではあるが、彼女を護るためならば、安いものだとも思う自分がいるのだ。
例えそれで自分の命を落としたとしても悔いはないだろうなと思うほど愛している自覚があるのだから不思議なものなのでした。
しかし、彼女はその舞を俺以外の他の人に見せているのも見た事がある。
そう、それは彼女が暮らしている村の人々であり、皆彼女の踊りを見て感動して涙を流す者までいたほどだ。
そんな彼女は村の人気者でもあったのだ。
だからこそ心配でもあるんだが、そんな俺の気持ちを察したのだろうか?
「大丈夫よ、私が護る」
と言って優しく抱きしめてくれたんだ。
そんな出来事があった後も相変わらず彼女との生活を続けていたわけだがある日の事、俺はふと疑問を抱くようになったのだ。
彼女は本当に人間なのかという事をだ……何故なら彼女には謎が多いからである。
そもそも何故こんな所に一人で住んでいるのか?
何故あんな場所で一人きりで生活しているのかなど色々と不思議に感じることがあるからだ。
そこで思い切って聞いてみることにしたんだよ。
そして返ってきた返答は俺の想像を超えるものだったんだ。

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