幸せになります
私の結婚式に両親は出席していなかった。席は用意してあるのだが、私たちが付き合い始めた頃に死んでいた。
両親を亡くした私を彼は優しく支えてくれた。私の両親の死が、私たちの仲を深くさせたと言ってもいい。
式場の方も、私の両親がいないことを気にさせないような素晴らしい式の進行で、途中、私は、ついうれし泣きをしてしまった。結婚式の出席者には、両親に自分の晴れ姿を見せられなくて泣いているように見えたかもしれない。
私の両親がこの式に出れないのは当然だった。私は彼と付き合うために両親を古き神への生贄に使った。彼は美形で人気があったから、邪道な手を使わなければ、手に入れられないと思ってのことだ。
親なら、子供の幸せを第一に考えてくれるはず。
「あなたたちの犠牲は無駄にしません。私たちは幸せになります」
私は誰も座っていない両親の席を見ながら、心の中でそう誓った。