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逃避行

「猫はおいてけよ、猫は」
「なんで! あたしの猫じゃない!?」
「俺だって餌の世話やトイレの始末をやっただろ」
「この子を拾ってきたのはあたし」
「なんだよ、出て行くなら一人で出てていけ」
「な・・・、なにするの、暴力をふるうつもり、そんなことしたら訴えてやるから」
「黙れ、ブス」
「な、なによ、痛いじゃない、そんなもので叩かれたら死んじゃうでしょ」
「うるせえ、死ねよ」
「あ、いやぁぁぁっ!」
「ち、やっと静かに・・・、ん、みぃちゃんは? 今の騒ぎでびっくりして外に逃げたか。しょうがないな、腹が減ったらみぃちゃんも帰ってくるだろう。それから、この遺体を、片づけて、いっそ、このまま放置して、みぃちゃんと一緒に、どこかに逃げるか・・・」
「ふっ、猫と逃避行というのも面白いか」

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