ウェーイ!
散々私に暴力を振るいまくったうどんは、息切れを起こしていた。
こいつどんだけ私のこと嫌いなんだよ。
そこまで必死になることないだろうに。
なんか逆に哀れな奴だ。
「はぁ……はぁ……。こんなもんにしといてやるわ。さーて。それじゃあちょっとしたいたずらでもしようかしら」
うどんは私にウィンクしてから、テレビとソファの間にある低い机によじ登った。
私なら軽くジャンプするだけで届くのに、うどんは必死こいてよじ登っている。
ウケる。
なんとか登り終えたうどんは、すぐにテーブルの上に置かれたティッシュ箱に駆け寄り、それに体当たりしてテーブルから落とした。
そして
「ウェーイ!」
と、頭の悪そうな掛け声と共に、床に落下したティッシュ箱の上に着地した。
それからはお察しの通り、無駄にティッシュを引き抜きまくった。
定番のいたずらだ。
無意味にティッシュが散乱する。
それを見ていると本能を刺激されて私もやりたくなったが、グッと堪えた。
ここで一緒になってやってしまえば、さっき叩かれるのを我慢した意味が無くなるし、計画が破綻する。
一時の楽しさよりも優先しなければならないことが私にはあるのだ。
堪えろ私。
「たのっしぃー!」
うどんは無邪気に暴れている。
……ふっ、ぷぷ、フハハハハ!
あの場所は角度的にカメラに映っている。
普段ならギリギリ映らないのだが、私が調整したことで多分映るようになっているはずだ。
ご主人が帰ってきた時のことを考えた私は口角が上がるのを抑えられなかった。