角度調整
私はご主人が出て行ってすぐにカメラを見た。
そして視線をカメラから外さないままゆっくりと歩いてダイニングテーブルに近づくと、ジャンプしてテーブルに飛び乗った。
この時に注意するべきなのは、カメラに私の姿が映り続けるようにすることだ。
これは私がカメラの範囲外で悪さをしていないことの証明になる。
今日一日、私はカメラに映り続けるつもりだ。
これでご主人が帰ってきた時にカメラの範囲外でいたずらを発見して映像を確認することになれば、私の勝ちになる。
それは確実に私の仕業ではないからだ。
カメラの目の前に立ち塞がった私は、カメラに軽く猫パンチを繰り出した。
角度調整のためだ。
今日一日カメラに映っている範囲でしか過ごせないのだから、なるべくその範囲を過ごしやすくした方がいい。
私は昼間に窓から差し込んでくる光が当たる場所のあたりを向くようにカメラをポコポコ殴った。
こんなもんだろう。
テーブルから床に着地すると、カメラに映る映像のおそらく真ん中あたりに寝っ転がった。
完璧だ。
もう少し時間が経てば、窓からいい感じの光が差し込んでくることだろう。
ポカポカ陽気に包まれてお昼寝ができる。
いつも奴が起き出してくるのも、もう少し時間が経ってからだし、ひと眠りしよう。