第二話🌿妊娠ともう一つの秘密と三人の約束
あれ? 生理遅れてる?
それに、最近あまり食欲がないしすぐに疲れてしまう。
僕は仕事の帰りに薬局に寄った。
“アレ”を買うために……
きちんと病院に行かないと分からないけど、結果は“陽性”。
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「話ってなんだ?」
嫌がらせされているのを見つかってから何かと
心配してくれる夜野田先生に
話しがあるからと家に呼んだ。
『僕が学校で嫌がらせ
されているのは知っていますよね?』
あの二人もバレないように
やっているが偶々、あの時は
夜野田先生に見つかった。
「あぁ、知っている。
まさか、あれ以上の嫌がらせをされたのか⁉」
あぁ、心配をかけてしまった(苦笑)
『いえ、あれ以上のことはされてないです。
今日はちょっと違う話を』
僕は全て話した。
★凌杏との関係。
★《両性具有》で
現在妊娠中なこと。
「妊娠しているなら
色々と大変だろう。
向瀬先生に全部ちゃんと話なせ」
“全部”には嫌がらせのことも
含まれているんだよね?
「妊娠のことはともかく
嫌がらせのことは
言いにくいだろうけど、
もう、一人の
身体じゃないんだからな」
そうだ。
僕のお腹には赤ちゃんがいる。
「一人で言いにくいなら
俺も一緒に居るから」
実父より父親みたいだ……
『ありがとうございます。
夜野田先生は僕の
“お父さん”みたいです』
思ったことが
そのまま言葉として出てしまった。
『一つ、訊いていいですか?
僕が妊娠してるって
言っても驚かなかったですよね?』
そう、さっき感じた小さな違和感。
「昔の恋人が
両性具有だったからな」
今、サラッと凄いこと言ったよね……
「今は親友だ」
そうなんだ。
「その子が生まれたら
二人にあいつを紹介しよう。
それと、俺のこと
【父さん】と呼んでもいいんだぞ?」
さっき、
あんなこと言ったから(苦笑)
「向瀬先生には
【父さま】と呼ばせてみるかな(笑)」
夜野田先生は楽しそうに言った。
『【父さん】』
何となく呼んでみた。
実父とは小さい頃から
殆ど話さないから
あまり父親だと思っていない。
「俺は【心綺】って呼ぶかな」
新鮮な響きだ。
『じゃぁ、凌杏のことは
【りあ】とかどうですか?』
今此処にいない恋人の呼び方を
勝手に決めてみる。
「いいなそれ♬*゜
一つ言い忘れてたが、敬語はなしだ」
プライベートだし、【父さん】と
呼ぶならそうなるよね。
『わかった』
この後、凌杏を呼び、
“全部”話した。
夜野田先生改めて【父さん】は
僕を【心綺】、
凌杏を【りあ】と呼び
凌杏は【雅和さん】と呼んだ。
流石に【父さま】は
恥ずかしかったみたいだ。