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「さあさあ皆さん、お立ち会い! 御用とお急ぎでない方はゆっくりと見てってくださいな。さて、ここに取り出しましたるは、本ギルドの長にして極度の甘党であるみんな大好きマーヤさんが今日の仕事終わりに食べようと取っておいたプリンでございます。これをこうして、こうじゃーッ!」

そう叫んで俺は蓋を取り払い、スプーンでプリンを抉るように取って口に運んだ。

「またやってるよあのバカ」
「懲りないねぇ」

一心不乱にプリンを貪る俺を見て、ギルドの休憩所に居合わせた冒険者たちは呆れたような表情を浮かべる。

定期的に同じことをしているのだから、このような反応になるのも仕方のないことだろう。

俺がプリンを食べ終えて、怒られる前にずらかろうと一歩踏み出した瞬間、何者かに肩を掴まれた。

何者か、とは言ってみたものの誰であるかなんて明白だ。

肩に指がめり込むくらい異常な馬鹿力で、はっきりとした殺意を感じる。
これは言うまでもなくマーヤさんだ。

「おい……お前今何を食べていた?」
「美味しかったです」
「感想なんて聞いてない。何を食べていた」

肩を掴む力が強くなる。
もげそう。

「マーヤさんの幸せを食べてました」
「ッ! このコソ泥が!」

その後、ギルド長室に連行された俺は腹に二発食らった。


……という夢を見た。
目を覚ました俺は、天井をじっと見つめたままため息をついた。

これは俺が子供の時の記憶だ。
小さい頃の俺はこうして悪さばかりしていた。

そんな俺を、主に暴力によって厳しく躾けたのがマーヤさんだ。

懐かしいなと思いながら目を閉じて、噛み締めるように大きく深呼吸した。

中途半端な時間に起きてしまった俺は、一旦水を飲んでからもう一度床に就くことにした。

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