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第3章の第137話 どうしようもない問題64 9月(5)かって負けた当事者がいたから、紡いできた命のバトン(続)



☆彡
――これには、アユミちゃんが、スバル君が、苦虫を嚙み潰したように、悔しむばかりだったわ。
「――……ッ」
「……グッ」
その心の中で思うは、きっと同じ想いでしょうね。
((そんなの騙した方が、1番悪いに決まってる(のに)……!!)
あたし達は、僕達は、心の中で、そう声を上げるのだった。
――クリスティさんは、そんな子供(僕たち)を見てきて、「フンッ!」と鼻を鳴らし、こう告げる。
「――大人の社会は汚いのよッッ!! お子ちゃま達!!」
「「……ッッ」」
「そこには、奇麗なものなんて、一切広がっていなかったの……ッッ!!」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
(いなかった……過去形……)
(やっぱり、お姉さんは、汚い大人の世の中を渡ってきたから、それをいくらか知っていて、それをあたし達に諭すために……ッッ)
そこには、苦虫を嚙み潰したようなクリスティさんがいて。
(教えを諭そう。あたしも……!! この未来を預かる事になる、申し子たちのために!!)
それは、かのヨーシキワーカさんに、習っての事だったわ。
(今、地球人類の生き残りは、4500人余り……、この子等を奪われたら、あたし達は終わり、人類史が詰んでしまうから……ッッ。
後悔がないようにしよう)
それは、未来を紡ぐために、必要な心の在処だったわ。
だから、あたしは、こう続けるの。
「奪うものと奪われるものがいて、傍観者もいる、その様子を見て楽しんでいる人達だっている!!
哄笑(こうしょう)を上げる卑怯者達!!」


★彡
【摩天楼の戦い、敵前逃亡により、偽者のアイちゃんは、逃げ出した後】
――その頃、偽者と相対していたアイちゃんは、茫然自失していた。
相手は、横やりがあって、逃亡していたわ。
そして、現在。
そこには、ヒースさん達がいて。
「――アイちゃん、何でこんな事したんだい!?」
「……ッ」
それは、謀られた跡だったわ。
どこかで、ゲラゲラ、と薄気味悪くも哄笑(こうしょう)を上げる声すら、幻聴してしまう。
脳裏に過ったのは――
(――やられた……)


☆彡
――クリスティさんは、こう語り部を続ける。
「――どこまで行っても、奇麗で、安心安全で、ホワイト会社なんて、そうそうないんだからねッッ……!!
高い給料を支払うという事は、そもそもそこには、『何かしらの問題がある』という事だから……!
ミシマさんの所なんて、その筆頭でね!!
ここだけは、『その後』ぐらいから知った話なんだけど、『ブラック』だと注意を受けていたのは、事実なんだから……!
その疑わしくて、怪しい業界に入った以上は、その覚悟が問われる訳……!」
「……」
「まぁ、ハッキリ言って、ヨーシキワーカさん程度じゃあ、
200%以上の確率で、たった1人なら、ミシマさん辺りにコロッと騙されて、軽く捻られて、
人生散々な経験を詰んだでしょうがね……。
これだけは、紛れもない事実なんだから!!」
これには、スバル君も、アユミちゃんも、ミノルさんも、アヤネさんも。
「負け……」
「200%以上の確率で……そんな!?」
「悪夢だ……」
「それだけ、後から、人に教えられていたのに……!?」
それに対して、クリスティさんが、こう切り返してきて。
「ええそうよ!!
下手すればあの時、ミシマさんに関わった年の5月ぐらいの時点で、動こうとしたからね!!
だが、待て行くなッ!! ――と親から注意をされていたの……!!」
「……」
「下手したら、あの時……。親から見放されて、出家していたのは、間違いないでしょうからね……!
弟君なんかは怪しくて――」


★彡
【ミシマさんに関わった年、5月から6月ぐらい】
【なぜか!? 住み込みのアパートを勧めてくる弟!?】
『――あっそうだ!
そうそう、ここ近辺か、あそこの向こうぐらいに泊まり込みの家賃のいくらか低いアパートがあったと思うんだよね!?
お兄ちゃんさぁ、たまにはいいから、住み込みのアパート暮らしってもんを、一度はその経験してみたりしたら!?
もういい歳こいた大人なんだからさぁ!? ねぇっ!?
いつまでも、そんないい歳して、親に甘えていないでさぁ!?』
『……』
『あっそうだ! そのもしかしたらさぁ!? あそこの向こうの方にいる職安の中の奇麗な人が、
その1ヶ月目ぐらいか、その2か月目ぐらいしたらさあ、慰めとばかりに、着てくれちゃうのかも知れないよォ~!?』


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「明らかなハニートラップよ! そんな事態に、もしもなっていたら、動くなよ!!」
「うんうん」
「後もう1つあってね!」


★彡
【領収書が見つかった年、7月から8月ぐらい】
【消防試験の時、その受ける前のホテル探しで、誘ってくる弟!?】
『――あぁそうだった!? ねぇねぇ、お兄ちゃん、いつ、消防試験を受けるの!?』
『8月後半ぐらいだったと思うけど……!?』
『あぁ、だったらさぁ、その消防資格試験を受ける前の日取りに合わせて、
そこのホログラム映像出力装置付きマウスとウェーブグローバルを使って、検索エンジンを使ってさぁ、
その周辺の、どこかプランの安い、ホテル探しをしてみたらどうかなぁ!?』
『……?』
『お兄ちゃん、毎回さぁ、その筆記の消防試験で堕ちまくっていたでしょう!?』
『あぁ、そうだな……』
『で、ものは相談なんだけどさぁ、
その一日だけ、外泊って感じでしてみたらどうかなぁって思って!? その日一日だけ、ホテルの中で泊ってさぁ!?
ほらぁ、毎回さぁ、その前日になってから、家のここで勉強してから、その翌日の朝ぐらいになってから、
筆記試験会場まで、朝早起きしてから、大急ぎで行っているでしょう!?
たまには、違う視点の持ち方もいいんじゃないのかなぁって!?
俺の所もさぁ、た~まにそーゆう人達が、チラホラいて、そーゆう人達に限って、どこからの案内通知の手が、
偶然にも差し伸ばされてきて、合格してきてる人たちも、チラホラといるものなんだよぉ!?』
『………………』
『何ぃ!? その感じ……乗り気じゃない!?
えーとさぁ……。そのもしかしたらなんだけどさ、
その泊まり込みの外泊のホテルで、うっすらとした長い脚の子がいて、廊下の外にいるのかもしれないよォ~!?
そのお兄ちゃんが止まっている部屋の、そのドアが、もしかしたらその少しぐらい偶然にも空いてて、
廊下の外に、その奇麗な女の人が、いるのかもしれないよォ~!?
ねっ、そうしてみたら!? いいんじゃないのォ!?』
『……』


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんが、こう語る。
「――さすがにないわぁ……。
ヨーシキワーカさん曰く、もう1年を当に過ぎていたら、いくら何でも『騙し』なんだとわかっているからね!!」
うんうん
とこれには、サファイアリーさんも、エメラルティさんも、強く強く頷き得るものだったわ。
「で、その奇麗な女の人は? 足の人は?」
「ハァ……。ヨシュディアエさんよ……。
その頃は、まだ、ミヨさんの名前は、未公開のメモ帳の、読者層の目につかない処の、特記事項欄にも書いてないからね!
つまり、その頃は、まだ、ハッキングの連中すらも、知らなかった訳よ。
そこを、無理にでも知ろうとして、突きまくって、道理を得ない無茶苦茶な話になっていた訳よ。
その展望は、最悪よ……」
これには、アユミちゃんを推しても。
「うわぁ……ないわぁ……」
とここで、悪乗りのおじさまのミノルさんが。
「美脚なのですかな?」
「あなた!!」
「いいえ!!
ダイエットがリバウンドしていて、精神荒れ放題で食い漁っていて、脂肪太りで、ふくよか体系ででき上がっていたからね!!
ブヨブヨな感じの足だったはずよ!!
腹周りも、出てた頃だからね!! こう横な感じにね!!」
これには、少年少女も。
「「……」」
恵ご夫妻も。
「「……」」
アンドロメダ王女様も、シャルロットさんも何も言えず。
「「……」」
一同に、空白の間が流れたのだった。
シ~ン……。
これが、真実の事実である。
これには、ミノルさんも、アヤネさんも。
「あぁ、胸もその脂肪太りですからなぁ……。かっての全盛期のNカップの頃の面影は、とうになくなっていて……。
加齢臭もののジュクジュクの熟女さんだった訳か……」
「NからIカップまで落ち込んでいて、過食をしてて、その面影を取り戻そうと思ってみても……どんなにあがいてみても無駄で……。
若い頃と違い、腹周りだけがでてきちゃうからねぇ……。暴飲暴食な感じで……
とここで、アユミちゃんが、トドメを差す感じで。
「もうそれってさぁ」
「……?」
「自業自得ものの、歳じゃないの?」
これには、ほぼ一同と、スバル君が。
「「「「「それを言っちゃ……」」」」」
「おしまいだよォ……アユミちゃん~……」
テヘッ、ペロッ
とこれには、アユミちゃんもバツが悪く、舌を出して、可愛げのある茶目っ気を醸し出すのだった。
とここで、まともな、アヤネさんが。
「その、お兄さんの泊まり込みのアパートに、その一日だけの外泊中のホテルに、
なぜ!? ヨシュディアエさんがくるのよ!!
大抵は、その人を騙し腐るためのものの、狡猾な手段なんでしょうが!!
後から、できる女の手腕で、その人を騙す為でしょうがッッ!!
何で、弟君は、その時点で、気づかないのよ!!?」
これには、クリスティさんも。
「ミシマさん辺りでしょうね……。もういい歳したおばちゃんだから……。散々までに使い回してて、罪滅ぼしとばかりに……」
「40逝ったら、もう既にアウトでしょうが!!
そんな怪しい事をしていたら、もうその人の噂話が街中で飛び交っていて、20代後半までに勝負を決めないと、もう手遅れなのよ!!
それに、どんなに遅くとも、特殊詐欺幇助をしてた女なんだから、30代前半の時期までに、勝負を決めないと、もう手遅れなのよ!!」。
これわかる!?」
「……ッ」

特殊詐欺幇助をしていた女の婚期話は、
40逝ったら、もう既にアウト、レッドカード。望みは1%。
遅くとも、30代前半までの間に、勝負を決めないといけない。イエローカード。望みは29%。
街中で、人の噂話が飛び交っている中で、まだ20代後半という若さであれば、望みがある。グリーンカード。望みは70%。
また、若さとは別の取り扱いで、
おっぱいの大きさ違いで、AからDカップまでは、1%。
EからFカップまでは、2%。
GからHカップまでは、3%。
Iカップ、4%。
Jカップ、5%。
Kカップ、6%の割合となっている。それが、世の男性たちの性である。実に哀しい話だが……。
ちなみに、40歳逝ったら、1%のままである。悪しからず……。

――さらに、こうアヤネさんが、畳み掛ける。
「それに、職安が特殊詐欺の請負所となっていた以上、そのハッキングができる優秀な人材を囲んでいた以上、
メールや、SNSや、LINEや、旧ツィーターにも、当然ながら目を光らせていて、通していて、
『履歴消しゴムリムーバー』等を使って、そうした『使用履歴』なんかも、逐一『揉み消していた』でしょうし。
そのバレ難くしていくための手段として、
デジタル形式はダメで、
残るはアナログ形式になるでしょうから、メモ帳などの紙などをちぎって、そこに、情報を書き込んでから、回してたんでしょうね。
で、読んだ後、何も証拠が残らないようにして、破り捨てて、燃やしていた。
だいたいそんな所の手口なんでしょう!?」
これには、美人三姉妹も。
「「「すっ……鋭い……」」」
「フンッ、当たりね! どうせ、そんなこったろうと思ってたわ!!
そんな街中で、不審な事件や、偽電話詐欺による取り次ぎ回しや、特殊集団詐欺事件が起こっていればね!!
誰がか、いて、陰ながら動いているものよ!!」
当りです。ですが、もう証拠は何も残っていません……悪しからず……。
「……まぁ、自分の身が、そろそろ、危うくなってきたら、潮時だと思い、どこかに雲隠れしていくものでしょうね!?」
「……」
それは、あの怒りと嘆きの仮面の人物、アヤさんの事だったわ。
これにより、どこかに雲隠れして、その正体がわからず、謎の人物となっていくであろう。

――これには、クリスティさんを推しても、その心の内では。
(――あぁ、あたし、まだ、20代で良かったぁ……)
先ほどの例に当てはめれば、クリスティさんは、20代後半に当たり、Kカップ以上なので、76%ほど望みがある訳だ。
だが、ここでは、すぐに言い返せないので、精神的にものを考えて。
――よって、サファイアリーさんが、こう代わって語るのだった。
「――だから、『本来の時間軸』ならば、『何もできず』、借金漬けになっていたのは、その人だったって理由(わけ)……!
まぁ、遠からず、そうなっていた場合は、『自殺していた可能性も視野に入れないといけない』でしょうね……。
あれは、やり過ぎだったらしいから……。
人知れず、アパートの中でひっそりとね……」
「……」
コクリ
とこれには、クリスティさんも、物分かりが良く、その隣で頷き得るのだった。


☆彡
【アパート代などの光熱費事情】
【毎月の給与】
【デート代】
【結婚式代】
――サファイアリーさんは、こう語る。
「――望みも、期待も、何もなかったそうよ?
就職なんてできず、定職にも就けないでしょうからね……。
当然、そうなれば、毎月の出費がかさむ事でしょうから……、
アパート代、光熱費、電気代、水道代、ガス代、食費など諸々……。1人で支払わないといけないから、
アパート代だけで、毎月、4万円(303米ドル)から5万円(379米ドル)。
そこに、単身世帯の水道光熱費の平均は、おおよそ約13万円(985米ドル)。
そこから内訳にしていけば、電気代6万円(455米ドル)、ガス代3万7千円、水道代が3万円(280米ドル)、
他余剰分を考慮して、4千円(30米ドル)ってところでしょうね!
そこに、さらに食費と合わせていけば……。
だいたいが、おおよそ、6万円(455米ドル)以上なので、
アパート代、5万円(379米ドル)。
光熱費代、13万円(985米ドル)。
食費、6万円(455米ドル)。
合計、24万円(1818米ドル)となるわ!
職安の求人情報を見れば、パート給与のいいところでも、16万円ほどで。
正社員枠でも、20万円ほど。……全然足りないわね」
そこへ、サファイアリーさんが、クリスティさんの横顔を見てきて、こう言い放つものだったわ。もうついでとばかりに。
「……あなたは、スプリングさんと共にいたでしょう!?」
「グッ」
そこへ、畳み掛けるように、エメラルティさんが。
「それにあたし達は、親からの仕送りとして、パンやパスターやシリアルなんかよ! あんたなんかとは、違うんだからねいくらか!!」
「グッ……」
そこが、美人三姉妹による、開きだったという。
とここで、日本人のミノルさんとアヤネさんが。
「……うん? どうしたアヤネ?」
「えーと……確か……。現在の最低賃金が、898円だから、898×8=7184円となり、
そこに月20日分をかけると、7184×20=14万3670円となるわね。
そこから、雇用保険、厚生年金、健康保険料、財型と差し引かれていくのだから、
結婚資金なんて、たまらないでしょうね!!」
「デートもできんだろうなぁ……」
「うんうん!」

なお、最低賃金の話だが、この話を執筆している時点で、2024年代に当たるので、898円という扱いです。
これは、都道府県別に分かれていて、私の居住区と、東京都では、また、その違いがあります。
読者の皆様の参考にしてください。

「デート代だけで、子供の時なら親が出してくれるから5千円から1万で済むが……。
大人は違う!! 通勤費、食事代、飲み屋代、映画館代、遊園地代、買い物代、ホテル代とくるのだから、
ザッと10万円から30万円ほどかかるんだ!!」
「うんうん!」
これには、良い子達を推しても。
「「そんなにィ~!?」」
「「まぁな!(まぁね!)」」
ガックシ……
と肩を落とす子供たちがいて。
世間を見てきた大人の人は、こう語る。
「世間一般的に、大人の人は、10万円から20万円を、そのデート代で出してくれる!
だいたいが、『1ヶ月分の給与』が、『限界』なんだ!!
20万円なら、差し引き、16万円が、その人のいっぱいいっぱいだな!」
「だけどね!? 職安の中の娘さん達や、国の公務員さんの女の子達なんかは、
夢がやたらとデカくてねぇ!!
男なら、懐の大きさとか、誠意を見せろよって感じでね、
毎月のデート代で、30万円出してくれるのが、その当たり前、何だと勘違いしているぐらいよ!!」
これには、アユミちゃんも、スバル君も。
「ええっ!? そんなに隔たりがァ!?」
「20じゃなくて、毎月のデート代で30万円って、それが当たり前だって!?」
それに対して、ミノルさんは、こう語る。
「それも、何回かに渡って、デートを繰り返して、親睦を深めていく流れになるんだから、数回は見ておかないといけないんだよ!」
そこへ、まだまだ、頭が子供のアユミちゃんは。
「『10回以上』は!?」
「それは、『危険なレッドカード』ものだッ!!」
「え……」
「よくよく、考えてみたまえ!
月、16万円のデート代なんて出せるものか!!
毎月の給与が、20万円なんだぞ!!
それは、貯めていた貯金から、支払ったものなんだ!!
何を、当たり前みたいに、毎月のデート代にと、使えるもんか!! バカバカしい!!」
「……」
毎月は、毎月のデート代は、不可能である。
ミノルさんは、こう語る。
「良くて、5、6か月に、1回のペース配分だろうな……。
それが、倒れない範囲の限界だ」
アヤネさんは、こう語る。
「世の中の若い娘たちは、イケイケ気質でね、よくわかっていないのよ……。
周りの人達が、そう唆してきて、言うものだからね!?
無理にでも、何でも自慢話で!?
それで、これ見よがしに、自分たちとその比べちゃっていてね……。
相手と自分とを比較して、比べる気質だから……。
だから、それを聞いてしまった、意中の男の人なんて、
傷心の思いで、自分を騙しているような嫌味な女なんかじゃないかって、勘ぐっちゃうのよ!?」
「へ……」
「だから、恋愛発展はせず、終わり……なのよ」
「そんなぁ……」
ガックシ……
と肩を落とす、アユミちゃんの姿があったわ。
あたしも、夫も、現実論を語っていくだけよ。
夢なんて見ても、夢想しても、理想と現実は、往々にして隔たりがあって、違うんだからね。
夫、ミノルさんは、こう語るものだったわ。
「大抵は、3回から4回がグリーンラインで、
5回から6回でイエローラインで、
7回以上で付き合う気がないんじゃないかと勘繰っていき、もうレッドライン。
10回以上ともなれば、殺意が芽生えてきて、殺害して殺す動機に足る!!
世の中、TV報道を通じて視ていけば、自ずと、その心理的外傷に至る訳なんだぞ!?
……わかったかな!?」
「う……うん……」

デート代を、仮に平均を取って、20万円として。
そこから、差し引き、16万円として。
そこからさらに、その人の生活やら仕事で出ていくお金やら、急な不幸による親戚のおじさんやおばさんが亡くなった場合は、
必要経費として、割り切った感じで、突然、失って当たり前なのだから、
6か月に1回のペース配分が、関の山なのだろう。
とここで、世の中の女性達が、勘違いしているのは、
それは、今まで、その必要なお金を貯金していたからだ。
だから、毎月のデート代などと、ウソつき、男の見せかけの建前で、勘違い、していた訳だ。
さらに、回数分に分けていくと。
1回のデート代で、16万円。
2回のデート代で、32万円……1年。
3回のデート代で、48万円。
4回のデート代で、64万円……2年。グリーンライン。
5回のデート代で、80万円。
6回のデート代で、96万円……3年。イエローライン。
7回のデート代で、112万円……レッドライン。
8回のデート代で、128万円……4年。
9回のデート代で、144万円。
10回のデート代で、160万円……5年。ブラックカードラインで、殺害して殺す、動機が芽生えてくる。
ここからさらに、彼女さんの御機嫌取りで、増加傾向になりつつあり。
さらに、プレゼント等を送れば、自ずと200万円を、楽に突破するわけだ。

アヤネさんはこう語る。
「当然、子供の出生率なんかにも、差し障ってきてしまい……。
パートのままか、その低い給与体制のまま、
その女性の方と、子作りを誤ってしてしまい、子を成せば……!?
2人で、パート給与のまま、共働きをしてて、養いきれなくなり、
児童虐待、そのせっかく生んだ子供を遺棄して、殺してしまった訳よ……。
これが、悲しい社会の実情なのよねぇ」
これには、アユミちゃんも、「そんなぁ……」とショックを受けたものだったわ。
――で、ここでスバル君が。
「――じゃあさぁ」
「ん?」「ん?」
「結婚資金は、どうなの!? それも、貯金していて、貯めてあったものだよね?」
それに対して、既婚者であるアヤネさんが。
「……ねぇ、あなた、だいたいいくらぐらいかかったの?」
「そうだなぁ……。ひーふーみーよー……。だいたい500万円近くはかかるぞ!!」
「そっ、そんなに!?」
「ああ、えーと……内訳は確か……。
結婚式、その挙式と披露宴だけで、300万円から350万円ほど。
さらに、ここから別途扱いで、
婚約、結納式で20万円から25万円ほど。その婚約食事会で6万円から10万円ほど。
婚約指輪は、私からアヤネに送ったものが1つで、だいたいが30万円から40万円。もろ、奮発したなぁ」
「そうね!」
「で、同じく、婚約指輪で、結婚指輪2人分で、これは挙式なんかが、用意してくれるものも例外項目であって、30万円。
さらにここから、新婚旅行もあって、最低2人分だけでも、45万円から50万円ほど。
でも、実際には、両家の親族も含めて、新婚旅行もするのだから、おおよそ200万円はかかるんだな!
さらに、そこから、ハネムーン中のお土産代として、6万円から10万円は、軽く突破していくな!
占めて、500万円だ!!」

結婚式代の内訳。
・その挙式と披露宴だけで、300万円から350万円。
・婚約、結納式で20万円から25万円ほど。その婚約食事会で6万円から10万円。
・婚約指輪は、一次的に、既婚前の人が、意中の女性に送るもので、30万円から40万円。
・結婚披露宴用の、二次的な婚約指輪が、2人分で30万円。
・新婚旅行、2人分だけで、45万円から50万円。
・さらにここから、両家の親族を連れて行ってのハネムーンで、200万円。
・合計金額、631万円から705万円ほど上下推移している事になります。
まぁ、おそらく、両家の親族の親の方や、その奥様が出してくれて、500万円ほどで抑えられたのでしょう。
それでも、破格です。

「どひぃ~~!? そんなに掛かるの!?」
「じゃあいったい!? デート代と、結婚指輪代と、結婚式代で、どれぐらいかかるの!?」
「そうだなぁ……。
デートは、3回から5回、6回ほどだから……、48万円から96万円……。
でもここに、プレゼント代がかかっていくから、100万円は軽く超えていて」
「次に、結婚指輪のエンゲージリングは、ダイヤモンド付のものが相場だから、
だいたいが、30万円から50万円ほどね!」
「次に、結婚式とハネムーンなどで、500万円を超過すると思っていいから、600万円以上!
合計金額、デート代100万円、結婚指輪代50万円、結婚式とハネムーン代で600だから、750万円ほど、かかる金額だな!!」
これには、将来奥様となりそうなアユミちゃんを推しても。
「べ、べらぼうに掛かるんだね……」
これには、スバル君も。
「毎月の給与、20万なら、そこから私用で、16万円として、
750万円÷16万円=46から50ぐらい?」
「えーと……年月費の計算に当てはめていくと……。
ひーふーみーよー……。
1年間の暦は、12月だから、最短でも、3年と8か月が掛かる恐ろしい計算だね……」
「最短でも、4年以上もか……」
シ~~ン……
と重い沈黙の間が流れて……。
これには、アユミちゃんを推しても。
「これは、世の中のお父さん達って、大変だったんだね……」
「そんなに、稼げないよ……」
これには、ミノルさんも。
「あぁ、ハッキリ言って、アルバイトやパート程度じゃ、
最低賃金898円ほどだから、900×8=7184円の。
20日働く事になるから、7184円×20=14368円になるね。
これが、一番低いところで。
……まぁ、ほとんどどこの企業さんも、ボーダーラインがある事から、16万円ほどの給与になるんだよ」
「少しは、マシになったね」
「ねぇ」
「そこから、雇用保険、健康保険、厚生年金、財型と収めていって、差し引き13万円ほど。
そこからさらに、アパート代等の光熱費で、全額パー……の計算式になるな!
わかるかい!? 現実の辛さが……!?
いくら高望みしたって、パート程度じゃあ、結婚願望は、夢となって潰えるものだな……」
とここで、アヤネさんが。
「ハッキリ言って、大学卒の人でも、定職に就いても、初任給は20万円ほどだから、
そこからさらに、10年単位を見ていって、職の階級が上がっていっても、25万円近くがやっとなのよ!
結構、辛くも長い道のりなのよ?
どう? 結婚って奥深いでしょ?」
「「つ……辛い~~」」
――そこへ、クリスティさんが。
「――どうわかった!?
それが、この世の中の、過酷で厳しい現実が横たわっているのよ!
しかも、どうしようもない問題=特殊集団詐欺事件と絡んでくれば、
そーゆう人達の、今まで溜め込んでいた、せっせと働いて貯金していた貯蓄を狙って、
楽して、儲けようとする悪い人達だっているのだから、
その付き合っていた、彼女さんとも、惜しむ感じで別れていってしまい……。
どうあがいてみても、ダメで、『子供の出生率』まで、『差し障っていた現実』が、この世の中の実情には、垣間見えるんだから、
『超・少子高齢化社会』を『促していった』、『陰ながらの敗因だった』わけよ!」
「……」
そこへ、サファイアリーさんが。
「君達は、この厳しい現実と、いつかは、その向き合わないといけない訳よ!?」
これには、アユミちゃんも、スバル君を推しても。
「メチャ厳しい……」
「難易度、難しい……ベリーハードな感じ……」
そこへ、アンドロメダ王女様が。
「フフフ、期待しておるぞ、スバル」
「うへぇ~……マジィ……」


☆彡
――クリスティさんは、ここで、真面目に語るものだった。
「――さっきの、かって負けた人の話に戻るけど……。
……わかる? パート程度じゃあ、どんなにあがいてみたって、1人暮らしなんてできないって事よ!?」
「……ッ」
「良くて、中のいい友達なんかと付き合いの話で、ルームシェアをしやっいて、
そこで、騙された感じで、貧しく、ひもじい思いをする事になっていくでしょうね……」
「……」
「……そんな折、また、騙し屋さんみたいな、闇バイトからの呼び出しの電話が掛かってきて、
安易な気持ちになって走り、また、車に乗せられて、
何回か、騙される事になっていくでしょうから……。
当然、そうなったら、職安の中の女の人辺りが、ブチ切れして、
その人にモノを教える流れに転じるでしょうね!?
厳しい制裁を施していってね~ェ!!」
恐ッ
とそれは、クリスティさんの脅し言葉だった。
「そうやって、周りから、無理にでも何でも、落とし前をつけろ!!
って感じで、『社会的制裁を受ける事になる』のは確かなんだから……!!
その人は、『社会的信用を失い』……。
新たに、銀行口座を作れず、お金が振り込まれていても、お金を引き出せず。
電話会社に行っても、腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)が機能しない。
また、就職しようにも、求人が限定されていて。
闇バイトなどに、手を染めて、人生散々な報いを受けていたでしょうからね……。
……わかる? 1人じゃ、負けるって事よ!?」
これには、スバル君も、苦虫を嚙み潰したような面持ちで。
「……ッ」
アユミちゃんは、こう独白す。
「1人じゃ負ける……」
そして、スバル君の今後が気になり、チラリ、と魅入ってしまう。
「……」「……」
クリスティさんは、こう語る。
「そうよ! だから、ミシマさんやヨシュディアエさん辺りに負けた可能性もあるのよ!? 前の人達と同じようにね……。
ヨーシキワーカさんもそうなっていた……カモ……って話!?
まぁ、どーゆう経緯に転じていたかは、未知数の未来なんだし、よくはわからないんだけどね……」
「……!」
「!」
「!」
「!」
その話に反応を示したのは、シャルロットさん、アンドロメダ王女様だったわ。
フムゥ……
とわらわは一考する。
考えるは、本来の時間軸じゃった。
(――まさか……!?)
と考えるわらわ。

「何で、そんな人の所へ行ったのよ!? その人は!!」

「!」
一同振り向く。
その声を上げたのは、アヤネさんだったわ。
それに対して、あたしは、こう答えるの。
「簡潔に話せば、すべての原因は、どうしようもない問題にあり、
事の発端・契機となったのは、その人の昔の会社で。
電話で取り次いで回り、それがドクターイリヤマ辺りに伝わり。
その人達の勝手気ままな、邪な都合で、金銭面の金巡りの汚職の話で、
ヨーシキワーカさんの人生が、散々までに大きく狂わされていったのは……、……間違いないわ!!」
「誰のせいなのよォ……!?」
「人に吹聴した人よりも、実行に移した人が、目に見えて悪いわ……!」
「……」
わらわは、それを考える。それは……。
(もしかしたら……!?)
じゃった……ッッ。
断として、クリスティさんは、こう独白す。
「ドクターイリヤマが原因よ!!」
(やはりか……)
「その人だったって訳ね……」
「ええ……そうよ……! 実行に移したのは、他ならないその人なんだからね!」


☆彡
【敗者の体験談。それは、人伝手を経て、伝わった類のもの】
――クリスティさんは、こう語る。
「――負けた人達の話に戻りましょう」
「……」
――それは、誰かの言葉に似通ったものだった。
ヨーシキワーカが、その昔、人伝手を経て、聞いてた以上、
それは、誰からからのものであり、その人も、また誰からからのものであり、それもまた……
これは、独自の解釈を交えつつ、こうではないのかとする説である。
『――今日日の事は、さすがに誰にも言えず、上手くは口にできないでしょう』
『後は、その敗者を嘲笑うかのように、共犯者たちが責任問題に見たてて……自分にも、金を払えよとやってくるの』
『そうした人達の動きは、『主犯格の人達』ですら、『その全容』を、『把握し切れていない』事でしょうからね……』
『だから、そんな事があっていただなんて……、向こうは、そもそもが知らないのよ……!?』
知らない。
それは、無責任の証左である。誰も彼もが、犯罪に手を染めていた以上、知らぬ存ぜぬのフリをしていくだけだろう。


★彡
――そのかって負けた当事者の前にいたには、話を聞きつけた卑怯者どもだった。
『――あっちにもやったんだろ!? なぁ、こっちにも、少しぐらい回せよ!?』
『それぐらいいいだろう!?』
『できるだろう!? なあ!?』
『……ッッ』

☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――そこにいたのは、――負けた悔しさの涙を浮かべる、かっての当事者!
それに寄ってたかるハイエナ(卑怯者)だったと聞いてるわ」
これには、アユミちゃんも、スバル君も。
「うわぁ……可哀想……」
「うん……ホント可哀想だよね……」

★彡
――そのかって負けた当事者は、そのポケットの中に手をやり、そこから財布を手に取り、小汚い感じのお金を差し出すものだった。
『クッ……クッ……』
――それは、回想録だった。
昨日の夜。
それは、いつも、普段使いで使う財布ではなく、保険の意味合いもあって、隠していたヘソクリ処だった。
それは、万が一のために考えて、隠していた二次的財布から、手に取ったのは、貯めていたお金だった。
『クソゥ……』
それは、あんな会社の中でも、汗水たらして働いていた、貴重なお金だった。
クシャッ
とそのお金を握りしめる。
(もうほとんど、残っていない……。これが、50万円を切っていったら、いよいよ、俺も、犯罪者に手を染めてしまうのか……!?)


☆彡
【50万円から60万円を切っていったら、危険水滞になり、犯罪者予備軍の仲間入り】
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――世間一般的に、健常者と犯罪者予備軍と呼ばれる、『貯金でのボーダーライン』があってね」
「犯罪者予備軍……?!」
「そんなものが……!?」
「ええ、ある人達は、よくウソをつくけど……。
ホントは、『50から60万円』ほど切っていったら、『危険水滞』だったのよ!!
で、人伝手を介し回って、よくウソをついて、こんな事を、やり続けていくためにも、
就職難の状態に追いやって、精神的にグレていって、荒れ放題になり、
いつしか、犯罪に手を染めてしまうの。
大抵は、スーパーやデパート等から、買い物をするとき、その商品を隠し持って、ワザと清算をする、悪質な手口ね。
ここまでくれば、もう職業訓練校や、職安や、悪い感じの会社の人達の陰謀論の幕開けよ。
そうした証拠なんかを、非情に良く揉み消しやすいからね。
その人の携帯端末なんかは、位置情報ソリューションシステムで、割り出しているし。
そこで、犯罪を犯したら最後……、身内仲間連中を取り次いで周って、わざと警察官に犯人確保させる流れだった訳よ」
そこへ、サファイアリーさんがこう告げる。
『これは、職安のヨシュディアエさんだけじゃなくて、別の女性が言っていた人事なんだけども……』


★彡
【小説公開年】
【職安の中の女達の、性格の悪さの真実の事実】
――それは、件のヨーシキワーカが聴いていた会話だった。
『――う~ん……向こうのあの子の残りの預金残高を、ちょっとこっちの方で調べたんだけども、
まだまだその大丈夫そうね!?』
『そうね!? だったら、まだまだ、こんな事やって、あの子にやって、まだまだ楽しめそうなもんよね!?』
『で、いくらぐらいになったら、そのマズそうなの!?』
『えーとね……。『今までのそのデータ取りの集計取り』を向こうの方『でも』、そのやっていらしていて、
30万円を切ったら、いよいよ、そのマズそう……ってやつだったらしいわよ!!』
『じゃあ、向こうのあの子は、まだまだその大丈夫そうね』
『そうね!?』
『そのあの子を使って、その楽しんで、遊び倒しましょう!!』


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――こんな事をやり続けて、『存続させていくためにも必要』で、その『30万円を切ったら』、『マズイと言わしめていた』訳よ!」
これには、アヤネさんも、ミノルさんも。
「ヒドイ話ね……。それが、職安の中の、ジュクジュクの熟女たちの性根の腐った性格で、その人をおもちゃにしてたわけね……」
「被害者層は、これは、『多そう』だなぁ……」
「年金機構とも照らし合わせていて、生涯受け取る事になる、『国民年金基金』をも、『ワザと減らそう』としていた訳よ」
これには、ミノルさんも、アヤネさんも。
「あぁ、最低最悪だな……」
「そこまで、性根が腐っていた……とはね……」
「で、その被害者を畳み掛けるためにも、その必要な事だったからか……」


★彡
――かって負けた当事者は、泣きっ面にハチで、その貯め込んでいた、貴重なお金を差し出すものだった。
『――クッ……クッ、クッ、クソッ!!』
『ニヒヒヒ……』
『サンキュ~!』
『また来るぜ~!』
『もう来るな!! バカやろ――ォ!!』


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――その人が差し出したのは、汗水たらして、溜め込んでいたお金だったと言うわ。
着ていたのは、連絡伝いを頼りに、これ見よがしに集まってきたハイエナ達のほんの一部だったわ……。
その話の流れで、どうにかしてやるからよ!?
――というウソの建前をつけてね。
ここまでくれば、もうアウトだった訳……。
そうやって、周りから、また、ウソをついて周る事だってできて、大いにその人を使って、楽しめて、遊べるからね」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
「卑怯……」
「そんな大人もいるんだね……」
「それが、子供から大人になっていく過程で踏む事になっていく、道理を得た、『この社会のねじれた本質』なのよ。
大人になって、社会に出れば、こーゆう厳しい現実の側面を、日の目に視ていく事になるわ……」
「……ッッ」
「負けがかさむと、時に、こうした事があるって事よ! 要注意ね!」
とここで、アユミちゃんが。
「でも、何で、その人はお金を差し出してしまったの!?」
「耐え切れなかったからよ……」
「え……」
「どんな人でも、精神的に保って、『1年』が限界なの……」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
「人の限界は……1年間……」
「1年間しか、もてないんだ……」
そう、こーゆう現実に合えば、良くわかるのだが……。
人の精神面の限界は、1年間限りである。
翌年以降は、攻撃的になるか、黙ったまま、その気を研ぎすましていく。
シャッ、シャッ
とそれは、そのクリスティさんの隣の方で、サファイアリーさんが、何かを、研ぐような動作だった。
「……何? サファイアリーさん、それ?」
「あぁ、これ? 包丁研ぎの真似事よ! 気を研ぎすましてたらしいわよ、あの人……」
「えっ……」
「……まぁ、現物はやる気はないけど……最悪的な場合は、別だが……!?」
「……」
「さすがに、疲れたから……。
最悪的場合は、ブルーツウィルスを止める気はない。最悪、私は、動かない」
シャッ、シャッ
とサファイアリーさんは、包丁を研ぐような動作をしていたのだった。
他ならないあの人に代わって。
これには、アユミちゃんも。
「恐ッ……」
その様子を、これ見よがしに見ていたのは、クリスティさんもだった。
「……ハハッ、反ギレしてたからね……あの人……」
「……」
「見た目では、落ち着いていても、内心、暴風雪が逆巻いてたらしいわ……」
「暴風雪……凄い寒そう……」
「うん……」
もう吹雪以上の被害である。
クリスティさんは、こう語る。
「……だから、もういい加減にしてくれと……。たった1人にでも、お金(それ)を渡してしまえば……、こうなっていくのよ?」
「……」
「それを聞きつけた、別の誰かさんがいて、また、別の誰かさんへ言いふらしていく流れで、2人、3人とやってくるものなの。
だから……金銭なんて、渡しちゃいけなかったのよ……」


★彡
『――なぁ、なぁ、あいつにもやったんだろ?』
『俺たちにも恵んでくれよ? なぁ? 兄弟!?』
『俺達友達だろー?』
――それは、忍び込んでいた卑怯者達の1人の声だった。
『――うわっ! すげっ! まだこいつ、こんなに持ってやがる!!』
『! なっ!?」


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんが、こう語る。
「――当然、その中には、住居不法侵入してくるような、ハイエナ(卑怯者)さえいて、
その人の『銀行の預金通帳』・『店番』・『口座番号』・『4桁の暗証番号』・『カード残高など』も、
あちらで勝手に調べていて、調査済みだったりするものなのよ……。
特別製の機械が卸されていて、電気事業法『など』を通じて、どんな暗証番号ですら、割り出せるような特別な機械がこの世の中にはあるの」
「特別製の機械……」
「電気事業法『など』を通じて……」
「後は、その職安の中から、指示者がいて、指令を飛ばしていたの。
後は、請負の人がいて、その指示通りに動いていた訳よ」
そこへ、サファイアリーさんが。
「家を押し入りの、住居不法侵入を繰り返していた、ミシマさん達なんかがいて、その指示者の指令を聞いてから、忍んでいた訳よ。
もちろん、他の人達も使って、
ニシダさん、ホンダさん、ハシモトさん、ナカバヤシさん、イシバヤシさん、ナベカマさん達も、人ん家に黙って盗み行っていた訳よ。
問題に見せかけてね。
まぁ、その人達ですら、ウソ話の借金を負っていたらしくてね。
込み入っていた話を聞いていけば、行き着く先は、身代わりの保証人システムに則り、警察署の拘置所行きだったわけよ。
いわゆる、使い捨ての駒だったの」
「……ッッ」


★彡
『――なぁなぁ!? どうせ使えないだろうから、こちらでいいように使ってやろうぜーッ!?』
『なあ!』
これには、かっての当事者も。
『なっ!?』
『安心しろよ!? こっちからお前の方に少しは回してやるからさ!』
『グッ……!』
(それは、俺が、汗水垂らして稼いだ金だと言うのに、なぜ!?)
『どうせ今のお前じゃあ、引き出せないんだろ!?』
それは、木魂したという。
引き出せないんだろう、引き出せないんだろう、引き出せないんだろう。
『なぁ……あ……あぁ……!?』
『ニヒヒヒ』
『クククッ』
『今から、あっちの方に連絡しようぜ!』
『あっあまり、言いふらすなよ!?』
『わかってるって!』
(はい、ウソ――ッ)
(ギャハハハハハッ)


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――わかる!? これが『社会的制裁』の恐さなのよ……!?」
「……」
「闇バイトなどに手を出した以上、今後、まともな就職につけず、散々な人生を送るしかないぐらい、余儀なくされるの……。
一生、アルバイトやパート生活なんて、有り得てね……。
当然、助かってみても、時すでに遅しで、老後の社会保障、年金生活なんかも危うくなっていってしまい……。
向こうから差し押さえられて、そもそもなかった事になるのよ……!?
前に支払った分だけ、パァよ……!!」
これには、アユミちゃんも。
「どーゆう事? 差し押さえって?」
「ハァ……。何度も、何度も、未来の街創造館と言ってたでしょ」
「……言ってたね」
「いったいどうやって、法的手続きに則り、その人から、土地や住居や財産分野などを、『差し押さえ』できると思う?」
「……?」
「国民年金基金といって、そうした『必要手続きを踏むような書類関係』を、盗み出すような不貞な輩さえ、いるわけよ。
指示を出す人たちがいて。
請負人たちがコソッと住居不法侵入していって、『国民年金基金手帳』や『そうした必要書類』なんかを、盗み出して、
その人の世後の人生を、『楽に奪える』わけよ」
「……えっ……?」
「……そうだったの……?」
そこへ、エメラルティさんが。
「その通りよ。そーゆう法的手続きに則り、行政処分が、勧告奨励が下されていた訳」


★彡
『――なぁ、おい!? 俺達にも払えよ!?』
『もう何もねえよ!!』
『じゃあ、これでも売るか!?』
『なっ!?』

☆彡
――過去から現在に返り、エメラルティさんが、こう語る。
法関係は、彼女が強い。
「――それは、何かと思えば、『国民年金基金の手帳』であり、または、そうした『必要書類』であり。
または、『健康保険料の必要書類』であり。
または、『住民税などの必要書類』であった訳よ。
当然、『滞納分』であり、催促状などを無視し続けると、『差し押さえ』が、『時としてくる』のよ!」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
「ウソだろ……」
「知らなかった……」
エメラルティさんは、続けてこう語る。
「ホントよ。
また、最近の悪質な手口では、レンタル物の記録媒体や、レンタル物の書籍関係などを借りて、
そうした物を、盗み行って、黙って持ち去るだけでも、『非常に有効』な手口になってきているの!
ホラッ、レンタルものには、『バーコードリーダー』などが『QRコード』などが振られてあるでしょ?」
「うん」
「あれはね。言うなれば、『複製不可商品項目』であり、『変えの代替が利かない予防措置』が入ってあるの。
もちろん、紛失した場合は、素直にお店側に申告すれば、
結構な代金を支払う事になるけど……、最悪の事態だけは、脱する事ができるわ」
「あっ、あったんだ……法的手続きに則り、救済法だけは……」
「まぁ、一応はね……。
……でもね、人の噂話の取り次いでいく流れで、悪質な店員に捕まれば、お金を支払ってみても、
払っていないとして、どうとでも、揉み消せれる訳よ」
「えっ……」
「この手に引っかかってきた人達が、やたらと多くてねぇ……。これが、この世の中の悲しい実情なのよ」
――次いで、クリスティさんが、こう語る。
「――ハイエナの中には、当然、『そーゆう見識を持っている人達』が『非常に多くて』ね。
どうやって、気に入らないあいつをハメていったのか!?
酒の肴の楽しみして、『意見交換』し合っていた訳よ」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
「えっ……えっ……えっ!?」
「ウソォ~~!?」
それに対して、クリスティさんが。
「ホントの事実よ! だいたいが、一クラス、30人ぐらいなら、最低でも16人ぐらいは、知っていて当たり前なのよ!
その半数の女子なんかは、『噂大好きだから、過半数を占める割合』でね!
そして、残りは、『クラス委員長』や『副委員長』や『どこぞの悪ガキたち』が、こぞって知っている訳よ!?
どこで知ったと思う!? 『部活動』らしいわよ~ォ!?
上級生などから、休み時間を通してや、先生達の目を盗んで、意見交換しあって、情報共有してたわけよ!」
これには、スバル君も、アユミちゃんも。
「……ッ。とんでもない話だ……」
「うん、とんでもない、卑怯な話だよォ……」
「――そこにはね。もう勝手知ったる顔で、上がり込んできて!? 押し入ってきて!?
もしくは、その人がいない時を狙って、合鍵の場所はもう把握してたから、住居不法侵入していって、
盗難の線もあったりするものよ~~ォ!?
そこで、『銀行の預金通帳』・『店番』・『口座番号』などを、『写真メール』で取るか!? 『紙などに控える』か!?
もしくは、昔使い古していた、その銀行の預金通帳なんかを、盗み出してたわけよ!!
番号さえわかっていれば、『クレジットカード』なんかは。いくらでも『複製』できるからね!」
恐ッ
とおどろおどろしい、クリスティさんが、そこにいたのだった。
「これを、『教訓に学習』していかないと、これから先、より一層の、『特殊詐欺被害件数』などが、『増加傾向』にあるからね」
「あっ、教訓用の学習用なんだ……」
「ええ、そうよ! 学校の中の先生の話だけじゃ、無理だからね。
それに、警察官を招いての、体育館での演説だけじゃ、時間的に無理だからね。
ホラッ? 教訓用として、書籍関係があれば、非常に便利でしょ?」
「確かに……」
「じゃあ、続けるわね? うふっ」
「……」
安心である。
どうか、これを、学習目的のための教訓用として、役立ててください。
クリスティさんは、こう続けるのだった。
「そのアパートのドアの前には、差し押さえの紙などが貼ってあったりしてね……。
とても払いきれないような、支払い能力がないのに、これ以上ないぐらいに、とんでもない目に会うの……。
しかもよ……!? そこには、落ち込む様子の……。かっての被害者層の姿があったというわ」



★彡
『――これから先、どうしたらいいんだ……!?』
そこには、1人頭を抱える被害者層の姿があったのだった。
(先行きが見通せない未来……。ただただ、黒の絶望しかなくて、それしか……覚えられない……。
理想の黒に、卑怯なあいつ等達に、俺の一生が塗りつぶされていく……。
……助けて……)


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語る。
「――いざ、どんなにあがたいてみても、街中で、その人の噂話が挙がっていた以上は、
どんなに助けてを乞うてみても、誰もその話を信じず、返って、その立場を殺めていくだけだったの……」
「何で?」
「その人1人の意見を聞くよりも、
まだ、職安の中の人達の意見を聞いた方が、遥かにマシだったからよ!
誰もが、その人、1人の意見を聞くよりも、
まだ、その人達の意見を聞いた方が、いいものであり、金ぐるみの話だから、その手を取っていた訳よ!
また、そんな怪しい会社や。
また、職安や、職業訓練校などもそうで。
実際には、その中にいる『ごく一部の悪い人達が原因』だったわけよ。
多数決の意に勝った話だからね。
誰もが、その人の話を信じず、意見を効かず、その奢り切った権力の話に、その耳を傾いていた訳。
それが、この世の中の実情であり、道理だったわけよ!」
――次いで、サファイアリーさんが。
「で、畳み掛けるようにしてね。
みんなその卑怯者だからね、その勝つ方の流れに寄り掛かっていてしまい……。
いざ、払いきれなくなると……。
難癖付けて、執拗な嫌がらせが増し、『盗り立て』が増していくものよ……?」
うんうん
とこれには、クリスティさんも、頷き得ながら。
――次いで、クリスティさんが、こう語り出していくものだった。
「――そして、その中には少なからず……。
ワザと最初は強力的に接しつつ、仲良く溶け込んでいき……。
最後は裏切るという卑怯者だって、現れてくるものなの……!!」


★彡
【ワザと親切そうに寄り添う友人(後の騙し屋)】
『……大丈夫か?』
『……』
『俺にできる事なら、何か力になるぞ!?』
『……』
『それとも、今よりも、その探している所よりも、『いいところを紹介する(?)』けど……どうする?』
『……』
(あぁ、これは、多分闇バイトだな……。
兄弟や姉妹、それとも親を通じてか……。
それとも、昔、行っていた職業訓練校の中の同級生達を通じて、変な話に変貌していってから、後々とその破れていくパターンだ……)


☆彡
――過去から現在に返り、クリスティさんが、こう語る。
「――その時は、まだ良かったけど……。
その人を騙して、安心させていくためにも、1ヶ月間から半年間の間だけは、その手を休めていた訳……。
でも、その裏の実情ではね。後でハメるためにも、『幾重もの伏線を張り巡らせていた理由(わけ)』……」
「……」
「それまでの間は、紹介料として、その友人にも、泣く泣く支払い。
みんなして、その騙されたとわかり切った頃には、もう終わり……なのよ!?」


★彡
――絶望の声を上げる、かって負けた当事者。
『だ、騙された……! あ……あ……あああああ!!!』
ナレーションの語り手は、クリスティさん。
【――この世のすべてに絶望し、そのアパートの中の物に、当たり散らすの……】
『うわぁあああああ』
【阿鼻叫喚の嵐】
【それは、人々が苦しみ泣き叫び、喚き散らず様な、非情に惨たらしいような、様子の様よ。または、そーゆう状態ね】
【……そして、事切れたように、床の上に倒れ、絶望の顔を浮かべたまま……】
【目尻から大粒の雫を流し、希望も、夢も、なくなり……】
【段々と、その絶望一色に染まっていき……】
【自己の認識すら危うくなり、見失っていくの……】
【もうその頃から、一切の正常な判断能力すら、失う事でしょうね】
【そうなったらもう、その人は、その後、何か犯罪に手を染めるか!? もしくは、自殺するしか、その手がなくなる訳よ……!?】
【……わかる? これが、どうしようもない問題=犯罪だったって……!?】


☆彡
――過去から現在に返り、これには、アユミちゃんも。
「――それが、どうしようもない問題の最悪的パターン?」
「そうよ……」
「………………」
一同、その顔から色を失い、その言葉すら失う。
絶望一色だった……。
「――他にも、いくつか例があるんだけど……聞く?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
スバルが、アユミが、ミノルが、アヤネが、サファイアリーが、エメラルティが、その人の今後の人生を考え、その最悪を思わず想像してしまう。

そのたった一文字が脳裏に浮かんだ。
犯罪に手を染めたか、自殺か、無理心中かは定かではないが……。
「じゃあ、やめに……」
その時じゃった。
「――待て、続けさせるのじゃ!」
「! ……王女様!?」
「!」
そのお声が上がったのは、アンドロメダ王女様だった。
僕が、その人に振り向き、
あたしも、そっちの方を伺う……見えも聞こえもしないけど……ね。
「今後の行く末を考えて……、父王が出したものに、地球人類の難民たちが、職に就けるよう話が上がったのじゃ……!!」
「……」
その話は、僕も、あたし達も、私達も聞いている。
クリスティさん達にも、もちろん話した。
「『社会的信用』は……特に大事じゃ!!
仮にもしも、その地球人類の中に、悪人が潜んでいて、
その悪意のまま、何かをどこかの星のモノに仕込んでいたら……、
それで問題になって、騒ぎになったら……!」
「あっ……」
取り返しがつかない……ッ。
「仮に、お主がまったく関与していなくとも……!
その大きな波紋は……、想像を絶し、
今後の行く末を大きく左右し兼ねない……のじゃ!!」
「……」
「……シャルロットよ」
「はい」
「お主がレポートを取るのじゃ!」
「……わかりました」

【――この話は、特に重要じゃった……】
【危うく、ここで打ち止めにしてしまえば……】
【何かの犯罪が起きた時、わらわ達は、それを対処できたじゃろうか?】

「――否じゃな!」
「?」
「スバルよ、クリスティ(その娘子)に話を続けさせよ!」
「……わかりました」
クルリ
と僕は振り返り。
「――クリスティさん、アンドロメダ王女様達が、その話が特に重要で、今後、僕達、地球人類の行く末を大きく決めるんだって」
「!」
「社会的信用を失ったら……、僕達難民に、未来はないから……。
……そのぅ、話してくれる? その『どうしようもない問題』の続きを――」
「……」
【――あたしは、ホントに驚いたわ……】
【まさか、こんな展開になるだなんて……】
【でも、地球人類、4500人の命を預かる以上、この問題は、避けては通れなかったわ……】
「……」
あたしは、笑みを浮かべ。
「――ええ、わかったわ」
【みんなに続きを語るの……】


☆彡
おまけ


★彡
【摩天楼の戦い、敵前逃亡により、偽者のアイちゃんは、逃げ出した後】
――その頃、偽者と相対していたアイちゃんは、茫然自失していた。
相手は、横やりがあって、逃亡していたわ。
そして、現在。
そこには、ヒースさん達がいて。
「――アイちゃん、何でこんな事したんだい!?」
「……ッ」
それは、謀られた跡だったわ。
どこかで、ゲラゲラ、と薄気味悪くも哄笑(こうしょう)を上げる声すら、幻聴してしまう。
脳裏に過ったのは――
(――やられた……)

――そして、近寄ってくるのは、ヒースさん達プロトニアの連中だったわ。
その中の1人の女が。
「――アイさん。あなたは、なぜ、こんなバカな、出過ぎたマネを仕出かしたのですか?」
「……ッ」
おそらく、男の人達でも、そりゃよかったんだろうけど……。
見た目的に見て、齢が幼い感じのあたしには、その強くものを言い出せずにいて、
代わりに、この人が、前に出てきたんでしょうね。
この時、アイの脳裏に過ったのは、
どうしよう、逃げようかな? あれを追いかけないと……!? という使命感だった。
それを、想像してみると……。

予想すると……。
その場から、アイちゃんが飛び立って、逃げ出していくものだった。
この時、この場にいたみんなの反応はと言うと……。
――あっ! 逃げ出しやがった!
――やっぱり、あいつが犯人だったんだ!?
となる。
奇しくもそれは、ヨーシキワーカが辿った、あの過去の話に似ていて、似たような末路を辿るものだった。
自分の無罪を勝ち取るのは、非情に難しい……。
予想結果、失敗……。

――これには、アイちゃんを推しても。
ど、どうしよう……。
困ったものだったわ。
そこへ、同じプロトニアの女性の人が、こう話しかけてきて。
「あなたほどの力なら、相手を氷漬けにせずに、足場そのものを、凍てつかせるだけで、事が終わってたんじゃないの!?」
「あっ」「あっ」「あっ」「そうか、その手があったんだ!?」
手を、ポンッ、と叩く様な人達すらいたわ。
「……」
これは遅きに失策……。
そこまでは、頭が回らなかったわ……。だって、殴れば早いし……。逃げれば早いし……。
これには、その女の人も。
「もしかして、みんな……、……その気がついてなかったの……?
足さえ、凍てつかせれば、身動きできずにいて、後はあたし達が着次第、どうとでもなっていたのに……」
「~~ッ」
そこには、数多の頭の回転が悪いプロトニア達の姿があったわ。
忘れてたわ……。氷の有用性を……。
「……事情を、聞かせてくれるわよね?」
「いや、ちょっと待てよ!?」
「何かしら!?」
「こいつに、やられた……とする連中も、多くてよ。この際、少し痛めつけてやった方がいいんじゃねぇ!?」
「確かに、クエストやミッションの度に、諍いがあっていたからな!?」
これには、あたしとしても、「うっ……」と呻いてしまう。
一般的にプロトニア達は、血の気が多く、喧嘩っ早い事でも知られている。
確かに、昔、手を上げていた事があるわ。
「でも、それは、ここにいるみんな、あたし達も同じじゃないの!?」
「……」
そう、言われれば、終わりである。
皆が皆、血気盛んであり、プロトニア同士で、暴動が起き兼ねない事が、度々起こるからだ。
――その時、摩天楼の高層ビル街の街中から、仲間の1人とその相棒が飛び降りる。
その者達の名前は――エナジーア生命体フローガと、その適合者ティフだった。
「―――ィ……」
そんな声がした。その場にいた一同が、その顔を上げると。
「アイ――ッ!!」
「ティ、ティフ――ッ!?」

ドドンンッ、とティフが着地を決めると、その勢いで、
バキバキィ、とアスファルトのコンクリートに波打つような裂け目が入っていき、盛大に割れるのであった。
モウモウ、と立ち込めるは、土煙だった。
ユラリ、と人影が立ち上がる。

少し、ここで計算してみよう。
ティフのプロトニアの女性の体重が60キロだとして、この星の重力が3.8Gだとすると、
次の計算式がなりたつ。
W=mg【N】であり、重力の大きさ。
W=重量。
m=質量。
g=体重
N=質量
質量m「㎏」は、ティフの体重gなので、60㎏。
物体に働く重力は、重力加速度g「m/s二乗」と表わすことができるので、3.8Gとなる。
この場合、重量Wを求める事になるので、60×3.8となり、重量Wは、228㎏となる。
この星での、ティフの体重である。

さらに、ここから、
・ビル30階建てだった事から、地上から、おおよそその距離は、100mとなります。
距離は、100mです。
・人が、100mから自由落下した場合の落下速度は、約4.51754秒です。
ここでは、4.5秒として取り扱います。
その時の速度は、重力加速度(約9.8m/s2)に落下時間を×掛けた積に等しく、
以下の式が成り立ちます。
(9.8×(4.5×4.5)=9.8×20.25=198.45
落下速度は、198.45㎞/sです。
体感時間で、198㎞……死ぬわ……。

さらに、ここから、例のアンドロメダ星の重力加速度3.8Gが掛かっているので、過剰分に掛けます。
198×3.8=752.4の速度です。
さらに、ここから、長さ÷速さで計算しますと……。
100÷752.4=0.13290802764秒ほどで、地上に大激突していることになります。
ここでは、0.13秒として取り扱います。
地球100mでは、4.5秒で、198.45㎞/S。
アンドロメダ100mでは、0.13秒で、752.4㎞/S。

衝撃力の計算は。
重さ×速さ×速さで、求めます。
まず、地球では、
60×198×198×=2352240。
次に、アンドロメダ星との比較では、
228×752×752=128934912です。
その衝撃力の比較では、アンドロメダ÷の地球で求めると、
128934912÷2352240=54.8136720742です。
重力が3.8Gもかかっていると、高所から落ちた場合の衝撃力は、ゆうに54倍なのです。
まぁ、ビル30階の100mという高所から、落ちた、場合に限りますが……。

こちらは、今回使ったものの一例です。
自由落下の速度は、「V=gt」で計算できます。
V=gt
この時、Vは落下速度。
gは重力加速度(約9.8m/S二乗)。
tは落下時間です。
自由落下では、重さがと違っても、落ちる速さが変わらないという特徴があります。
落ちる速さは、変わらないです。
ただし、無風や風圧などの影響、姿勢制御等により、爆進力などを得た場合は、この限りではありません。

モウモウ、と立ち込めるは、土煙だった。
ユラリ、と人影が立ち上がる。
その人が、その人の首が動き、こちらをギラリと見てきて、その煙の中で怪しく光ったと思ったら……。
バキィ、とその大地を踏みしめて、決河の勢いで、猛然と迫りくるものだった。
瞬間、その土煙が、霧散し晴れたのだった。
驚愕する一同。
そして――ガシッ、とティフが、アイちゃんの手を掴んで。
「――あんたが、散らしていた氷の分身体は、いくつ!?」
「……」
これには、周りにいた一同も、「え……」と呆けたものだったわ。
で、おそるおそる、あたしが、その手を上げて、指を折って、
その人が、こう呟きを落とすの。
「6……6……いや、60体!?」
「……」
恥ずかしい……。
「それじゃあ、どれが本物のあなたの操作か、偽者かはわかんないわね……」
えっ
これには、一同、驚愕したものだった。
「あぁ、アイ……。あなたは、どうせ、喋れないだろうから、あたしが、代わりに説明しておくわ!!」
「……ッ」
「60体ほど展開して、操作しているなら、20体ほど氷分身を残して、後は解呪しなさい!! ……余計な混乱の素だわ」
「……」
しょぼぼん……
もう涙目だったわ……。
――で、周りの取り巻き達は。
「何……これ……!?」
「さあ……」
「強靭な足腰過ぎるだろ……」
「バケモノめ……」
「あれ、どっちが強いんだ……?」
「さあな?」
「ティフさんに1票」
「俺、アイちゃんに1票」
そんな、浮ついた会話が投じられていたものだったわ。
――で、無辜の民達の一般市民は。
「ヒェエエエエエ……。人間砲台だぁ……久しぶりに見た……」
「やっぱり、プロトニアは、頭がおかしい……」
「何で、あんな高い所から飛び降りて、バラバラにならずに、五体満足で済んでいるの……!? あの人わ……!?」
「ティフさん、ここでは、何キロあって、どれぐらいの自由落下による速度と、衝撃力で落ちてきたんだ……!?」
「あわわわ……考えただけでも、クソ恐ろしい……」
で、ティフさんはというと……。
「あんたは、強過ぎたのよ!!! そこを付け狙われたんだわ!!! 油断し過ぎなのよあんたは!! その強さ故にね!!」
ガーーン
「……」
仲間に諭されて、地味にショックを受けるアイちゃんがいたという……。

解。
その瞬間、摩天楼の街中に、張り巡らされていた、アイちゃんの氷の分身体が、罅割れていき、氷の粒子となって、
パキン、と割れて、そこへ強風が吹き、その残滓をさらって行ったのだった……。
この勝負、相手の作戦勝ちである。


TO BE CONTINUD……

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