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穴 その1 女神降臨

 
挿絵




 西成区の女神はとある何もないコンクリート部屋で目覚めた。

 この空間で数ヶ月たえれば、おいしい食い物にありつけると、役所の人が言っていたので、参加したのだ。

 ホームレスにとって、その条件はとてつもなくおいしかった。

 

女神「はっ!? どこじゃここはっ!?」(ベッドから目がさめる)

リアナ「第24層よ」(中心の穴の向こう側に座っている)

女神「コンビニか?」

真田「違うわよ。24時間営業じゃなくって、この部屋の階層のこと言ってんの」(中心の穴の右側に座っている)

女神「穴って? 役所のお姉さんはそんなこというとらんかったぞ??」(中心の穴を見て)

リアナ「役所の人って聞かないと教えないのねぇ」

猫美「じゅるり……」(中心の穴の左側に座っている。舌なめずりしている)

リアナ「猫美ちゃん。人間を食べちゃだめよ。めっ!」

女神「いや、怖いんじゃが……。まあよい。穴で何が起こるんじゃ?」

リアナ「食べるのよ」

真田「24層はラッキーよ。1ヶ月はずっとここにいられるから」

 ブーン(壁のライトが『赤』から『緑』になる)

リアナ「きたわね」

真田「よっしゃ!!」

猫美「にゃっ!!」

女神「いったい何が起こるんじゃ? へっ?」

 中心の穴から食事が降りてくる。

リアナ「食べましょ」

真田「食うぞぉ」

猫美「にゃぁぁぁぁぁぁぁん」(口が広がっている)

 リアナ、真田、猫美は上から降りてきた食べ物を食べる。

女神「上の人の食べ残しじゃないかの? これ?」

リアナ「ひょうよ」(食べながらしゃべる)

女神「ごちそうじゃ!! わしのもんじゃ全部!!」

真田「おいこら! これは私のもんだっ!!」

猫美「はむはむ……」

 女神、リアナ、真田、猫美は食べ物を食い尽くす。

女神「あ~食った食った、げふっ。およっ?」

 食事をのせた台が穴から下へと降りていく。

女神「あれはどこに行くのじゃ?」

リアナ「下を見てみて」

女神「どれどれ……うっ!?」

 下の階層は、人骨が横たわっている。

女神「どういうことじゃ?」

リアナ「この階で私たちが全部食べ物を食べちゃうから、下の階の人たちは餓死しちゃったの」

女神「なんという……ことじゃ……それなら、食べ物を残してやらねば」

真田「必要ないわよ」

女神「なんでじゃ?」

真田「ここがクズの集まりだからよ!」

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