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ヴァーチャルネームは"パパラチア"。まだ数回しか会っていないけど、仲良くなれた。
彼女の隣にも、女の子がいた。彼女とは友達のようで、口数が少なく、パパラチアさんの話を黙って聞いていた。
彼女以外にも、仲良くなれた人は何人かいる。シュンは、ブルームーンとかコミュニティサイトを使いたがらないから、読書会を交流の場になればいいな。
少し開いたカーテンを閉め直す。もう真っ暗だ。窓には冷気が籠もっている。まさか今日雪が降るなんて思わなくて、シュンには申し訳ない気持ちになった。
こんな寒いのに、外側の人たちはどうなっているんだろう。僕なら耐えられない。内側の住民になれたことは、運としか言いようがない。
もし、何かしらの要因で内側の住民資格が得られなかった場合、選択肢は二つ。納税を倍額にし、内側に住む権利を買う。大金を払って、施設に預ける。
そうでなければ、該当者のみ、場合によっては家族全員の住民権を失う。言葉を選ばず言うと、外側へ追放される。
噂では、重度の疾患を持つ子供が産まれたら、外側へ放置させる親もいるのだとか。監査対象となる前に、体裁を気にして。
運び屋とか、証拠隠滅とかを極秘に引き受ける業者もいるって、囁かれている。ブルームーンにも、ぽつりぽつりと、それとなく彼らは現れる。
彼らは彼らなりの正義や信念の
介護を必要とする人を放置して、無事でいられると思ったとは、おおっぴらに言えない。事実ではないと、信じたい。しかし、背後にある闇はとても深い。