026・こちらとあちらのステータスの違い
ザワザワ......ガヤガヤ......
「み、見たか、今の......」
「あ、ああ。凄い勢いで爆発したな......」
「も、もしかしてあれってさ、ラノベとかで良く見るあのテンプレじゃ?」
「ん~ああ、あれね?でも普通に考えたら、測定器の不備なんじゃね?」
「だ、だよね。ギルド員達、測定器の回収にしか慌てた様子を見せてない
みたいだし?」
「いいや、あれもこの場を誤魔化すカモフラかもしれんぞ?裏の方では
案外大慌てしているかもよ?」
「はは、その可能性もなきにしもあらずか?」
先程の測定器の爆発を見ていた新人冒険者達が、各々の憶測を語っていく。
そんな飛び交う新人冒険者の声や、好奇心&訝しむでこちらを見てくる
視線の攻撃に、
―――――キャアァァァァァアアアッ!!!
みんなから注目を浴びてるぅぅぅぅううっ!?!?
いやぁぁあ!目立ちたくないのにぃぃぃぃいぃ~~~~っ!!!
俺は耐えきれないとばかりに頭を抱えて、思いっきり悶絶をしてしまう。
――――ハッ!?
そ、そうだっ!?
「あ、あの...一応聞きますけど、その壊れたその測定器...べ、弁償とか
い、言いませんよね?」
俺は脳裏に「これって弁償が発生するの?」ではと過ると、顔がみるみる
青くなってゾッとし、測定係のギルド員に恐る恐るとその件を聞いてみる。
すると、
「はは、学生さんですものね。そんな心配もしますか♪」
そりゃ、心配しますよ!
だってその測定器、どう見てもめちゃくちゃ高そうじゃないですかっ!
「でも安心して大丈夫ですよ、学生さん。今回はこちら側の不手際です
ので、弁償は発生しませんので!」
俺の確認に対し、測定係のギルド員がニコッとした表情でそう答える。
「も、もう一度聞きますが、ほ、本当に弁償しなくていいんですよね?」
「はい、しません。だから安心して下さい♪」
俺は用心の為と再度、測定係のギルド員に弁償の件を聞き直すと、少し
苦笑気味の表情で大丈夫だと答えてくる。
「......ホッ!」
それを聞いて、俺はやっと安堵する。
「それでは今から新しい測定器を持って参りますので、しばしの間そこで
お待ちしていて下さいね!」
測定係のギルド員が俺にそう言うと、席からスッと立ち、壊れた測定器の
入った箱を手に持つと、新しい測定器を取りに移動して行く。
「そっか、弁償しなくていいのか......」
ヒヤァァァァァア~~ッ!
いや~ホッント、良かったあぁあぁぁぁああっ!!
あんな高そうな機械、もしも弁償なんて事にでもなったら、母さんの
カミナリが落ちる所だったよっ!
俺はこの危機的回避に、さっきよりも更なる心からの安堵に浸る。
まぁ仮に、弁償って流れになったとしても問題はないんだけどね。
俺は異世界でゲットしてアイテムボックスに仕舞ってある、様々な
レア素材やレアアイテムたちを思い出す。
でもこれらを出すとなったら、確実に色々と面倒ごとが起きるだろうから、
ホント弁償が避けられて良かったよ。
「......それより、まさかあのステータスよりも、更にもっとステータスの
値を下げなきゃいけないとは......」
あっちの世界では、今の隠蔽数値が普通クラスの数値だったんだけどな。
こっちの冒険者レベルは、あっちの冒険者達よりも低いって事か?
いや...さっきグラウンドで見たA級冒険者達はその通りの実力だった。
あ、でもあのC級を名乗っていたナンパ野郎は、あちらのC級以下の
実力だったな?
「......まぁいい。この問題は後に置いておくとして、今は取り敢えず、
係の人が新しい測定器がくる前に、急いで数値の再調整をしておかな
きゃなっ!」
でも一体どのくらいの数値にすればいいんだろう?
「今度はもう間違えられないしな......」
変更しようにも、こちらの冒険者の平均ステータス数値がいまいち
分からず、さてどうしようかと頭を痛める様に悩ませていると、
「では測定を始めるよ?」
「お、お願いします!」
隣で能力値を測定している新人冒険者の声が聞こえてきてきた。
「お、そうだ!この連中のやり取りを聞けば、平均の数値が分かるかも!」
俺はそう思いつくと、早速どんな些細な音を拾えるスキル...『地獄耳』を
発動させ、隣のやり取り内容を詳しく聞き取っていく。