第0話 悪い芽は摘んだはずなのに……
一週間前のこの時。
私は、昔馴染みのクロウと一緒に神殿にいた。
聖女の儀式の打ち合わせのためだ。
「まぁ怖い……プリスト様が誰かに襲われるなんて……」
神殿の中庭を歩いていると、遠くの方で話している神官たちの会話が聞こえてきた。
それを聞いた私は、ピタリと私は足を止めた。
覚えのある名前だったからだ。
「お怪我は?」
「大したことないみたいだけれど」
「でも、なぜ彼女が狙われたのでしょう……?」
「犯人は?見たの?」
「なんか子供だったみたいよ?」
「子供……?」
まさか……なんで……?
黒幕は何もしいていないのに……
なんで……
対策はバッチリしてたから、私もあの子も死ぬ未来は回避できたはず……
こんなこと起きるはずがないのに……
「ルナ、どうしたの?」
立ち止まって動かない私に気がついて、昔馴染みが私に対して声をかけてきた。
私は焦っていた。
だって、この展開になる芽は早々に摘んでいたのに、私の意に介さないところで、
「クロウ……緊急事態よ……」
「緊急事態?」
「今日から儀式当日まで、警備を強化させて!」
絶対にあんな結末にはしないんだから!