雨の日も風の強い日も、お告げのとおりに僕は神社に赴く。
最初こそ体が重く疲れたが、三ヶ月目にもなると、風景を見る余裕も生まれた。
肌で季節を感じることもできた。
「こんにちは」
「こんにちは!」
いつの間にか、毎日お参りをする人に顔も覚えられ、僕も挨拶が返せるようになった。
三ヶ月目の最後のお参りの日。
あの時のキツネが再び僕の体に巻き付く。
「最後に問う。動物になりたいのか?」
もちろん、動物は好きではあるがーー
「もう少し、人間で頑張ります!」
キツネは目を細めて笑い、煙のように消えた。
あんなに嫌気がさしていた人間だったが、偶然現れたキツネのおかげで、僕の世界に光が灯る。
梅雨が明けた外は、青空が広がっていた。