春から夏へと季節の変わり目の遠い昔の頃。
今日は久々の晴れ間で、僕は君と公園で遊んでいた。
すると君は、何かを見つけて思い出したかのように、原っぱの方へ向かう。
そして君は、シロツメクサの葉っぱを持って来て、笑顔で口を開く。
「ユウ君、花占いって、知ってる?」
君は、クローバーを押し付けてきた。
「……好き、嫌い、って言いながら、花びらを摘まむやつ?」
「そうそう!」
君は、ニコニコしていたが、僕は小さくため息をつく。
「これは、花じゃなくて葉っぱだよ」
僕が言うと、君は目を丸めて驚く。
「シロツメクサの花は、あっち、白いの」
緑の葉の中、背を高くして出ている白い花を指し、僕が説明すると、君は目を輝かせた。
「こっちか! でも、これだと小さすぎて占いにくいから、他の花を探すね!」
そう言うと、君はまた公園内を探し回り、次に白いマーガレットを持って来た。
「これでやろう!」
僕は得意気に口を開く。
「この花は、大体21枚の花びらだから、好き、から始めると、好き、で終わるよ」
「なんで分かるの? ユウ君は物知りだね」
君は、また大声を出して驚いた。
それから、じゃあこっち、と、僕の手を引っ張り、次の花の前に連れていく。
「これなら、わからないでしょう?」
僕の目の前に、あじさいが登場した。
僕は、唖然としてまたため息をつく。
「……これ、どこが花びらか分かってる?」
君は、さぁ?、と、はにかみながら答えた。
こういう君の適当なところが、嫌いで好きなんだよなぁ、と、僕も一緒に笑う。
「でも、なんで急に花占いしたがるの?」
「ユウ君は、嫌いだからたくさんため息ついてるのかなぁって思って」
作り笑いをしながら君は言い、僕は突然の告白に戸惑った。
それから僕は君の持っている白いマーガレットを指した。
「これ、本当に21枚か、試しに占ってみなよ。好き、から始めるんだよ」
「……うん。ユウ君は、アイのことが好き、嫌い……好き! ユウ君、好きなんだね!」
アイの顔が一瞬で明るくなる。
僕は、恥ずかしくなるが、うん!、と一つ頷いた。