第49話「魔術師」
「じゃあまず始めに、あなたのプロフィールを当てて見せるわね」
「は、はぁ……」
「よし、それじゃあいくわよ……はぁぁぁぁぁぁ……」
女性は、机に置かれていた水晶に両手を近づけて、物凄い眼力で水晶を眺め始めた。そして数十秒程経った頃に口を開いた。
「……見えたわ……あなたの名前は
「す、すげぇ……全部当たってる……」
焔火は驚愕した。
「それから……実家は文京区、家族構成は母親1人と姉5人……通っている高校は火の玉高校、仲の良い友人は
「あ、当たってるっす……凄いっすね……」
焔火は先程同様驚愕した。
「フッフッフ……ま、ざっとこんなもんよ」
女性は焔火に向けてドヤ顔を見せた。そしてここで焔火が女性に尋ねる。
「あの~、ちょっと聞きたい事があるんすけどいいっすか?」
「ん?」
「お姉さんは、どうして俺を呼び止めたんすか?」
「ん~……何か困ってる感じの様子だったから?何か手助けできたらいいな~と思って」
女性の発言に対して、焔火は顔を若干顔をしかめた。
「……とか言って……何か高額の怪しいグッズとかを売りつけるのが目的なんじゃないすか?」
「失礼ね~……そんな卑しい事しないわよ」
「本当っすか?まぁそれならいいんすけど……あとそれからもう1つ聞きたい事があるんすけど、お姉さんって一体何者なんですか?ミュータントではないんすよね?」
「……私は"魔術師"よ」
「ほえ~……魔術師ね……え?」
彼女の口から出た言葉に、焔火は呆然とした表情を浮かべた。
「ま、魔術師……!?魔術師って……ド◯ターストレンジ的なアレっすか!?」
「ええ、実は私、2年くらい前に訳あって"魔法界"からこっちの世界にやって来て、占い師として生計を立てながら生活してるのよ」
「…………」
焔火は、にわかには信じがたいという様な表情を浮かべながら彼女を見つめていた。
「まぁ、信じるも信じないもあなた次第よ、そんな事よりも、さっきあなたが私に見せた女の写真、もう1回見せて貰える?」
「え?」
「あの女、見つけたいんでしょ?私が見つけてあげるわ、だから写真を見させてちょうだい」
「は、はぁ……」
焔火は
「…………よし、覚えたわ」
女性は、そう言うと写真を焔火に返した。そしてその後、先程の様に水晶に両手を近づけて、水晶を物凄い眼力で眺め始めた。
「……見えたわ……今あなたが捜している女は、世田谷の
「マジすか!?」
「ええ、大マジ、ほら、女が移動する前にとっとと接触してきなさいな」
そう言いながら女性は焔火に右手を向けた。すると焔火の足元に魔方陣の様な物が出現し、焔火は、そこへと吸い込まれ、何処かへと消えていった。