第3章の第81話 どうしようもない問題8
★彡
【『決闘初め』The Duel Begins(ザ デュエル ビギンズ)
『『――ダイスロール!!』』
両者がその手に持った3色の多面体サイコロを放る。
盤上(ボード)に落ちて、コロコロと転がり、クルクルと回転する。
『……』
『……』
コロコロ回転しているのは、未来のスバル。
クルクル回転しているのは、このゲームの熟練者のこの男アストル。
『……』
『……』
先に回転が落ち、止まったのはスバル。
次に、熟練者の紳士服の男。
出た目の数は、
スバル、緑のダイス『星座』:「水瓶座」Aquarius(アクエリアス)、青のダイス『天体』:ドラゴンティル(最弱の目)、赤のダイス『ハウス』:数字の1
アストル、緑のダイス『星座』:「獅子座」Leo(レオ)、青のダイス『天体』:ドラゴンヘッド(最強の目)、赤のダイス『ハウス』:数字の7
AIナビ『ボード』が公平にジャッジをする。
『先行、アストル選手! 後攻トヨボシ選手に決定しました!』
『……』
『……』
だが、この目は……。
『さらに――アストル選手は、最強の目、「ドラゴンヘッド」が出たので、このターンに限り、攻撃力2倍です!!』
『よしぃ!!』
『ハァアアアアア!?』
(何じゃあそりゃあ!?)
と驚き加減の俺。
だが、驚いてばかりはいられなかった……。
『そして、残念な事にトヨボシ選手は、最弱の目……ドラゴンティルが出たので、このターンに限り、ランダムバグが発生します!!
バグの効果により、手札からカードが1枚、ランダムでデッキに戻ります!』
『ちょっ!?』
『さらに場に出ているシシドがデッキに戻ります!!』
『ちょっちょっ!?』
『さらに、このターンに限り、赤いダイスの目が、1のままです!!』
『は……ハァアアアアア!?』
何なんだそれはッ!? ズルいズルい、酷過ぎる……ッッ!!
ハハハハハッ
これには大衆も腹を抱えて大笑いだ。
『あいつ、運ねえなー!?』
『アハハハッ、マジィ~!?』
と笑う若かりし頃のクリスティさん。ううっ……そんな笑わんでも……ッ。
『いくらなんでも、そんな目は有り得ねえだろ!?』
『イカサマでも、してんじゃねえのか!?』
これにはアストル。
『なわけあるか――!!! 初手でいきなり、こんな手を打たれて、何なんだこれ――!? 勝ったももう同然じゃないか――!?』
不審な目を見るボード。
『……』
だが……ここは落ち着いて、審判として、不正か否か、そのドラゴンテイルの続きを対処する。
『――……ダイスを確認してもよろしいですか?』
『うん!』
『もちろん構わないぜ!』
ちょっと小休憩をはさんで、じっくり見聞するAIナビ:ボード。誠実か不正か、どっちなんだ!?
『……』
『……』
『……何も不正がありません! 試合続行です!』
『よっしゃあ――ッ!!』
これにはトヨボシ選手も、マジか……という顔だった……。
ガックリ……とその首を折ってしまう。
『ただし! 不正疑惑も疑えないので、両選手には新たに――』
ウィーン
と盤上の蓋が開き、新しい12面体アストロダイスが出てきた。
……使え、という事か。
私たちは、俺たちは、それを手に取る。
『――そちらをお使いください。ゲーム続行です!! ――そしてッッ!!』
『!』
『?』
『ドラゴンテイルの目には、まだ4つ目の続きがあります。
手札・場・ダイス……ときて、未来の予見です!』
『未来……?』
『……山札の中から、カードを当てる奴だろ?』
『はい。その山札の上から数えて、何番目にあるか指定してください。裏向きのまま、私が預かります』
『何だってそんな事を?』
『ランダムバグの場合、悪い事ばかりで、いいことがありませんからね……。
こーゆう諺があります。
悪い事が続けば、いつかいい事もあると……!』
『……』
『番号の指定を……』
『それじゃあ……』
俺は目線を落とし、この盤上に備えられている、このゲームで使われるキャラ・モンスターカードの属性相性表を見るんだった。
その数は全部で16。
だけど俺は知っている、まだその続きがあるという事を――
『……じゃあ、17で!』
『エンジェルナンバー17ですね!』
『……エンジェルナンバー……』
『はい……エンジェルナンバー17の意味は、ポジティブな姿勢が明るい未来を作るというメッセージを持ちます。
これは、どんな目に会っても、いい方向に捉える事が大切だと、天使があなたに伝えているのです。
あなたは今、必死になり過ぎて、周りが見えなくなったり、
仲間たちのそうした声を無視していませんか?
不安や恐れによって、ネガティブな感情に支配されてしまうと、
周りのそうした変化の流れを、掴めず、滞らかせてしまうでしょう。
引いては仲間外れにもなります……』
『………………』
思い当たる節のある、深い言葉だった……。
『……続きは?』
『はい、数秘術の17という数字には、自信、思いやり、精神的な意識、そして心の強さを表します。
1は始まり、主役、自制心などを意味し。
7は専門家、哲学者、気遣いなどの意味合いを表します。
……失礼ですが、あなたの誕生日は?』
『………………1月……生まれ……』
『いい、数字ですね。
――1の数の中には、こーゆう言葉があります。あなたに送りましょう。
未来が見えず、今取り組んでいることが本当にいいのかな? と思ったときに、これを思い出してください。
そのままで良いんだよ……と天使があなたの背中を後押ししてくれています』
『……』
『……あなたがそれに気づいた時、大きな力の意味を得る事でしょう』
『……』
『あなたの目的は何ですか?』
『……』
『恋愛ですか? それとも仕事ですか? お金ですか?』
『違う』
そこだけはハッキリと告げる。
ここに着た目的だけは、さらけ出さない。
『……そうですか? ……なら、答えは1つです』
『……』
『……新しい事にチャレンジしてください。あなたの可能性を輝かせてください』
『……可能性……』
『それがエンジェルナンバー17の意味です』
『………………わかった』
俺にできる事は少なかった……。
今はデュエル中だ。感傷になってはいけない……。
『……』
ドラゴンテイルの処理に従って俺は、
デッキの上から『17番目に当たるカード』を抜き出し、それをAIナビ:ボードのところに置く。裏向き表示のままだ。
そして、手札をシャフルし、1枚だけ抜き出し、デッキの一番上に置く。
さらに、場のシシドを、デッキの1番上に置く。
それ等を加えて、赤いダイスの目を1の目のままにしておく。このターンは変更できない。
そして、俺は山札をシャフルするのだった。
シャッシャッ、シャッシャッ
『………………』
この頃の俺は、ただひたすらに無心だった。
俺には多くの責任と立場がある。
残してきた人たちもいる。
この時代でやらねばならないこともある。
秘密のまま、俺はしなければならない。
シャッシャッ、シャッシャッ
口に出して言えれば、どんなに楽な事だろうか。
だが、甘えてばかりはいられない。
目的を忘れるな……スバル。
シャッ、ドンッ
と置き、俺は山札からカードを引いていく、その数5枚……。
『……ルールは言わんでもわかるようだな?』
『あぁ、ランダムバグにあった以上、手札はマイナス1のままだ』
『フッ……運の無い奴め!』
『……』
ここまでくれば、私の勝利は揺るがないだろう。
初手は、私が制し、風向きが私に吹いてくるようだ。
★彡
【1ターン目、アストルのターン マップの移動】
『――私のターン!! ダイスロール!!』
アストルが、3色の12面体サイコロ、アストロダイスを振るい、それが盤上に転がり落ち、クルクルと回る。
勢いが段々と落ちてきて、クルクル……と。
出た目の数は、緑のダイス『星座』:「蟹座」cancer(キャンサー)、青のダイス『天体』:ドラゴンヘッド(最強の目)、赤のダイス『ハウス』:数字の12。
スゴイ目が出た。
これには周りにいた人達からも、歓声が上がる。
オオオオオッ
これにはトヨボシ選手も、『なっ!?』と驚いていた。
『――スゴォイ!!』
『!』
その若い声は、若かりし頃のクリスティさんのものだった。
その彼女に対し、相手選手はこう呟く。
『フッ、お嬢さん、俺に惚れると火傷するぜ?』
『キャーーッ! 素敵――ッ!!」
と可愛い仕草で応援するクリスティさん。
『……後で、あたしとお茶しない? ……あたし強い人好きよ?』
『フッ、お嬢さんみたいな奇麗な人に付き合ってもらえるなら、それも悪くないな……んっ?』
『じゃあ、決まりね……え?』
ゴゴゴゴゴッ
と不穏なオーラを漂わせるスバル。メチャクチャ感傷していた。
その時だった。
――Lが注意してきたのは。
『――ダメだよスバル』
『!』
『ここに着た目的を忘れたの!?』
(……そうだった……)
ゴゴゴゴゴ……
と発散気味だった覇気を抑えるスバル。
そして、心の中で以心伝心を執り行う2人。
(……済まない)
(……彼女は僕が見とこうか? そんなに心配ならさ)
(そうか……! ……頼めるか?)
(もちろん!)
(じゃあ頼んだよ! L!)
(……絶対に勝つんだよ)
(ああ!)
約束する俺と僕。
そして、何も知らない対戦相手は。
『フフフッ、君みたいな若いお嬢さんの前で、無様な醜態は晒せないな!』
『フフフ』
『勝利の女神を君に送ろう! ……どうだい? 後で私とお茶をしながら、その後で、一緒にディナーは!?』
『あら……? 悪くないわな。……好きよ? そーゆう風に自分から誘ってくる男性』
(いいカモ……見っけ~!)
悪女クリスティが、心の中で冷悦(れいえつ)な微笑みを浮かべる。
【――アストル選手はね】
【その時、若くて奇麗な女の人をたぶらかしながら、愉悦な気分に浸っていて】
【その要件の話を取り付けた後、クルリ、とその首を曲げて、対面の対戦相手に話しかけたのよ!】
【『フッ、悪いな……!だが、事このゲームにおいては、俺の方に一日の長がある!! 悪く思うなよ!?』……ってな感じでね――】
『フッ、悪いな……! だが、事このゲームにおいては、俺の方に一日の長がある!! 悪く思うなよ!?』
(あれ……!? この言葉って……!?)
デュエルをしつつ物思いにふけるモロボシ選手。それはどこかの誰かに聞いた言葉だった。
紳士服の男は、その心の内では――
(――フンッ! 何も知らない奴め……。この12面体サイコロには、ちょっとしたコツがあるのさ!
出したい目を、上向きにして、回転を加えてから転がすんだ!
そしたらどうなる!? そう、60%以上の確率で、自分が出したい目の数か、その周辺の目が出やすいんだ!!』
正当な方法だった。イカサマなんて一切加えていない。
正々堂々、この勝負に興じていた。
これには、トヨボシ選手も。
『――ッ!』
(二回連続……!)
そのダイスに目を落とし、自身の曇りなき眼で、その事実を認める。
『――アストル選手! 12マス進んでください!』
『よしっ!』
アストルが選んだ4フォーマンセルメンバーの駒が、RPGボードを進んでいく。
1マス、2マス、3マス……12マスと、
停まった地点は、『砦』だった。
『敵の拠点、砦を発見! いきなり中心地で、敵からの猛攻撃を受けます!』
『しゃらくせえ!!』
【スタンバイフェイズ】
最初の1ターン目はデッキからカードを引けないため、そのままドローフェイズをスキップし、スタンバイフェイズに移るのだった。
今、私の場には、ディミトリ・ツルキロボ・ウィッシュロボ・そしてアンタレスの4体がいる。
負ける気がしない。
私はここで、この効果を発動させる。
『――『輝かしい妄執の研究者ディミトリ』の効果発動!』
*ディミトリは、キャラカードです。
『輝かしい妄執の研究者ディミトリ』
HP:300 MP:5 EP:0 AP:0 属性1:金 属性2:雷 性能:なし 星座:アネックサステーション
「素体」→合体強化(ユニオンアップ)→超・合体強化(スーパー・ユニオンアップ)
種族:勇者 効果:
勇者カード・星王カードの共通効果。
致命傷のダメージを受けてもダメージ1で耐える。このカードが墓地に送られた時、ゲームに敗北する。
輝かしい速攻☆
1ターン目の自分のスタンバイフェイズ時だけ、効果発動。なお、ポイントカードを必要としない。
デッキから、アネックサまたはディミトリの私兵の名がついたカードを、フィールド上に特殊召喚できる。
①このカードにオーバーラップされているマジックポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
手札から、アネックサまたはディミトリの私兵の名のついたカード、いずれか1枚を条件を無視して、フィールド上に特殊召喚できる。
②相手プレイヤーが、カード効果を発動した時、このカードにオーバーラップされているマジックポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
そのカードの効果を無効化にし、破壊する。
さらに、相手のフィールド上に、L、スバル、エルスの名前がついたカードがある時、追加処理効果を適用させる。
その内の1体を、ロストゾーンへ送る。
そのカードは、このデュエル中、ゲームから取り除かれる。
③このターンのエンドフェイズ時、自分の墓地にあるマジックポイントを、このカードにオーバーラップできる。
その最大枚数は5枚まで。
*超必殺技:『ディミトリ・オブ・ガーディアン』
緑のダイス:さそり座 青のダイス:二ビル 赤のダイス:1~12 消費EP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
墓地から、ディミトリの私兵、ツルキ、ウィッシュ、ベッタ、ホースの名のついたカードを、ゲームから取り除くことで、
EXデッキから、ディミトリ・オブ・ガーディアンを特殊召喚できる。
この特殊召喚は無効化されず、また破壊されない。
*必殺技:『異次元牢獄』Different Dimension Prison(ディファレント ディメンション プリズン)
緑のダイス:さそり座 青のダイス:冥王星 赤のダイス:9~12 消費EP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のキャラ・モンスタカード1体を対象とし、効果適用。
そのカードをロストゾーンへ送る。
*魔法:『波動砲』
属性:オーラ 敵1体に400ダメージ
緑のダイス:さそり座 青のダイス:冥王星 赤のダイス:9~12 消費EP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のキャラ・モンスタカードに攻撃。
*通常攻撃:『デストロイミサイル』
属性:無 攻撃力:敵1体に40ダメージ×+@連発ヒット
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~6で5ヒット 赤のダイス:7~12で10ヒット
*弱点
属性:火・電気・オーラ・木・土×2
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:40 守備力:40
『――私が、デッキから特殊召喚するのは、このモンスターカード!! 『ディミトリの私兵・スコルピウス』だ!』
ヴーン
と盤上が光に照らされ、サソリ型の大型機械モンスター、『ディミトリの私兵・スコルピウス』が現れたのだった。
【メインフェイズ】
(今、私の場には、ディミトリ、ツルキロボ、ウィッシュ、アンタレス、そして新たに加わったスコルピウスがいる!
最高の盤面だ……!!)
私は、自信を持ってそう満じる。
『この先行のターンは、相手のキャラ・モンスターカードに対し、攻撃はできないが……。……状態異常にはできる!!』
『まさか……』
『そう、私は手札から、このマジックポイントを! 『ディミトリの私兵・スコルピウス』にオーバラップさせる!!』
私は、手札を切り、その中から魔法カード『マジックポイント』を、『ディミトリの私兵・スコルピウス』にオーバラップさせるのだった。
その数、2枚。初期手札は6枚なので、6-2=4、4枚となる。
『スコルピウスの効果を2回発動!! この砦全域と! お前のフォーマンセルメンバーを『毒状態』にする!!』
『!!』
『!!』
AIナビ:ボードが、トヨボシが驚く。
『喰らえ、ディミトリ・ポイズン!!!』
『ディミトリの私兵・スコルピウス』
HP:200 MP:4 EP:0 AP:0 属性1:金 属性2:雷 性能: 星座:アネックサステーション
素体→「EX進化」→GX進化
種族:機械兵 効果:
①ディミトリの私兵の共通効果。
このカードが通常召喚・特殊召喚に成功したターン、自分は通称召喚に加えて、もう一度だけアネックサと名のついたモンスター1体を通常召喚できる。
②このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを1つ取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のすべてのキャラ・モンスターカードを毒状態にさせる。
③エンドフェイズ時、このカードが自分のフィールド上にあり、相手フィールド上のキャラ・モンスターカードが毒状態だった場合に限り、
そのすべてのキャラ・モンスターに40ダメージを与える事ができる。
*超必殺技:なし
*必殺技:『スコルピウスの毒尾』
属性:毒 攻撃力:敵1体に100ダメージ 状態異常:猛毒状態。毎ターン最大HPの4分の1ダメージを受ける。
緑のダイス:さそり座 青のダイス:二ビル 赤のダイス:9~12 消費:MP-2
このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを2つ取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上の敵1体を攻撃する。
相手は猛毒状態になる。
*魔法:『スコルピウスのハサミ』
属性:毒 攻撃力:敵1体に40ダメージ 状態異常:猛毒状態。毎ターン最大HPの4分の1ダメージを受ける。
緑のダイス:さそり座 青のダイス:月 赤のダイス:5~8 消費:MP-1
このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを1つ取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上の敵1体を、その剛腕のハサミで捉え、口から猛毒の球を吐き出して攻撃する。
相手は猛毒状態になる。
*通常攻撃:『スコルピウスのミサイル針』
属性:毒 攻撃力:敵1体に80ダメージ×+@連発ヒット
緑のダイス:さそり座 青のダイス:二ビル 赤のダイス:1~3で1ヒット 赤4~6で2ヒット、赤7~9で3ヒット、赤10~12で4連発ヒット 消費:なし
*弱点
属性:霊・アカーシャ・マジック・エナジーア×2倍
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているエナジーアポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:80 守備力:80
モクモク、モクモク
毒の霧が、砦全域とフォーマンセルメンバーを襲う。
その霧がはれると……、全員毒状態になっていた。
『ッ』
『ゲッ!?』
マジかよ……ッ。
『これで毎ターン、10ダメージ受ける事になる!!』
砦内のモンスター、毒状態。
フォーマンセルメンバーL、毒状態。
『クッ……』
『しかも、お前のキャラカードのほとんどは低水準……いいのか!? そのまま何もしないで放っておくと、少なくとも2名があの世行きだぞ!?』
『クッ』
Lは要だ……ここで失う訳にはいかない。
この場に出ているのは、アユミ、クリスティのカード……。
クリスティさんか、現実の彼女なら、こうした場面でも何らかの対処ができるだろう。
血清とかな?
……スバルを出してから、その対応策を考えないといけないな。
毒の状態異常が、L、アユミ、クリスティの3名を、蝕んでいく……。
『さらにこのターン、私は手札からこのカード、アネックサの4体目を、場に出す!!』
『……ッ』
『出でよ、アネックサ・ベッタロボ!!』
『アネックサ・ベッタロボ』(見た目はテントウムシに似せたモノ)
HP:40 MP:1 EP:0 AP:0 属性1:金 属性2:雷 性能:なし 星座:アネックサステーション
「素体」→合体強化(ユニオンアップ)
種族:機械兵 効果:
①アネックサ共通効果。
このカードを、通常召喚・特殊召喚した時、デッキから、アネックサと名のつくモンスターカードを手札に加える事ができる。
その後、デッキをシャッフルする。
②このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを1つ取り除くことで、効果発動。
このカードと、ツルキ、ウイッシュ、ホースの名のついたカードを合わせて2枚、フィールド上から墓地へ送る事で、
デッキから、ディミトリの私兵の名がついたカードを、特殊召喚することができる。
*超必殺技:なし
*必殺技:『怒涛の睡眠弓激』
属性:無属性 性能:なし 攻撃力:敵1体に40ダメージ×+@連発ヒット 状態異常:ねむり
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12で5ヒット 消費MP-1
ベッタロボは、他のアネックサロボとは違い、その機体の小ささが一番厄介だ。
周囲を旋回しつつ、危険を感じたら、その身の防衛本能が働き、ピカァ、と一瞬だけ、その身を発光させる。
雷のようにジグザグに高速移動し、人の感知範囲を外れる。
その一瞬だけ光る発光体の造りは、そのテントウムシに似せた穴と。
雷のようにジグザグに動く仕草は、特殊なジェットエンジンを複数台取り付けられているからだ。
その素早さは、アネックサロボの中でも、群を抜き、自分たちの死角をついてくる。
放たれるは、番えてていた弓矢だ。
弓矢の雨あられ、その弾幕。もう逃げ場などないだろう。
*魔法:なし
*通常攻撃:『閃光後突進』
属性:なし 性能:なし 攻撃力:敵1体に40ダメージ 状態異常:一瞬だけ暗目(あんもく)
緑のダイス:なし 青のダイス:なし: 赤のダイス:1~12
その見た目の可愛さに騙されてはいけない。
まるでテントウムシのように似せられていて、その大きさは実にバスケットボール大だ。
それは、何も知らない人を騙すための仕草そのもの、キュート、プリティ!?
安易に近寄り、その背中の星模様を見詰めてはいけない。
ピカァッと強烈な閃光を与え、一瞬だけ、そう一瞬だけ人の目の機能を奪う。
一時的に視覚を失った対象者は何が起こったのか、わからず、事態を把握できず、その場をウロウロするだろう。
そして、不意に強烈な突進攻撃を仕掛け、相手を転ばせるのだ。
知っていて、見かけたら、真っ先に倒すべき相手だろう。
*弱点
属性:火・電気・オーラ・木・土×2
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:40 守備力:40
『通常召喚に成功したこのターン! 私はデッキからこのカード、アネックサ・ホースロボを手札に加える!』
アストル選手は、デッキからそのカードを手札に加える。
その手札の数4枚のまま。場に出して効果発動して、デッキから新たにカードを手札に加える。
手札が減る道理がない……良く考えられている。
ただし、通常召喚はしたので、これ以上召喚できない。
まぁ、特殊召喚なら別だが……。
『――この瞬間、私の場にはツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボが揃い!
私の手札にも、ホースが来た!』
『! 4体のモンスターが揃った……!?』
『ああ、見せてやるぞ……! これがアネックサの真骨頂だ!!』
『!』
『このターン、私は手札からこのカード、アカーシャ―ポイントを『アネックサ・アンタレス・アカーシャ』にオーバラップさせる!!」
アストル選手は、手札からマジックカード、アカーシャ―ポイントを、アネックサ・アンタレスにオーバラップさせてきた。
『『アネックサ・アンタレス・アカーシャ』の効果発動! 下に重ねてある『マジックポイント』をオーバラップさせることで、
EXデッキ(エクストラデッキ)から、アネックサ・オブ・ガーディアンを特殊召喚する!!』
『アネックサ・アンタレス・アカーシャEX』
*アネックサ・アンタレス・アカーシャEXは、特別な個体、キャラカードです。
HP:300 MP:3 EP:3 AP:5 属性1:アカーシャ 属性2:なし 性能:なし 星座:アネックサステーション
「素体」→合体強化(ユニオンアップ)→超・合体強化(スーパー・ユニオンアップ)
種族:勇者 効果:
勇者カード・星王カードの共通効果。
致命傷のダメージを受けてもダメージ1で耐える。このカードが墓地に送られた時、ゲームに敗北する。
①このカードにオーバラップされているアカーシャ―ポイントを1枚取り除いて、効果発動。
手札・フィールド上にある、ツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボ・ホースロボを、このカードにオーバーラップさせる。
このカードを含む、ツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボ・ホースロボをロストゾーンへ送り。
EXデッキから、アネックサ・オブ・ガーディアンを特殊召喚させる。
②このカードにオーバーラップされているアーカーシャポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のキャラ・モンスターカードを1体を対象とし、ロストゾーンへ送る。
③相手プレイヤーが、カード効果を発動した時、このカードにオーバーラップされているアーカーシャポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
そのカードの効果を無効化にし、破壊する。
④このターンのエンドフェイズ時、自分の墓地にあるアーカーシャポイントを、このカードにオーバーラップできる。
その最大枚数は5枚まで。
*超必殺技:なし
*必殺技:なし
*魔法:なし
*通常攻撃:なし
異次元漂流者(ストランディング)。
その経緯は謎だが、ディミトリに飼われている謎の生物。
ディミトリによる魔改造を受け、異形の姿となっている。
アカーシャ―由来らしいが、その詳細は謎に包まれている。
*弱点
属性:霊・エナジーア・アカーシャ
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:0 守備力:0
『――出でよ! アネックサ・オブ・ガーディアン』!!』
ヴーン
盤上が光に照らされ、ツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボ、ホースロボのその姿が消え、
アネックサ・オブ・ガーディアンが特殊召喚されたのだった。
『アネックサ・オブ・ガーディアン』(見た目はV字の鶴顔に、胴体はずんぐりむっくりで亀を甲羅を有す、用いる武器は、剣と盾、槍、弓矢、大槌)
HP:600 MP:3 EP:3 AP:5 属性1:金 属性2:雷 性能: 星座:アネックサステーション
素体→「EX進化」→GX進化
種族:機械兵 効果:
常時効果
・エルスの特殊召喚不可。スバルとLがエナジーア変換しようとした時、効果発動。
Lを対象とし、ロストゾーンへ送る。
ゲームから取り除かれたそのカードは、このデュエル中使用できない。
・妄執の研究者ディミトリが墓地に送られた瞬間に効果発動。
勇者カード・星王カードの共通効果。
致命傷のダメージを受けてもダメージ1で耐える。このカードが墓地に送られた時、ゲームに敗北する。
――を無効にし、その妄執の研究者ディミトリをロストゾーンへ送る。
EXデッキから、ディミトリ・オブ・ガーディアンを特殊召喚する。
①ガーディアン共通効果。
このカードを、通常召喚・特殊召喚した時、デッキから、アネックサと名のつくカードを1枚、手札に加える事ができる。
その後、デッキをシャッフルする。
②このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを1つ取り除くことで、効果発動。
自分の墓地にあるアネックサと名のついたカードを2枚選ぶ、
1枚をロストゾーンへ送り、もう1枚を手札に加える事ができる。
③このカードにオーバーラップされているアーカーシャポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のキャラ・モンスターカードを1体を対象とし、ロストゾーンへ送る。
*超必殺技:『鯨波の雷伝大槌』
属性:雷属性 性能:ブレイク 攻撃力:敵1体に200ダメージ
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12 消費MP-1
大型の機械兵。
その顔はまるで馬のようだった。
ずんぐりむっくりとしたその体系、見るからにパワーファイターだ。
敵と定め補足したら最後、アネックサロボの中で、一番ヤバい奴はこいつだ。
その場で背中に取り付けられたジェットエンジンが火を噴き、急発進。
その勢いのまま、アームに装備された大槌を振るいあげ、稲光に似たような雷鳴を響かせ、渾身の限り打ち下ろしてくるぞ。
一撃で、ヒキガエルのようにひっしゃげるか……。そうでなくとも地を走り抜ける雷伝の作用により、身が痺れて、しばらくまともに立ち回れないだろう。
*必殺技:『炎亀のブーメランブレイク』
属性:火属性 性能1:ソード 性能2:ブレイク 攻撃力:敵全体に100ダメージ×+@2ヒット 状態異常:やけど
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12で2ヒット 消費:MP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
その場で、亀の甲羅に頭、両足を引っ込め、その穴から、ジェットエンジンの火が噴き、高速回転を起こすぞ。
まるで炎のブーメランのように飛んでくる。
ぶつかったら最後、人のこの身がひっしゃげ、細切れになるだろう。
*魔法:『怒涛の睡眠弓激』
属性:無属性 性能:なし 攻撃力:敵1体に40ダメージ×+@連発ヒット 状態異常:ねむり
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12で5ヒット 消費MP-1
ベッタロボは、他のアネックサロボとは違い、その機体の小ささが一番厄介だ。
周囲を旋回しつつ、危険を感じたら、その身の防衛本能が働き、ピカァ、と一瞬だけ、その身を発光させる。
雷のようにジグザグに高速移動し、人の感知範囲を外れる。
その一瞬だけ光る発光体の造りは、そのテントウムシに似せた穴と。
雷のようにジグザグに動く仕草は、特殊なジェットエンジンを複数台取り付けられているからだ。
その素早さは、アネックサロボの中でも、群を抜き、自分たちの死角をついてくる。
放たれるは、番えてていた弓矢だ。
弓矢の雨あられ、その弾幕。もう逃げ場などないだろう。
*通常攻撃:『猛烈突き突き突き突き突き』
属性:氷属性 性能:ソード 攻撃力:敵1体に40ダメージ×+@連発ヒット 状態異常:こおり
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12で5ヒット 消費MP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
バサッバサッとバサッバサッと羽ばたきながら、背中に取り付けられたジェットエンジンが火を噴き、その場で急発進。
猛烈な勢いで突進を仕掛けながら、猛烈突き突き突き突き突きを繰り出す。
擦過した後には、ジェットエンジンの焼け焦げたニオイと謎の肉片と血潮の湖が広がっている事だろう。
*弱点
属性:火・電気・オーラ・木・土×2
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:40 守備力:40
『アネックサ・オブ・ガーディアンの効果により、私はデッキからこのカード、『アネックサ・緊急警報』を手札に加える!』
スッ……
と1枚追加される。
これでアストル選手の手札は、4+1で5枚となったわけだ。……増えてるし……。
『――いい手札だ……』
感心な思いの私。
(これがアネックサの魅力だ……! ここまでやっても、1枚ぐらいしか損していないからだ)
『フフフ……』
と笑い声を零しつつ、私は手札からこのカードを切る。
『私は手札から、先ほど加えたばかりの『アネックサ・緊急警報』を発令させる!!』
『!』
マジックカード:『アネックサ・緊急警報』
デッキから、アネックサの名がついたカードを、フィールド上に特殊召喚できる。
盤上が光に照らされ、アネックサ・ツルキが特殊召喚されたのだった。
『アネックサ・ツルキロボ』(見た目は鶴亀を模したモノ)
HP:40 MP:1 EP:0 AP:0 属性1:金 属性2:雷 性能:なし 星座:アネックサステーション
「素体」→合体強化(ユニオンアップ)
種族:機械兵 効果:
①アネックサ共通効果。
このカードを、通常召喚・特殊召喚した時、デッキから、アネックサと名のつくモンスターカードを手札に加える事ができる。
その後、デッキをシャッフルする。
②このカードの下に、オーバラップされているマジックポイントを1つ取り除くことで、効果発動。
このカードと、ウィッシュ、ベッタ、ホースの名のついたカードを合わせて2枚、フィールド上から墓地へ送る事で、
デッキから、ディミトリの私兵の名がついたカードを、特殊召喚することができる。
*超必殺技:なし
*必殺技:『炎亀のブーメランブレイク』
属性:火属性 性能1:ソード 性能2:ブレイク 攻撃力:敵全体に100ダメージ×+@2ヒット 状態異常:やけど
青のダイス:二ビル 緑のダイス:さそり座 赤のダイス:1~12で2ヒット 消費:MP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイント1枚取り除くことで、効果発動。
その場で、亀の甲羅に頭、両足を引っ込め、その穴から、ジェットエンジンの火が噴き、高速回転を起こすぞ。
まるで炎のブーメランのように飛んでくる。
ぶつかったら最後、人のこの身がひっしゃげ、細切れになるだろう。
*魔法:なし
*通常攻撃:『燃え上がる切りつけ』
属性:火属性 性能:ソード 攻撃力:敵1体に40ダメージ×+@連発ヒット 状態異常:やけど
緑のダイス:なし 青のダイス:なし: 赤のダイス:1~6で1ヒット 赤7~12で2ヒット
機械のアームに装備されているのは、剣と盾。
どんな攻撃をしても、そのほとんどの攻撃は、そのアームに取り付けられた機甲に似せた盾によって防がられてしまう。
燃え上がる火炎の剣の人振りは、熱く、空気すら焦がす。
例え、その一振りを受け止めても、如何なる金属すら溶解するだろう。
*弱点
属性:火・電気・オーラ・木・土×2
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:40 守備力:40
『この瞬間! 『アネックサ・ツルキロボ』の効果が発動し、デッキから新たにウィッシュを手札に加える!』
へ……減らない……。アストル選手の手札が、5枚のままだ……。
だ、だけど……。
(……今あいつの手札には、ウィッシュがある……!)
あの5枚のうちの1枚は、ウィッシュロボと見て、間違いない。
『……』
(それに見たところ、マジックもトラップも伏せていない……)
『……』
(初手から手札トラブルか……?)
俺はそう睨んだ。
初手から、あいつの手が見え出してきた。
『……』
アストル(私)は、自分の手札を見る。
(……今私の手札には、ウィッシュきている……!』
『……親切な奴……』
と思わず呟きが零れるほどだ。
まぁ、ウィッシュロボが手札にきてるのは、当たり前ちゃ当たり前だ。
『このターンはもう通常召喚権は使用したので、もう手札からは出せない……! なら……!)
【バトルフェイズ】
【――アストル選手は、その対面の対戦相手には、このターンは攻撃できないと言ったけども……】
【あくまでそれは、対面でのデュエルに限った話よ!】
【そう、RPGボードゲームプレイ中での話だから、その拠点の砦制圧を、このターンの内に済ませたの……】
今、あいつの場には、妄執の研究者ディミトリ、ディミトリの私兵スコルピウス、アネックサ・オブ・ガーディアン、ツルキロボの計4体。
さすがに熟練者。
もうこのターンで、4体も強化して出している。
『――バトルだ!! ダイスロール!!』
私は、3色のアストロダイスを振るい、それが盤上に転がり落ち、クルクルと回る。
勢いが段々と落ちてきて、クルクル……
出た目の数は、緑のダイス:さそり座、青のダイス:冥王星、赤のダイス:5
『いい目だ!! 妄執の研究者ディミトリで、『プラシニィサーヴラ』を攻撃!!』
それはモンスタカード、プラシニィサーヴラだった。
見た目的に言えば、緑色の人型トカゲである。
妄執の研究者ディミトリの腕に取り付けられた銃口が光り輝き、エネルギーが畜力、集束されていき――まるでビームのように照射された。
プラシニィサーヴラの顔が光に照らされ、連続ヒット後、
光の光線の中で蒸発して消え失せた……。
『続けて攻撃!! スコルピウス!! ガーディアン!! ツルキ!!』
瞬く間に、プラシニィサーヴラの拠点、砦を制圧したのだった。
『――プラシニィサーヴラの拠点を制圧!! アストル選手クリアです!!』
『よしっ!!』
『拠点を制圧した事で、プラシニィサーヴラが隠し持っていた宝箱から、こんなものが出てきました』
ヴ―ン
それはコンパスであった。
だが……全面黒塗りの中に、1点だけ光が灯される。光っているところが、ボスが隠れているところとみて、間違いなさそうだ。
『後はマップの入手だな……』
【――まぁ、あのディミトリの私兵・スコルピウスのカードがある以上、そのまま、バトルフェイズをしなくても、追撃効果により】
【毒ダメージをもらって、この砦を制圧したのには変わりはないわ……】
【必要なかったってことね】
【……コンパス以外には何がいるの?】
その声はアユミちゃんだったわ。
【マップがいるのよ。……それでマップが鮮明になって、コンパスの指針を頼りに、どこにボスがいるのか……居所を現すわけね】
【なるほど……ねぇ】
納得の思いのアユミちゃんがそこにいたわ。
【サブフェイズ】
『私は、このターン!
ガーディアンのもう1つの効果を発動させる!』
『!』
『私は手札からこのカード、マジックポイントを、オーバラップさせる!』
アストル選手は、手札を切り、フィールド上のアネックサ・オブ・ガーディアンに、マジックポイントをオーバラップさせる。
『効果発動!
自分の墓地にあるアネックサの名がついたカードを2枚選び、1枚をロストゾーンへ送り、残ったもう1枚を手札に加える!
そう、アネックサ緊急警報をな!』
『……クッ』
(なんてコンボなんだ……付け入るスキがない……!?)
つまり、手札はプラマイ0だ……。
『さらに、私はこのターン! 手札からこのカードを場に伏せる』
その数2枚。
5-3=3で、残り3枚となる。
そして、アストル選手の魔法・トラップゾーンに、2枚のカードがセットされた。
『ターンエンド……!』
だが……。
【エンドフェイズ】
『――だがこの瞬間!! ディミトリの効果が発動し、墓地にあるマジックポイントを2枚、ディミトリにオーバラップさせる!!』
ディミトリにマジックポイントが2枚、オーバラップされた。
『さらに! アンタレスの効果により、ほぼ同じく、墓地にあるアカーシャ―ポイントを1枚、アンタレスにオーバラップさせる!!』
アンタレスにアカーシャ―ポイントが1枚、オーバラップされた。
ま、マジですか……?
『これで、私のターンは完全に終了だ! パーフェクト!』
『……クッ』
なんてとんでもない人なんだ……。
アストルの手札:3枚(内2枚はウィッシュロボ、アネックサ緊急警報と判明している)
魔法・罠:2枚
モンスタカード:ディミトリ、スコルピウス、ツルキロボ
EXカード:アネックサ・オブ・ガーディアン
EXカード:
モンスタカード:L、アユミ、クリスティ
魔法・罠カード:
トヨボシの手札:6枚
【2ターン目、トヨボシのターン】
『――………………俺のターン……』
俺は初手から凄まじいものを見せつけられて、重圧(プレッシャー)がかかっていた。
クソッ、何だってこんな強い人がいるんだ?
だが、それでもやるしかない。
『……』
俺は気持ちを切り替えて、場(フィールド)のカードを見る。
L、アユミ、クリスティの1人を欠いたフォーマンセルメンバーだ。
1枚だけ、輝かしいカードがあり、それはLのカードだった。
やはり、望みを繋ぐのは――
『――……やっぱり、君を信じるしかないな……フッ、『輝かしいL』の効果発動!!』
『輝かしいL』
HP:300 MP:3 EP:5 AP:3 属性1:念 属性2:エナジーア 性能:なし 星座:アンドロメダ座
「素体」→EX進化→GX進化
種族:勇者 効果:
勇者カード・星王カードの共通効果。
致命傷のダメージを受けてもダメージ1で耐える。このカードが墓地に送られた時、ゲームに敗北する。
輝かしい速攻☆
1ターン目の自分のスタンバイフェイズ時だけ、効果発動。なお、ポイントカードを必要としない。
デッキから、スバルと名のついたカードとエナジーア変換携帯端末を選び、
手札にエナジーア変換携帯端末を加え、
さらに、スバルを自分フィールド上へ特殊召喚させることができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
その後、デッキをシャフルする。
そして、この特殊召喚されたスバルの効果を、特別な処理として適用させることができる。
このカードの②③の効果は、自分・相手ターンで数えて、1ターンに1度しか使用できない。
①自分・相手フィールド上にスバルの名がついたカードがある時、効果発動。
このカードを手札からフィールド上に特殊召喚することができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
このカードが特殊召喚に成功した時、デッキ・墓地・ロストゾーンから、
エナジーア変換の名のついたカードを1枚選び、手札に加える事ができる。
②このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを1枚取り除くことで、効果発動。
デッキの中から、カードを1枚選び、そのカードを一時的にロストゾーンへ置く。
その後、手札をデッキに戻し、シャッフルする。
その後、デッキからカードを6枚ドローし、一時的にロストゾーンに置いていたそのカードを手札に加える。
③このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを1枚取り除くことで、効果発動。
フィールド上のカードを選び、その1枚を手札に戻す。
*超必殺技:『超・エナジーア変換』
緑のダイス:水瓶座 青のダイス:木製 赤のダイス:4~12 消費:EP×カード枚数1
このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを、そのカード枚数×X、取り除くことで、効果発動。
手札・フィールド・墓地・ロストゾーンから除外されているこのカードを含む、スバル・L・ゲーリリス・プティルをゲームから除外することで、
EXデッキからGXキャラをフィールド上に特殊召喚することができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
*必殺技:『九重(エンネアソロス)エナジーア波』
属性:エナジーア 攻撃力:敵全体に290ダメージ
緑のダイス:水瓶座 青のダイス:木星 赤のダイス:4~12 消費:EP-2
このカードにオーバーラッパされているエナジーアポイントを取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上、全域に攻撃。
*魔法:『エナジーア爆(エクリシィ)』
属性:エナジーア 攻撃力:敵1体に200ダメージ
緑のダイス:水瓶座 青のダイス:木星 赤のダイス:4~12 消費:EP-1
このカードにオーバーラッパされているエナジーアポイントを取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上、敵1体に爆裂攻撃。
*通常攻撃:『サイコキネシス』『エナジーア弾』『エンセルト』『テレポート』
この4つの魔法は、このカードにエナジーアポイントが下に重なっている(オーバラップ)されている限り、維持できる。
場や状況、敵により使い分けよう。
『サイコキネシス(プシキキニシス)』
属性:エスパー 攻撃力:敵1体に100ダメージ
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~8で通常通り、赤9~12でクリティカルで2倍のダメージ 消費:EP-1で維持できる
『エナジーア弾』
属性:エナジーア 攻撃力:敵1体に40ダメージ+@連発ヒット
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~4で1ヒット 赤5~8で2ヒット 赤9~12で3ヒット 消費:EP-1で維持できる
『エンセルト』
属性:『エンセルト』 防御力:相手ターン中に発動する。対象者は1人に限る。
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~6で、そのバトルフェイズに置いてダメージを受ける事がない。赤7~12でカード効果による破壊を無効にし、それを破壊する。 消費:EP-1で維持できる
『テレポート(チルエメテフォート)
属性:エスパー 防御力:自分・相手ターン中に発動できる。カードの入れ替え。
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~12 そのバトルフェイズ中に限り、効果発動。このカードと手札のキャラ・モンスターカードを入れ替える。 消費:EP-1で維持できる
*弱点
属性:霊・アカーシャ・マジック・エナジーア×2倍
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているエナジーアポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:100 守備力:100
盤上が光に照らされ、Lの効果が発動した。
デッキからスバルが特殊召喚された。
並び立つ2人。
そして、俺の手札には、エナジーア変換携帯端末のカードがきていた。
(やりたまえよ……クククッ)
『行くぞッ!! マジックカード『エナジーア変換携帯端末』を使用し! 特定のキャラカードを、エナジーア変換させる!! ――対象は、Lとスバル!!』
(かかった!!)
『この瞬間!! アネックサ・オブ・ガーディアンの効果を適用させる!!』
『なっ……!?』
『その2人の内、1匹!! そう、Lをロストゾーンへ幽閉させる!!』
(しまった……Lが除外された……!!)
盤上が光に照らされ、対称となったLは、ロストゾーンへ除外されたのだった……。
つまり、魔法カードのエナジーア変換携帯端末も無駄に終わり、墓地へ。
さらに言えば、普通の手段では、Lをこの場に戻せなくなってしまった……。
どうするトヨボシ?
『……クッ!』
☆彡
過去から現在に戻り。
僕本人が。
『――その後どうなったの――!?』
『さあ?』
『ほへ……』
マヌケな声を漏らすスバル君。
クリスティさんは、こう続ける。
『ヨーシキワーカさんが手掛けた小説の中に、気になるその続きがあっても、
なぜか御本人様は、その続きを書いてらっしゃらないのよ……まだハッキング中にあってて、なぜか!?』
『………………』
僕は心底こう思う。それは口に衝いて出た。
「メチャクチャ続きが気になるんですけどォオオオオオ―――――!!!?」
ハッキング連中のバカやろォオオオオオ。
☆彡
その頃、Lは。
夜の冷え込む白砂漠の中、クリスティさんのお父さんとその長女ルビーアラさんの後ろを付けていた。
その時、砂塵が襲ってきたのだった。
ビュオオオオオ
「「!! ヒッ!?」」
慌てて逃げる2人。
みっともなくとも逃げるしかない。ザスッザスッとその砂を踏む音をバタつかせながらも逃げる。
それを追う砂塵。
「「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」」
その逃げる途中で、長女が履いていた靴が外れ、お父さんの足元に転がり落ちる。
それが原因で足が引っかかり、前のめりに倒れる。
その際、長女ルビーアラさんの衣類の背中を掴んでしまい、その前のめりの重心がかかり――
『――あっ!? キャッ!!?』
長女ルビーアラさんもろとも、その場に倒れ込むのだった。
迫る砂塵。
ビュオオオオオ
急いで起き上がり、危険を察した防衛本能が、その長女の本心をさらけ出す。
「痛いじゃないのクソ親父!!!」
「ッ!?」
「あたしまで殺す気!?」
「なっ!?」
(……んっ? 何だろう?)
気になる僕は、その現場へ近づく。
砂塵については、全然怖くもない。
「あたしまで殺す気かって聞いてんのよッ!?」
ドンッ
と起き上がろうとしていた肉親を、弾き飛ばす。
この行為には、仰天の思いで驚くしかないお父さんは。
「な、何をするんだ!?」
「フンッ!! 別ニィ!!」
「別にってお前な!!」
ビュオオオオオ
迫る砂塵。
「チィ……!!」
起き上がって、逃げ出そうとするあたし――だったけど……。
「――キャッ!?」
とその場で倒れ込む。
顔ごと砂に埋もれる。
プハッ……
とその場で身を起こすルビーアラさん。その砂には、くっきりとルビーアラさんのその顔とおっぱいが象られていた。
「何すんのよ!!」
「黙れ!!! 何様のつもりだ!!」
「なっ!?」
「ここまで育ててやった恩を忘れたか!?」
「なっ!? ……ここでそれ言う気!?」
「当たり前だッ!!」
娘に掴みかかるお父さん。
首元を掴み、その場で立たせようとする。
「お前等を育てたのは俺だぞ!!! 心血注いで、汗水たらして、ここまで育ててやった恩を忘れたか!?」
ドンッ
と今度は、父からその娘を弾き飛ばす。
「キャッ」
「お前もクリスティと同じだ!!」
「クッ!! 誰があんな奴とォオ!!」
バシッ
「! のわっ!!」
ザブッ
と長女ルビーアラさんの足払いが決まり、気持ちいいように、すっころぶお父さん。
今度は、お父さんが耳元から転び、その横向きの象ったものが、砂に残るのだった。
「な、何をする!!」
「うっせぇようっせぇよ!!! クソ親父!!!」
「なっ!?」
「だいたい聞いていればな……あっ……」
「あっ……」
「「あっ……」」
ビュオオオオオオオ
「「きゃあああああ(うわぁああああああ)!!!」
と悲鳴を上げながら、お互いに抱き着き合う父娘の構図。
そこへLが飛来してきて。
「もう、ついていけないなぁ……」
カッ
とその両目が青白く光り、その砂塵を、ねじ切るように木っ端みじんに吹き飛ばすのだった。
パァン
「「!?」」
ザァアアアアアア……
と数えきれないほどの大粒の砂が、もう熱く、痛いくらいぐらいに、その2人に降りかかるのだった。
熱く感じる原因は、摩擦係数の問題だ。
これは砂塵の大粒の雨が、凄まじい勢いで降ってきた場合、
それ等が、肌・衣類に瞬間的に引っかかり、次々と散段なく降り積もるので、
痛みと熱さが混在している訳だ。
「痛タタタタタッ!!!」
「熱い~ッ!! もう、今日はいったいなんて厄日(ひ)なのぉおおおおお~~!!!」
と悲鳴を上げる子供たちのお母さんの姿が、そこにあったのだった。
☆彡
【アネックサステーション】
【――静まりかえった室内……】
【安置された、2台のカプセル……】
【それは、『冷凍睡眠』コールドスリープ(クライオニクス)】
それは、既に亡くなった人に充てられたものだった。そのカプセルの数は、2つ。
不思議なことに、カプセルの上部の窓が開いていた。
コッコッコッコッコッ
【そこへ立ち寄る、怪しげな音……】
『……』
【暗がりの中、赤いランプの照明が、その男の横顔を照らす】
『……』
【振り上げるその手には、一振りのナイフがあった。キラリ、と光り、それを勢いよく振り下ろす】
ガッ、ガッ、ガッ
【と何度も何度も、それを振り下ろす】
【それは妄執の思い……】
ガッ、ガッ、ガッ
『ハァッ! ハァッ! ハァッ!』
【そしてついに――】
「――ハァ……ハァ……。ハァ……。ウィッシュ……ツルキ……』
フゥ……フゥ……。
【と口から呼気を吐き、整える男】
【機械のその体、人の体を改造し、サイボーグ化していた】
【その男の名は――『妄執の研究者ディミトリ』……!!】
【あのヨーシキワーカ氏が遺した小説は、これを予言していた】
☆彡
『もう、なんで続きがないのさぁ!?』
『気になるよね? もうっ!!』
『ごめ~ん……許してぇ~!』
アユミちゃんが、スバル君が、クリスティさんが、口々にそれを語る。
【スバルとクリスティが――】
「ハァ……うわっ!!」
ドサッ
とお父さんの目の前に、エリモスクロコピオスが降ってきた。
その見た目は、まるでワニとサソリを足したような感じだった。
砂漠をかく水かきのようなものがあり、ワニのようなギザギザの鋭い派に、サソリの毒針の尻尾が備わっていた。
しかも、どーゆうわけか丸焼きになっていた。それもご丁寧に。
「……な、ナニコレ!?」
と悲鳴を上げるルビーアラさん。
その頭上には。
「……レグルス、着てたの?」
「……ちょっとだけ立ち寄っただけだ。2,3分したら、すぐにあっちに戻る」
「フゥ……」
「……で、どうなんだ?」
「メチャ暇だよ……」
「……だと思ったぜ……」
俺たちは、そのお父さんとルビーアラを、ここから見下ろす。
【Lとレグルスが】
『……私は、ディミトリ……。……妄執の研究者だ』
【ディミトリが交わるのは、ちょっと先の話である――】
TO BE CONTINUD……
☆彡
おまけ
『でもさぁ?』
『……ん?』
『エリモスクロコピオスって、確か毒があるんじゃないのぉ?』
『焼けば大丈夫だろ?』
『……まぁ、君ならそれでいけるだろうけどさぁ……』
『……』
『焼いた程度で、毒のたんぱく質を壊せるかなぁ……?』
『……』
『……』