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第3章の第77話 どうしようもない問題4



☆彡
【クールダウン……】
――クリスティさんの説明が終わり。一度、一同はクールダウンしていた。
そのヨーシキワーカさんが犯人じゃなくて、ホントに良かったと思う。
こう思うのは、僕だけなんだろうか?
「……」
「……」「……」
黙ったままのクリシティさん。その眼を瞑っている。
その人に対し、睨みを利かせているのは、サファイアリーさんにエメラルティさんの2人だ。
あっそうか……。
「――あのさぁクリスティ」
「ん?」
「あんたさぁ、自分の事じゃなくて、その昔の人の話を取り出してない?」
「うんうん」
と注意の声を上げるサファイアリーに。
何度も頷き得るエメラルティさん。
それに対してクリスティさんは、こう答えたんだ。
「いえ」
「?」
「確かに高校生時代の話じゃないけど、その大学生時代のスプリングとまだ付き合っていた当時の話よ?」
「………………!」
「あっ……」
思い起こすサファイアリーさんに。
と口を零すエメラルティさん。
「信じられない話だけど、あたしとそのヨーシキワーカさんお話は、どこかでリンクしているの」
「『関連』Link(リンク)……?」
そう、言葉を零したのはアヤネさんだったわ。
それに対し、クリスティ(あたし)はこう答えたの。
「ええ……。この話の後、ヨーシキワーカさんがあたしをつけていたの。
同様に、そのヨーシキワーカさんも、どこかの誰かさんにつけられていたの。
雇われた人みたいで、
最初にすれ違った時は、目立つような服装だったようだけど……。
次に会った時は、どこにでもいてそうな人の服装だったらしいわよ?」


★彡
【尾行、高速鉄道の中】
『~~! ~~!』
見た目的に若い女性が、綺麗なお洋服に袖を通していた。
近くには、彼女の彼氏と思われる人がいて、どうやらデート中だとは思うが……。
『……』
『あれ!? 何でそんな事になっているんですか!? フツーそうなったら自宅から外出しませんよね!?
なのにその人ったら、今ここにいて、遊びに行ってますよ!?』
『オイオイ! ヨシュディアエさんどうなってんだ!? 何か聞いていた話とこうまで違うぞ!?』
『~~! ~~!』
(あぁ、なるほど……。そう言えば、父ちゃんが昼飯を買ってこいと言われて、それを買いに行ったから、
高速鉄道に乗り遅れたんだよな……?
じゃあ、ヨシュディアエさん達が予定していた話とは食い違うように、
タイムラグに、変に生じたわけか……?
じゃあ、こいつ等は………………?)


【――それはヨーシキワーカさんを尾行する人達だったの。
ミシマさん伝いに、ドクターイリヤマ達が取り次いでまわり、それ等が複雑に関与して、彼女……そうヨシュディアエさんの耳に入ったものなの】
【何だってそんな事に……?】
そう尋ねてきたのはスバル君だったわ。
それに対し、あたしはこう切り返すの。
【怪しい人だという噂が立っていた時期で、そうした疑いが、最高潮だったかもしれない時期よ!】
【何で!?】
【ヨーシキワーカさんが以前勤めてらした昔の会社もここに関わっていて、正社員伝い、女の人伝いに連絡を取り次いでまわり、
犯人と思しき人物……そう、最重要人物……『容疑者』という扱いよ!】
【【容疑者!?】】
と驚く子供達。
だけど、物覚えが悪いスバル君が。
【……ってなに!?】
ガクッ
と来る大人達。まだ子供のアユミも詳しくは知らないので、したり汗を垂らす程度だ。
【……】
【……】
アユミ(あたし)は大人たちに意見を伺おうと、こう顔を向けると。
【ハァ……仕方ないわね……。『容疑者』『被疑者』の扱いを、簡単にまとめるわ】
【!】
【これは警察に実際に捕まったあたしだからこそ、簡単に言える事だけどいい?】
【……】
【捜査が進んで、怪しい人物が浮かんできたら、その人物を『容疑者』と呼ぶと呼ぶのよ!
そして、実際にその容疑が固まり、証拠等を押さえた時、初めて警察が犯人を逮捕できるの!
そう、その人物が、犯人であると確信した場合には、『被疑者』と呼ぶのよ! ……わかった!?】
コクリ
と頷き得る子供達2人。
どうやら、そうした知識はなかったようね。まぁ、当たり前か……まだ子供なんだし。
【じゃあ、ヨーシキワーカさんはその時……?】
【ええ、被疑者一歩手前の状態……まぁ、ただの掃除不足の疑いなんだけどね】
【何だってまた……!?】
【それはおいおい話すわよ?】
【……】
それには、まだ触れないようだ。
おそらく、黒いヘドロと、モーターの掃除不足の疑いだろう。
(フフッ、順序が大事なのよ!)
そう、順序が大事。
(余計な疑いがかかると、また混乱の素だからね)
あたしは、時系列に沿って話すよりも、
事件性が明るみになって、誰が見ても聞いてもわかりやすい、説明に趣を置くわ。
だって、ヨーシキワーカさんほどの説明は無理だもの……ね。
【……この時、何しに行ったんですか?】
【!】
その声はアヤネさんだったわ。
【あぁ、その時、その人は、映画を見に行ったそうよ?】
【え、映画……!?】
と驚いちゃうアヤネさんがいたわ。
【ええ! ……でもね……映画館は複数の箇所にあるし、昼飯もまだ済ませていなかったから……!
しかも、その時、その2人は、そもそも待ち合わせ場所も、何も指定していなかったから、
2人が巡り合う事は、そもそもなかったそうよ!?
電話番号の交換も何もしていないから、運命の巡り合わせも、クソも何もないわよね?】
【……】


★彡
【未来のスバル達との、影の協力】
映画館にいるヨーシキワーカの偽者。
それは人型アンドロイドだった。
『……』
視線をその映画に送り続ける人型アンドロイド。
そのアンドロイドを見詰める不審な人の目があった。
あの男女の2人組だ。
そのどちらかが、隣の席の向こう、そう、横にある上下に行き交う通路のような坂を、何度も行き交いながら、
こちらに不審な視線を送っていた。
この気配、女性のものか?
『あの子、ホントに集中して、この映画に魅入っているわ……』
そして、その後ろの席から、視線を送り続ける人もいた。
この気配、男性ものか?
『どーゆうつもりなんだこいつ……。彼女さんをあんなに待たせて、1人であの人達をなだめてくれてたんだぞ!? いいご身分だよな!?』
『……』
黙ったままのヨーシキワーカ(人型アンドロイド)
当人は、その時、どこにいたのだろうか?
私は、命じられた役割にそうだけだ。
が、彼等彼女等が不審な行動を取れば、どうなるか?
当然、何も知らない一般市民は、こう動くだろう。
『オイオイ、何なんだ?』
『静かにしろよ』
『映画中なんだぞ! まだ子供たちも大人しく見ているんだぞ!』
『~~!』
これには大きく対応に苦慮してしまう尾行の人達がいたのだった……。
(今頃、当人は向こうか……?)




★彡
【その映画館のあるショッピングモール】
映画を見終わった人型アンドロイドは、木造りのベンチに腰かけていた。
そして、リュックサックの中から、青いノートを取り出し、色ペンを使って、何かを書き込んでいた。
人知れず、怪しい2人組は、服屋さんの中に入り、お手本を披露していた。
『あら、これ何かいいんじゃない?』
女の人が、綺麗なお洋服を手に取り。
付添人の男の人が。
『君にとても合いそうだな! そこにあるもの、何か好きなものを選ぶといい』
『あら? あなたが買ってくれるの!? ありがとう!』
とそこへ女性店員さんがやってきて。
『何か気に入った商品はございましたか?』
『ええ、これなんかいいんじゃないかしら?』
『そうだな』
『フフッ、お客様にとてもお似合いだと! ……よろしければラッピングでも致しましょうか?』
『あら、いいわねぇ……』
『……』
『……』
その言葉を聞く女性店員さんに、男の人、小さく頷き得る。
だが、問題は次の言葉だった。
『これなら、職業安定所にいる、あの胸の大きい人にも、合いそうねぇ~? ……あなたも、そうは思わない?』
『!?』
違和感を覚える女性店員。
いったい、誰の事を言っているの?
『あぁあそこにいる彼女か!? ここ最近、特に女性らしくなってきたな!』
『あらぁ、やっぱりあなたもそう思う? ここ最近、頑張って、ダイエットに成功したのよ! 誰か気になる人でもいるのかしら!?』
そのままお手本を披露する女の人。
だが、不信感を覚え始める女性店員の人は。
『……失礼ですが、お客様の御召し物では……?』
――その時だったわ。
『そこにいる人、ほら……あそこに見えるでしょ?』
『?』
女性店員の人を促す女の人。
『上手く口裏を合わせてくれない?』
『何だってまた?』
『好きで、言い出せない人もいて、そーゆう人がうちの職員の中に1人にいるのよ?
その娘(こ)が前々から気になっている人があの子?
……ねえ、だからちょっと、付き合ってくれない?』
『……』
『……ここで何か一着買ってあげるからさ……ね?』
『……まぁ、それなら』
――その了承の意を買い、近くにいた男の人が、こう声を上げたわ。
『ハハハッ! 何か今日の記念に一着買っておこうか!?』
『あら、ホントぃ? ありがとうあなた!』
『ハハハハハッ! これぐらい安いもんだ! 可愛い君になら、何着てもお似合いだよ』
『あら、上手い事言ってくれるわね~? 今日のディナーは何かしら?』
『そうだな、今日という記念日をお祝いして、いっその事、屋上にある展望台のテラス席……なんてどうだい?』
『あら~? いいわねぇ。何を送ってくれるのかしら? ……ウフフフ』
――とその時立ち上がる人型アンドロイド。
『さーてと……』
『『!?』』
何も知らないので、そのまま立ち去っていく。
向かっていく先は、廊下伝いにあるエレベーターだった。
少し店舗から、顔を出してくる怪しい2人組は。
『ちょっとあなた達の事じゃない!?』
『あいつ、何も気づかないでそのまま行ったぞ!?』
『お客様ッッ』
不信感を募らせる女性店員の人は、声にドスを利かせる。
ソォ……
とゆっくり振り返る若いカップル。
『『……』』
『ご購入されますか!? それともされませんか!? 何か不審者っぽいんですよねあなた達』
『ゲッ』
『うっ』
『そのまま、商品を素知らぬ顔をして持ち逃げされても、あたくし共が迷惑します。いっその事、ここの施設の警備員を呼びますよ!?』
『『ッッ!?』』
当然、俺達、あたし達2人は、この女性店員の人に怪しまれるのだった。
『ってあいつは!?』
バッ
とその廊下を見ると、多くの人が行き交っており、人型アンドロイドは、そのエレベーターを上がっていた。
『あいつ、何も知らないでどこへ行くんだ!?』
『さすがに……これじゃあ無理があったかな……って』
PPP……PPP……
『ガチャ……何ですか!?』
『今うちの洋服コーナーに、若い男女がきていて変なんです! こちらに来ていただけますか』
『了解!』
『『……えっ……!?』』
――その後、その人型アンドロイドは、本屋さんに行き、マンガでわかるシリーズを購入して行ったそうな。
――そして、人知れずして、そのヨーシキワーカと思しき人と、その若いカップルの様子を伺う、人物がいた。
『………………』
【アヤ】
嘆きと怒りの仮面を被った人物だった。
敵か味方かは、その詳細は一切不明……。


★彡
【尾行、高速鉄道のホームでの出来事】
私の後ろには尾行の目があり、人が行き交っていた。
PPP。
その時だった。
次のダイヤの高速鉄道が近づいてくるため、その接近を知らせるアナウンスが流れた。
『!』
コクリ
(今だ!!)
(ちゃんと気づいてよ!?)
頷き合う尾行中のデートを装った若いカップルは、その音を聞き、私の横を通り過ぎていく。
ダダダダダッ
『……』
歩くことしばらく。
目の前にいたはずのカップルが立ち止まり、私の様子を伺う。
どうやら店の前にいて、気付かれないふりを装っているようだった。
『……』
『『……』』
私は構わず、そのカップルの目の前を、何も知らぬまま通り過ぎていく。
当然こうなればどうなるか?
決まってる、何かしらの行動反応(アクション)が起こるものだ。
『……あれ!? 気づいていない!?』
『おいおいどうなってんだ!? 周りの奴等はあいつが優秀だって言ってたけど、2回も気づかないまま、スルーしたぞ!? どうなってんだいったい!?』
『あたし達の尾行が、そんなに上手過ぎるのかしら……?』
『確かに、お前……着てた時と服の印象が違うもんな?』
『ええ……あの店であなたに、わざわざ買ってもらったものよね……?』
『……それでか? それで気づかなかったのか? あいつは……? 顔かなんかで気づくもんだろ? フツー……』
『みんなが言うように、そんなに大した人じゃないのかも……?』
『……』
無視。
次いでに怪しい男女の一組に、行き交う人たちの視線が、時々見られては、あれは何だ? 関わるべきじゃないとばかりに無視されていく。
『……ッ!?』
『ホラ、こんなに言っているのに、あの人ったら気づかないままだわ!』
『どうなってんだ? 他の周りの奴等は、何か怪しいと思って、こっちを見てるのに……!?』
『……』
『あいつは気づかないまま、ドンドン遠ざかっていくぞ……?』
『ちょっとこれ、あたし達どうするんのよコレ……!? メチャ怪しい人じゃない!?』
『あぁ……』


★彡
――高速鉄道、その車両の中。
『………………』
そのマンガでわかるシリーズを購入した人型アンドロイドは、その本の内容を見ている時だった。
ポイッ
『!』
それは丸められた紙切れだった。
クシャクシャだった。
『……』
それは人の身であれば、思わず、ムッ、とくるであろうが。
あいにくと私は影武者(人型アンドロイド)だった。
それを投げ込んだ人物の背中を見るが、その人は素知らぬ顔をして、細い道を行くのだった。
『………………』
やるせなさが残る俺だったが、その不審な紙切れに目を落とす。
シャー―ッ
と走る高速鉄道。
怒りと嘆きの仮面を被った人物が、この車両にいた。
『………………』

私が座っている席は前後間で、4人ほど座れる席だ。
私の前の席は、人が埋まっていたが……次の駅で降りる人もいて、交代交代で人が座っていた。
それはある時だった。
ある人が、その紙切れを拾う。
『――あの、これ……ゴミですか?』
『! ……』
それを持ち上げるお母さん、隣にはお子さんがいた。
やれやれ思いの私。
フゥ……。
仕方がないので。
『あぁ、済みません私のです』
その丸められた紙切れを受け取る。
『……あら? それ?』
不審にも、その声を上げるお母さん。
(何だろう?)
この時は、まだ、その詳細がわからなかった。
それは表に書かれている文字が、見えるアングルから外れていたからだ。

――それからしばらくの後。
不意に私は、その丸められた紙切れを、手に持ち、ある変化に気づく。
んっ。
それにはこう書かれてあった。『読め』と。
何だろうと思う私。
読みやすい状態に解いていく。それは気になったからだ。
『!』
その紙切れは、誰でもわかる文字と、点字が用いられていた。
『………………』
誰でもわかる文字は、スゴイ簡単だった。
書かれていた文字は、『尾行(つ)けられているぞ』だった。
問題は、そう、点字だ。
『………………』
シャー―ッ
と高速鉄道が突き進む。


★彡
【『マイアミの駅』Miami Station(マイアミステーション)】
駅のホームにて。
ヨーシキワーカ本人と人型アンドロイドが落ちあう。
その時に、1枚の紙切れが、本人に渡る。
『……んっ!?』
俺(わたし)がそれを見ると……。
(点字……この文字、配列……後で調べてみるか……?)


☆彡
【怪しいカップルの2人】
「――何!? 凄い気になる事が……!?』
「フフフッ、でしょ~!? 相当、本人様も迷ったそうよ!? でもね、ここ意外、タイミングがなかったそうよ!?」
「タイミング!?」
一同、驚き得る。
「実際にその人が、そのアヤさんに再開したのは、ミシマさんに関わった年の、5月か6月ぐらい! その州のショッピングモールで再開したそうよ!
あっ……! 勘違いがないように言っておくと……そもそも場所が違うわよ!」
再開した場所は違うらしい。
そして気になったアヤネさんが。
「……その点字には、何が書かれてあったの?」
「尾行(つ)けられている以外には……」
「うんうん!」
「まだ秘密~~!」
ガクゥ
と来るミノルさん、アヤネさん、アユミちゃんに僕。
ズルッ、と着ている衣類が傾くシャルロットさん。
「だって、面白いでしょ!?」
クスクス
と笑うクリスティさんがそこにいたんだ。
「とそうそう、これは、ヨーシキワーカさんの苛立ちの言葉なんだけど……。実は、前々から尾行(つ)けらていて、苛立ちを隠せなかったそうよ?」
「……なんて?」

『――ならするなよ!?』
そのヨーシキワーカさんの言葉よ? フツー常識的に考えるならねぇ」
あたしは、腕を組んでから、みんなにこう語る。
『――警察官なら、容疑者、被疑者、被害者、加害者に関わらず、その人に接触し、何かしらの捜査協力を求めるものだ!』
『探偵の場合は、容疑者を尾行して、その身辺調査をするだけに留まる!』
『写真も取ったりして、その時の状況を、依頼主に伝えるのが常!』
『……で、お前達はその写真を撮ったのか!?』
『いいや、俺が知る限り、見ている限り、撮ってないだろ!?』
『つまり、探偵ではない!!』
『……確か、5月だったか、6月だったか、ハッキリとは覚えていないが……隣人宅でうるさい音が鳴っている時』
『まだ日が開ける前、コッソリ着たことがあっただろ!?』
『着た車の数と、足音の数と、そうした人の声が一致しないぞ!』
『使った手段は明確……!』
『そう、数台の腕時計型携帯端末を用意し、電話で取り次いでまわり、あたかもそこに複数人いるかのように見せかけていた』
『確実な足音の数は3つ!!』
『ドクターイリヤマ、ドクターライセン、そしてミシマさんの3人だ!!』
『演技ぽかったが……実際にそうした現場に、ミシマさんの親父さんは着ていないし』
『私の知り合いの、とある施設の先生方も着ていない』
『雇われた探偵は、ミシマさん本人疑惑が60%!! 後は別の人の使い回し!!』
『犯人確保――の声は、ドクターライセン当たりか!? この人、腕の力が強い……だったか!?』
『隣人宅の人が、証人になるぞ!? まぁ、バカバカしいがな……』

「――いったい、どこの誰なのかしらね? ……クスッ」
とほくそ笑むクリスティ(あたし)。
次いでエメラルティが。
「――で、その後、ヨーシキワーカさんが語るには、
その後、そのカップルの2人を見かけた事があるのは、その年のコンビニの時とスーパーでの出来事!
コンビニの時は、
女の人の顔立ちは美人さんだったから別人だけど……。
もしかしたら、スーパーかもしれないわね!? 演技っぽかったわよ!?
でも、誰の事を言っているのかわからないから、その場を立ち去ったんだって!
呼びなさいよね!?」
次いでサファイアリーさんが。
「――で、次に見かけた覚えがあるのは、事件解決の年! そう、ある刃物屋での出来事だったらしいわ!
そこにいる女性店員の人に、こう前もって言ったそうね?
『上手く自分たちの『口裏に合わせて』ください。ここに着たのは、職業安定所の2人と、後で電話で周りに報せてもらえないでしょうか?』
「……だったわね!」
「……」
クリスティ(あたし)はここで目を瞑る。
心の中で思うは――
(割とここが重要よ?)
(口裏を合わせる。上手く話のウマを合わせる。話を調整する。調整調整ツギハギをする)
(そうやって、話のウマを合わせて、騙したり)
(鵜呑みに騙されて、間違った情報を取り次いでまわる)
(まぁ、理想の虚実になるわね……)
その眼を開けるクリスティ(あたし)
次女サファイアリーの言葉は、こう続いていたわ。
「――で、その時の女の人が、妙にお腹が大きかったのよね……? フームゥ……。
その刃物店の女性店員はこう言ったわ」
『以前、あなたがここに着た時には、そこまでお腹が大きくなかったじゃない!?』
「……と。おそらく、2年間の期間の内に、
その人と婚姻を結んで、晴れて妊婦さんになったってところなんだけど……も、
そのお腹の中に、ボールでも仕込んでいたのかしら?」
「ぼ……ボール……!?」
と驚き得るスバル君。
僕だったら、絶対に気づけそうにない。
女の人のお腹に障るだなんて……そんな事は安易にできない。
だって……預かっているのは、人の命なんだから。
『そのお腹の中に、ボールでも仕込んでいるじゃななかね!! 以前、あなたがここに着た時には、そこまでお腹が大きくなかったじゃない!?』
『い……いやぁ、そんな訳ないじゃないですか……?』
『ハッどうだか……』
『……』
『たった2、3ヶ月ぐらいで、そこまで女の人のお腹が大きくなる訳がないじゃなかね!! あたしは以前にもあんたとも会ったとよ!! そこまで膨らんでなかったでしょ!!』
『い、嫌だなぁ……そんな言いがかり……止してくださいよ……』
『フゥ……まぁ、いいわ』
『ホッ……』
と安堵する女の人がいた。
サファイアリーさんの話はこう続く。
「ええ、こんもりふっくら具合が足りなかったからね……。
ヨーシキワーカさんは、まんまと騙されたわ……!
でも、同じ女性の人は、さすがに騙せなかったようね……。特にそうした経験がある女性なんかは……!」
「マジ……!?」
と驚くアヤネさん。
続けてサファイアリーさんはこう言う。
「マジよ!!」
「……」
「――でね。その後の話なんだけど……」
『あたし、あの子とは相性が悪いのかも……!?』
『こんなにいろいろとやっているのに……』
『あの子ときたら、ちっとも振り向いてくれないし……』
「……だっけ!? ……でね、男の人とそこの刃物店の女性店員さんの会話が……」
『あいつ……今もああして、あの白い砥石を見ているな……そんなにいいものなんか……?』
『うちに置いてあるものの中では、あれがいい天然砥石なんですよ。……あの子、目利きいいですよ』
『『えっ!?』』
と驚き得る男の人に女の人。
続けて女性店員さんが。
『あの子、それがすぐにわかったんです! ここにいるあたしより詳しいかもしれませんよ? ……ひょっとしたら……』
『えっ!? ここで店番しているあなたよりも!?』
『はい。あたしはここにいて、聞いてただけなんですけど……。
あの子が着て、あそこにある小さな砥石よりも、今あの子が選んでいるような大きい砥石の方がいいとわかったんです!』
とそこへ女の人が。
『それは単純にサイズの違いなんじゃ……!?』
『いえ、あの子が語るには、黒い点々のものは不純物で、白々したものがいいんです!』
『それって当たり前の事なんじゃ?』
『普通の人は、今のあなた方みたいにそれで終わりですね。でも、あの子は違う』
『!?』『えっ!?』
『そうした目利きができてるんです。
横とか下とかも見てましたね。
また、そうしたプロの方には及ばないかもしれませんけど……。ここにある中で、一番いい砥石を選んでましたよ?
で、あたしの見ている前で、他の砥石も、いいものを選んで、上の方に置いてました』
『……』
『……』
間を置いて考える男の人に女の人。
次に呟いたのは、男の人だった。
『俺には大して、その違いはわからないが……どれも同じだろ? その辺にある石コロと変わらないじゃないか?』
『……ここには他に、何しに来たんですか?』
『……友人に頼まれたものがあって、この包丁ケースに入っているものを、研ぎ直してくれないか?』
『……』
――ついでかよ……。
「――ってね。
まぁ、後は研ぎ直しの話だったけど……。
研ぎ直すだけで、モノにより値段はまちまちだけど、500円(4米ドル)から800円(6米ドル)ぐらいだったわよ!
まぁ、使われる砥石が、1000番ぐらいで良くて、そこは職人さんの腕によるところ……!!
……問題はその後なんだけど……。
超・最終仕上げ砥石の12000番を希望しちゃったのよね……。
そんな高価な砥石、どこにも売っていないのにね?
……まぁ、その入手経路は、ウェーブグローバルのウェーブショッピングだけ!
確か、『森平砥石・烈火シリーズ12000番』……だったかな!?』
『『『!?』』』
その反応を示したのは、ミノルさん、アヤネさん、スバル君の3人だったわ。
『確か、遠くの島国……日本(ジャパン)から取り寄せたものなんだとか……』
『森平ってあの?』
『……』
僕が顔色を伺ったのは、ミノルさんだった。
そのミノルさんを推しても、唐突の出来事なので、状況についていけず、酷く困惑していた。
アメリカと日本では、距離が離れ過ぎているからだ。
サファイアリーさんの話がこう続く。
「――後はねぇ……」
『ヨシュディアエさん可哀想(かわいそー)!! あんなにヨーシキワーカ君を見ていたのにィ!
あんなに無視して、結局は振られるだなんてぇ……。
あんなに協力して上げてたじゃないのよぉ~!! あたし『達』いいように利用されていただけぇ~!?
なんて可哀想な、ヨシュディアエさんなのぉ!?』
それを聞いた女性店員さんは。
『ハァッ……何言ってるんですか!?』
『『!?』』
『聞きましたよ!? あの子のお父さん伝いに……!!
こっちにもそうした話が来てるんですが……それをやったのは、ヨシュディアエさん(その人)本人じゃないんですかー!?』
マズイッ
『そんな訳ないじゃないですか――ッ!! ヨシュディアエさん(あの人)はあそこにいて、一歩もあそこから外出してませんよ!?』
『変な情報に惑わされないでください!! うちの職員がそんな恥ずかしいマネする訳ないじゃないですか!! どうせ、そんな奴等がついた嘘に決まってます!』
『そうそう!』
『ハァ……どうだか……』
『『……』』
タジタジ
の若いカップル、今では夫婦設定の2人。
ここぞとばかりに攻めかかる女性店員さん。
『今、この周りでも、そうした噂話が立ってますよ!!
聞けば、電話口から騒ぎ立てて、盗り立てていた悪女だと!! 今、そこら辺で噂になってるぐらいですから!!
あたしでも知る、【マイアミの公共職業安定所』Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)】の
あそこにいる、こうあーんなにおっぱいが大きい娘(こ)だったんじゃないですかーッ!! そんなにあの娘(こ)がお金を欲しかったんですか!?
あたし達より、稼いでいるって、聞けば言うじゃないですか!? そーんなに欲しかったんですか!?
……ハァ』
聞けば、もう呆れ顔の女性店員さん。
次いで男の人が。
『……そ、それは誰が!?』
『誰でもいいじゃないですかーッ!? もう周りでこんなにいい話はないと、取り次いでまわってますよ!?』
『『ッッ!?』』
悔しむ2人。立場上マズイ。
『聞けばいい話じゃないですかー!? 無条件の自由の解放!! みんな、これに喜んでますよ――ッ!!
あっちの職業安定所に行って、その女の人がダメなら、別の職員の人に取り次いで、
以前あった、そうあった出来事を話してるんですからぁ!
これ以上良い話はないと思いますよ!
みんなこぞって、行ってますからね!』
『そ……そんな……そんな事に大事になってただなんて……』
振り返る女の人。
伺うは、ヨーシキワーカの横顔だ。
『何であんな子が、そんな事ができるのよぉ……訳がわかんなくなってきたわ……』
『今までにあなた達がやっていた事も、周りが言いふらしてましたよ?』
『『ッッ』』
「――ってね。
まぁでもさすがに、【マイアミの公共職業安定所』Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)】の
信用と安全が地に落ちるから……。
周りでも取り次いでまわって、情報操作・情報規制されていたわ。
さすがに公共職業安定所を悪く言う訳にもいかないからね!
……ヨーシキワーカさんはこう言ったわ」
『会社とは、名だけの器だと』
『あくまで悪い事をしたのは、一部の社員であって、会社には何ら落ち度はない』
『他の職員さんは、信頼と規律を持って、今ある業務に誠実に応待している』
『そこだけは履き違えていけない』
「――ってね!」
バシッと決めるところは、バシッと決めたわ。
みんなは真剣な思いで、その言葉を胸に刻む。
と続いてエメラルティさんが、こう語っていく。
「――でね。少し話が戻るけど……。その映画館の話が終わり――」


★彡
【――後日】
【園芸用のバリカンで刈るヨーシキワーカ】
ウィーーン
と剪定していくヨーシキワーカ。
その腕前は、平々凡々だった……。お父さん曰くまだまだで、水平に切り揃える事ができていない……つまり、下手くそ。
【――お父さんに言われて、ヨーシキワーカさんは、『園芸用のバリカン』で剪定していた時だったんだけども……。
急にお母さんの方の親戚の妹さん2人が来たことがあったのよ!
それも突然ね!】
ウィーーン
と剪定中のヨーシキワーカ。
白い車が着て、中から降りてきたのは、親戚の姉2人だった。
自分を発見すると、その2人は手を挙げて返事していたのを覚えてる。
【でね、その話の内容は、こううるさくて聴こえなかったけど、距離も結構あって……。
おそらく、こう言いたかったんだ思うわ……!】
それはヨーシキワーカの仮説と推察だった。
『なんね!! お父さん!!
あの子が遅刻したのは、聞けば、お父さんのせいじゃなかね!!』
『……ッ!!』
どこで聞きつけたんだ。
あっ、さては弟を通して妻だな。
その近くには、妻もいた。
『……』
親戚の姉はこう語り出す。
『ヨーシキワーカちゃんが遅刻したせいで、そもそものその遅刻した原因を作ったのは、
お父さんの昼飯の弁当の買い出しに行った、せいじゃなかね!!』
その原因はハッキリしていた。
弁当を買い出しに行くだけで、約10分かかる。
こっちは急いでて、間に合うかどうかだったんだ。そこへ、いきなり声をかけてきたから、致し方なく買い出しに行く事になった。
母も出かけていた為、私しか対応に出れなかったのだ……。
それは本人談である為、ほぼ概ね間違いない。
『そのせいで、ヨシュディアエさん(あの娘)は1人で、
その場にいた人達に、どういった事があったかはよくわからないけど……!
何らかの説明をして、なだめたって聞いたわ……!!』
『……』
『つまり、その原因を作ったのは、お父さんじゃなかねっ!!
何でそんな事したとね!?』
『いやぁ……できるかなぁ……っと思って……』
『ハァ……できなかったんでしょうが!!』
『うっ……』
『高速鉄道1本逃すだけで、約1時間待つ事になるんだからね!?
何でそんな事したとね!?
せっかく、あの子にそうした春が着てたとよ!!
ハンッ! それを潰したのはお父さんじゃなかね!!
こういったチャンスは、そうそうなかとよ!!』
『うん! そうよね!』
と頷き得るもう1人の親戚の姉。
『あの子、あたしが知っている限り、初めての1回じゃなかと!?』
『そう言えば確かに……』
『ハァ……。こっちでもなんとかするけん、もうお父さんがそーゆう事で邪魔しちゃダメよ!!』
『いやぁそれじゃあ、誰が俺の昼飯を買いに行くんだ!?』
『『『………………』』』
顔を見合わせる母、親戚の姉2人。
ハァ……
と重い溜息をつき。
『お姉ちゃん……お父さんは料理ができないと……?』
『いや、そんなことはないと思いますよ……。だって普段から、そうした料理をたまに、自分から作ってるんですから。どっちかと言えば、旨い方ですよ?』
『なんね!! 料理が自分からできるんじゃなかね!!
じゃあ、冷蔵庫の中の引き出しでも開けて、有り合わせでも使わんね!!
自分でもできるなら、わざわざ、お父さんが、あの子に頼む必要はなかったとでしょ!?』
『いやぁ、ちょうどそこにいたからなぁ……まだ時間があるかと思って……つい……』
『『『………………』』』
顔を見合わせる母、親戚の姉2人。
ハァ……
と重い溜息をつき。
『お姉さん』
『はい……』
『今度からお父さんにはそうした事がないように、前日の内に、総菜でも買っておかんね?』
『この人がそんなものを食うでしょうか?』
『食わんな!!』
自分で行っていれば、世話はない。
これには困る三姉妹、母、姉2人。
『……だったらこうしましょう?』
『『『!』』』
『困った事があったら、そうした事は早いうちに、お姉さんからあたし達の方に、電話で一報を入れて。
その時の対応次第だけど、
どっちかの手が空いているから、その空いている日に、都合を合わせましょう!?』
『それかあたし達のうち誰かが、わざわざ、ここに料理を作りにくるかね!?
そうした事は、向こうの娘(こ)から、取り次ぎの電話があるから、
横で一緒に聞いててあげるわ』
『そっちの方が、なんか料理を食べながら、いろいろと楽しめそうだしね!?』
ウィーーン
と剪定中のヨーシキワーカ。
『……』
黙々と作業を続けていた。
そこへ守護霊の彼女が。
(フ~ン……)
(どうした?)
(ちょっと気になるから、あっちの方行っていい? ……つまんないし!)
(無理だろ……? 俺から距離が離れられるのは、そこまで拡大できない……まぁ、気を張れば別だが……)
『そう言えば前にお父さんは……』
『!』
『あの子が歯医者さんに行ったときも、そうだったじゃなかね!!』
『ええっ、2回も!!』
『いや、今わかっている時点で、2回じゃ済まなくて、3,4回!!』
『そ……そんなに……!? ホントなのお姉さん!?』
『ええ、だいたいそれぐらいね!?』
(ワオ!?)
『お父さんは色々と、あの子に負担を押し付け過ぎなのよ!!
……できると思って!! やらせるのはいいけど、
結局できない事をやらせても、人はできないんだからね!!』
『いやさ……あいつならできると思ったんだよ』
『そりゃあできはするでしょうね!! けどね、その限られた時間のうちには、到底無理があったんじゃないの!!』
『……ッ』
(あぁ、これはあれね……。お父さんも、お兄ちゃんが知らないところで、誰かと電話をしてたみたいだけど……。
能力のタカを決めようとしていて……。
それはできはするかもしれないけど……。時間的にそりゃ無理があるよ……。
その電話口で、あたしが聞いてたんだけど……)


――それはお父さんの昔の職場の人だったわ。
『お父さん、そろそろその子の能力に限界が近づいてきてるんじゃなかね!?』
『いや、そんな事はないと思うが……。実際、俺が色々とやらせて、できてるし……』
『その色々やらせているのが原因じゃなかね!?』
『!?』
『今回はおとなしく、あのミシマさんのやり方に任せたらどうねお父さん!?』
『………………あいつは色々と昔、悪さをしてたからなぁ』
『何ねお父さん! そんなに心配ね!?』
『あぁ……実際、今うちの方でも、家のガキがあいつに関わってから、こう変な事態が続いてるんだよ』
『何ね!? そんな心配ね!? それなら心配なか!!』
『!?』
『そのミシマさんからあの娘(こ)に取り次いで、その変な騒ぎがいきなり落ち着いたとやろ!?』
『……』
(フ~ン……さしずめ、ヨシュディアエさんかな?)
(ちょっとこい! XXX!)
(――えっへぅ!?)
((スバルからの)仕事の依頼だ!)
何かの力に引っ張れる守護霊の彼女。
それはヨーシキワーカからの呼び出しだった。


☆彡
過去から現在に戻り。
「――でね。お父さんが勝手にヨーシキワーカさんの能力を低い……と決めつけちゃったの。
周りの人達も同じで、そろそろ限界が近いんじゃないかって……!
でもね、その人ご本人さんには、まったくと言っていいほど、連絡を取り次いでなかったの!
ヨーシキワーカさんを一切介さずに、勝手に周りで、決めちゃおうとしたわけだからね!
……まぁ、これは建前上の話ね。
本質は違う……詐欺だから!」
「詐欺!?」
「ええ、そのお父さんを上手い事、いい話に見せかけて、誤った判断に陥らせ、問題の罠に陥らせようとしたのよ!
あっそうそう、訂正を正せば、お父さんや、その周りの人達、昔の会社の人たちの同僚すら、
その上手い話に見せかけられて、騙されていたのよ!?」
「……」
唖然とするスバル君。
エメラルティさんの話はこう続く。
「逆にお父さんがまったく同じ立場の場合……。
そのヨーシキワーカさんよりも、もっと時間がかかったと思うわ!!
なぜならね……。
位置について、ハーイ……よーいドンッすれば、それが簡単にすぐにわかるんだから!」
エメラルティ(あたし)は、腕を組んで、続けてこう話すの。
「……見ているだけだから、あの人は何もわかんなかったりするのよ?
それはそうよね?
それは現場の者でしか、わからないような、感じ取れないような、
聞き取れない、何かを感じ取ったりするものも、時にはあったりするからね?
これって、大事な事よ?
……気づきの変化?
この流れが、電話で見聞きしていたヨシュディアエさん達にも、同様に同じことが言えるのかもしれないわね……!
まぁ、ハッキングを犯してた連中だけどね……」
「ハッキングーー!?」
「――ええ」

【――そう言いつつ、エメラルティ(あたし)は視線を、あっちへ向ける】
【それは1枚の硝子(ガラス)張りの向こうに見える、夜の摩天楼だったわ】
【夜の街の都市の灯に、行き交う様々な宇宙人、その中には、まだ見ぬ種族の宇宙人、開拓者(プロトニア)さんもいるかもしれない】
【その考え方、捉え方は、人それぞれ、様々でしょうからね】
【ヨーシキワーカさんは、この事を言いたかったのかもしれないわ】
カラン……
【ちょっと目を離せば、フルーツとアイスクリームとのフルーティーなソーダ割が音を立てる】
【いつかはあたしも、素敵な彼氏を見つけ、その玻璃(グラス)に口をつけたいものだわ……――】



TO BE CONTINUD……


☆彡
おまけ
「それ……当たりなの?」
そう言ってきたのは、アヤネさんだったわ。
だから、エメラルティ(あたし)はこう言うの。その声には迷いがあったわ。
「う~ん……そのヨーシキワーカさんの『勘』らしいからね……。真偽は、あたしの方でも良くわからないわ……」
「男の『勘』は、女の『勘』と比べて、ハズレやすいからなぁ……」
そう口を零したきたのは、ミノルさんだったわ。
でも、クリスティ、サファイアリー、エメラルティの3人は、ジト目でその人を見据えてきて。
「……へ?」
これにはミノル(私)を推しても、身が竦んでしまう。……何で。
「「「アンタよりはマシよ!!」」」
「~~ッ!!」
これには私を推しても、彼女達に勝てる気がしなかった……。
「あなた……」
「んっ……?」
「レディーを怒らせると後が恐いから、気をつけた方がいいわよ!?」
「は……はい……」
私は、この場にいるたった1人の男性なので、身が竦む思いだ……ッ。
「……」←スバル少年は、その枠組みからは論外。
――とここで、クリスティさんの話に戻り。
「――でも、気になるのよね? 何でヨーシキワーカさんがあたしをつけていたのか……のよねぇ?」
「……」
そう、それはスバル(僕)も気になっていたんだ。
だから、こう訪ねてしまう。
「……何でなんだろう?」
「? う~ん……良くわかんないわ……」
「……そう」


★彡
【クリスティ尾行!?】
【――未来のスバル達は、イチハさん、ヨーシキワーカ等を加えて、クリスティの跡をつけていた】
首都高速道を2台の車が高速疾駆する。
前の車にいるのはクリスティ。
後ろの車の中にいるのは、イチハさん達とヨーシキワーカだった。
前の車の中にいる、若かりし頃のクリスティさんは、お化粧品で、その肌を奇麗にお化粧していた。
――その時だった。
偶然にも、そのお化粧品に備えられているガラスに写り込んだのは。
『――……あら?』
そう、その後ろを付けていたのは、他ならない、イチハさん達、ヨーシキワーカを乗せた車だった。

しおり