巨乳女騎士を添えて~くっころ騎士、屈辱の謝罪もあるよっ!
「そ、そうか、ありがt」
〔タダシ、謝罪ヲ要求シマス。私ヘノ暴力ナド――〕
ほらな! やっぱり嫌いだ! コイツ!!
つーか、暴力はお前から始めたことだろうが!
〔先程ノ失礼ナ態度、全テ謝ッテクダサイ、ソウスレバ連レテッテアゲマス〕
「……。」
妙に上から目線で頭に来るが、今は要求を飲むしかねーか…不本意だが。
脱出した暁にはゼッテーお礼してやるからな、覚えとけよ。
俺は息を整えると、魔力炉に向き直り、頭を軽く下げ。
「ん˝、ん˝ん˝ッ、あー、あーー…まことにすいあせんっしィィあー」
懇切丁寧に謝った。
〔ア、アナタハイイデス〕
「…………は?」
〔ソコノ巨乳ノ方、オ願イシマス〕
「……ん? わ、私か!? なんでだ!?」
急展開だ。
何故かこの魔力炉は俺ではなく乳山に謝罪を要求してきた。というか巨乳とか言う概念、存在するんだな。
謝らなくていいというのなら、それに越したことはないが、コイツの目的が見えねーのがなんだか、不気味というか、なんというか。
「な、何故私が謝らねばならない! コイツか? こいつの謝罪が無礼千万だったからか?」
〔イエ、関係アリマセン。私ハ、アナタニ、巨乳ノアナタニ、謝罪ヲ求メテマス、ドウシタンデスカ? 出来ナインデスカ? アナタタチ仲間デスヨネ、連帯責任ッテ知ッテマスカ?〕
やはりそうか、俺は丁寧に謝ったもんな。
となると、こいつ…まさか、体だけは完璧な乳山の三つ指ついて謝る姿が見たいとか、ただそういう…。いや、なんども言うが、コイツはただの魔力炉だ、そんな個人的な歪んだ性癖など持っているはずがない。
「い、いや、やっぱりおかしい、私が謝るのは、なんだかやっぱり腑に落ちない!」
「おい、乳山、ちっちゃっと謝れば済む話だ、な? ちょっと頭下げるぐらいすぐだろ?」
〔ソウデス、モウコチラハソレデ折リ合イヲツケルツモリデス、イツマデモ文句ヲ言ッテテモ時間ガ過ギテクダケデスヨ?〕
「おい止めろッ! 私がわがまま言ってるみたいにするな!! というかお前! 自分が謝らなくて良いからとすぐさまそっち側につくな!」
無駄に抵抗し続ける乳山を魔力炉と二人で言い聞かせていると、上の階から階段を見つけたらしい声が聞こえる。
乳山はそれを聞き、渋々と、本当に渋々と言った感じで、魔力炉の要求を飲むことにしたようだった。
〔――ジャア、鎧、脱イデモラッテ…アアー、ソウソウ、モシカシテ魔力炉ニ謝ルノ始メテ? 大丈夫大丈夫、スッ、トヤレバ、スッ、ト終ワルカラ。ジャア足開イテ腰落トシテ、モット、ンーイイ感ジ、デ、ピース、両手デネ、上下ニ、小刻ミニ、スクワットスル感ジデ…ハーイジャア言ッテミヨウカア〕
「おい、さ、さすがに、ここまでやるとは――」
〔ハーイジャア言ッテミヨウカア!〕
「…………すっ……すみ…んっ…ませんで…した」
やっぱり個人的な趣味じゃねーか、この変態鬼畜ロボ。
〔――ウン、マァ…ハーイ、オッケーデース…。〕
しかも人にやらせといてなんだその態度、さすがに同情するぞ…。
俺は足元でうな垂れて「貞操が、私の何らかの貞操が…」とぶつぶつ呟いている乳山と、魔力炉の間に入るように前に出て、話しを続ける。
「もういいだろ、早く出航させろ」
〔ピー…………全システムオールグリーン、出力最大〕
魔力炉の電子音声がそうつぶやくと、さらに魔法陣の輝きは光を放ちだし、辺りの空気が小刻みに震え、体の体液までも震えていると感じるほどに、大きな術式反応が辺りを満たす。
本能的に、その、大きな力に気圧され、嫌な予感というものが頭の中で最高潮に達した、そう思った瞬間。
〔――ソル・ラルガ、発進。〕
突然、グラっと船体が揺れ、大きな風切り音と共に、上昇している重力の揺らぎを感じる。
この船は、いま、俺たちを乗せて、魔王島から脱出しようとしていた――――。