シロとのデートを終えて、部屋に戻ってきた。
途中で、ギュアンたちが居る”湖の集落”に寄ろうという話も有ったが、時間も遅くなってしまったために、明日以降に行くことにした。
「シロ。今日は、上で過ごすか?」
「はい!」
シロが嬉しそうにする。
崖の上に作られた、屋敷?は、改修に改修を加えて、十分に屋敷としての機能を持たせることが出来ている。
地下に作った部屋は、部屋で実験が行える状況になっているので、残している。地下には、俺とシロと眷属しか入ることを許していない。ダンジョンからの進入路は、既に潰してある。
部屋は、既に準備が終わっている。
露天風呂に一緒に入ってから、休むことにした。
最初の頃は、恥ずかしがっていたが、今では露天風呂が好きになってくれたようだ。一緒に入る時には、横に寄り添うようにしてくる。
「カズトさん。カイ兄とウミ姉は?」
「まだ、ダンジョンだと思う。ライも後追いしているから、しばらくは戻ってこないと思う」
「そうなのですね。エーファやレッチェも一緒に行った見たいだから・・・」
「まぁ大丈夫だろう。アズリも一緒なのか?」
「・・・。はい」
本当に、カイとウミは眷属を引き連れてダンジョンに行っているのだな。
屋敷の周りの護衛と管理はエントに頼んでいる。門番を兼ねているから、誰かが尋ねてきても取り次いでくれている。ドリュアスたちも、メイドとして働いてくれている。
エントたちに話を聞くと、カイからは進化を
カイとしては、屋敷を守る時為には、エントたちが重要な
あと、気が早いが、俺とシロの子供ができた時の為に、ドリュアスが奴隷商のメリエーラに話を聞きに行っている。助産師としてのテクニックや必要な知識を吸収している。必要になってくるスキルカードの取得も行っている。スキルカードなら俺が持っているのだが、ドリュアスたちは自分たちで集めると決めたようだ。
「カズトさん?」
「ん?」
「カズトさんの身体を洗っていいですか?」
「頼む。そのあとで、シロの身体を洗うからな」
「はい!お願いします」
お互いの身体を洗いあって、寝室に移動する。
もう一度、風呂に入ることになるのは、間違いない。髪の毛は、あとで洗えばいい。
「シロ」
洗い終わった。シロを抱き寄せて、キスをする。
シロが受け入れる。そのまま、寝室に向かう。レベル2。”風”を使って、濡れた身体を軽く乾かす。
シロを抱き寄せて、寝室に連れて行く。
本日、2回目の露天風呂を楽しむ。
辺りがすっかりと暗くなって、光は、空に輝く星空だけになる。
今度は、髪の毛を洗って、お湯の温度を下げて、ゆっくりと温まる。
シロの体温と匂いを感じながら、ゆったりした気持ちで湯船に身体を預ける。
ふぅ・・・。
”できそこない”と”進化体”。どこから来たのか?
進化体が産まれるようになっているとは思えない。どこから来たのか?
「カズトさん。僕は、カズトさんが行かれる所なら、どこまでも着いて行きます。だから・・・」
「ありがとう。どこにも行かない。とは、言わない。でも、必ず、シロと・・・。そうだな。カイとウミとライは一緒だ」
「はい!僕も、カズトさんとカイ兄とウミ姉とライ兄と一緒がいいです!でも、たまには・・・」
「解っている。俺も同じだ」
シロを抱き寄せて、キスをする。
中央大陸のゼーウ街で聞いた。中央大陸の中央にある。最難関と言われているダンジョン。最深度が不明。100階層は越えているだろうと言われている。最下層に、特殊なスキルを捧げれば・・・。
いずれ攻略を目指す必要がある。
今ではない。まだ、俺たちは、大陸を平定したばかりだ。この大陸だけではだめだ。俺だけなら・・・。違う。もう、俺だけだという考えはダメだ。
ダンジョン攻略中に、他の大陸からちょっかいを掛けられたくない。
そのためにも、大陸を安全にしなければならない。
エルフの大陸は、友好的な状態に置くことができる。
問題は・・・。
シロを見る。
今日も激しくしてしまった。少しだけ疲れているようで、湯船の中で眠たそうにしている。
「シロ。出るか?」
「うん。抱っこ!」
眠くて、少しだけ幼児化している。
シロを抱き寄せて、スキルを発動する。
髪の毛は、一度では渇かないので、もう一度スキルを使う。
”風”は、レベル2のカードだ。何枚使っても、それほど欲しいとは思わない。カードの限界枚数もない。しかし、最近は、ダンジョンにも行っていない。ヨーンやロータルたちからスキルカードは貢がれているけど、低いレベルのカードも補充しておきたい。
エルフ大陸の野営で、結構な枚数を消費してしまった。
余裕があるときに補充しに行った方がいいだろう。
寝室までシロを抱きかかえてベッドに降ろす。
シーツは既に新しい物に変わっている。そこまでしなくてもいいと言っているけど・・・。
室温を少しだけ上げてから寝よう。
二人でシーツに包まれば十分に暖かい。
シロにシーツを被せて、横に滑り込む。
抱きしめようとすると、シロから抱きついてきた。そのまま頭を撫でてやると、嬉しそうにして、すぐに寝息を立て始める。
シロの体温と匂いと寝息を聞きながら、俺も目を閉じる。
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日差しで目を醒ました。
シロは既に起きているようだ。
「カズトさん。おはようございます」
「おはよう」
「今日ですが?何か用事はありますか?」
「予定はないよ」
「良かったです。後で、湖の集落に行きたいのですがよろしいですか?」
シロの言い方では、俺も一緒に来て欲しいのだろう。
「わかった。時間は、シロに任せる」
「ありがとうございます。あとで、フラビアとリカルダが予定を調整してから来る予定になっています」
「ここに?」
「いえ、下の屋敷です」
崖下に作った屋敷か?
既に、待合室扱いだな。
向こうには、メイドを配置していなかったけど・・・。あぁ孤児たちを雇っていいかと言われていたけど、それか?
「シロ。崖下の屋敷の管理は?」
「基本は、フラビアとリカルダがしています。雑事は、雇った孤児たちが行っています」
いろいろ、俺が知らない所でシロが調整をしてくれているようだ。
「そうか、伝令は大丈夫か?」
崖下からの伝令は、エントに伝えなければならない。
門番に話が通っていなければ、堀に橋がかからない。
「大丈夫です」
シロが大丈夫というのなら大丈夫なのだろう。
「ドリュアスの一人が、崖下に常駐するようにしました」
「え?そんなに人数は居ないだろう?」
「はい。そう思っていたのですが、僕たちがエルフ大陸に言っている間に、増えたようです」
「増えた?」
ドリュアスたちは簡単には増えないと思っていたけど、栄養が行き届くようになって変わったのか?
それとも、何か変化があったのか?
確かに、ドリュアスが増えると、屋敷の管理が楽になるから嬉しいけど、増えた理由が気になる。ドリュアスが進化したのか?それとも、増える要素があるのか?
他でも同じように魔物が増えているとしたら問題になってくる。
ドリュアスやエントで、屋敷の周りだけで発生している現象ならいいのが、場所を限定しないで発生している事象だとしたら、魔物の氾濫が発生する可能性だってある。
新種や”できそこない”が氾濫したら手に負えなくなってしまう。1箇所なら犠牲を覚悟すれば対応が可能だろう。しかし、複数個所で発生していたら、対応が追いつかなくなる可能性がある。
チアル大陸内なら、情報網もしっかり整備している対処ができるだろう。
しかし・・・。