542 畑で
「ふわあああっ にーじーっ」ぴょんぴょんっ
『綺麗だね~虹~』
ぴゅいきゅい『『きらきら~』』ぱたぱた
『『『きらきら~』』』くるくる
『気持ちいいのだ~』くるくる
『『わあ~いいなぁ』』
みゃあ『にじのなかとんでるにゃ』
ここは畑、サーヤたちは虹のトンネルをくぐったり、飛べる双子達は虹の中をぱたぱたくるくる。キャーキャーはしゃいでます。
『らいちゃんたち、すごいんだな』
『きれいなんだな』
『虹を作れるなんて、すごいんだな』
『『『そ、そんなこと···』』』てれてれ
小鬼ちゃんたち、ぽぽちゃんたちに褒められて照れ照れです。
そう。虹を作ったのは小鬼ちゃんたち。魔法の練習を兼ねて、力を合わせて畑に雨を降らせて水やりです。その結果
「うきゃあああっ」
『もっともっと~』
ぴゅいきゅい『『に~じ~♪』』
虹ができて、ちびっこ達は大はしゃぎ!なんたって、いつもは遠い虹が、こんな近くで触れるのです!
『まあ、実際には触れないけどな』
『あらあらまあまあ、ゲンさんたら、こういう時は夢を壊すようなことは言わないのよ』ごすっ
『無粋』ごすっ
『うぐっ···わ、悪かった』
おいちゃんが、おばあちゃんとミアちゃんにどつかれています。脇腹大丈夫?
こんな楽しいことが出来るのも、小鬼ちゃんたちが頑張ってくれたおかげです。
お名前をつけた後···
〖あなた達は、聖域の外にいた時は、どうやって生き延びていたのですか?〗
〖そうだな。お前たちの境遇を考えれば、三人でなんとかしてたんだろ?〗
『飯とかどうしてたんだ?』
エル様とヴァル様と牙王様が小鬼ちゃんたちに尋ねると
『『『···ぁ』』』
小鬼ちゃんが顔を見合わせてから、
『ぇ、ぇと、木の実、とか、草、とか』
く、くさ?
〖···草、ですか〗
〖やっぱり苦労してたんだな〗
『とかってことは、他にもあるのか?』
『ぅ、海とか、川で』
『ぉ、お魚、とか、運良く見つけたら』
『とって、こっそり、食べたり』
「こっしょり?」
なんで?
『ぇ、ぇと、取られちゃうから』
『だから』
『こっそり···』
「しょ、しょんにゃ」うりゅりゅ
『ひどい~』うるうる
ぴゅきゅ『『ゆるせない~』』うるうる
ひどいよね、ひどいよね、でもね
「も、だいじぶ」ぎゅっ
悪い鬼さんはみんなで退治したからね。それにね、ここはみんないるからね
『『『ぇ?』』』
『うん。そうだよ~』もふっ
ぴゅいきゅい『『これからは、おいちいの』』ぎゅう
『『た~くさん』』きゅっ
『『『たべられるからね』』』ぴとっ
みゃあ『そうにゃ!すきなものたべられるにゃ!』きゅ
『すきなもの見つけるのだ』ぴとっ
きゅるるん『『『らいちゃんたち』』』ぴた
きゅるるん『『『『なにすき?』』』』ぴたっ
『『『ぇ?』』』
みんなで小鬼ちゃんたちを、ぎゅうーってします。もう大丈夫だからね。そうだ
ごそごそ
「あい!ちょこ、どーじょ」
ポシェットの中から、チョコを出してあげます。おいしいよ!
『『『ぇ?』』』
『あ、それなら、クッキーどうぞ!』
『おせんべ、どうぞ!』
『ドライフルーツ、どうぞ!』
妖精トリオもポシェットからおやつ出してくれました。
何かあった時にって、ポシェット持ってるサーヤと妖精トリオは大人たちからおやつをもらってるんだよ。
今は何かあった時だよね?
『『『ぇ?』』』
「どーじょ♪」
『『『おいしいよ♪』』』
たくさん食べて!
〖ふふ。せっかくだから頂いたらどうですか?おいしいですよ。いいですよね?師匠〗
『ん~あとでちゃんとおやつの時間あるから、少しならな』
〖だそうですよ〗にこ
「どーじょ」にこにこ
『『『どうぞ』』』にこにこ
『『『ぁ、ありがと』』』
「『『『うん!』』』」にこにこ
小鬼ちゃんたち、ひとつずつ手に取って、ひと口食べたらお隣に回して、ちびちびって食べて、その度に幸せそうに、ふわって笑ってます。でも、いくらなんでももっとたくさん食べていいんだよ。
〖ううっ···こいつら今までこうやって生き抜いてきたんだな〗
『健気だな。おい。もう大丈夫だからな。これからは一人ずつちゃんと食えるからな』
『『『は、はぃ。でも、これで、じゅうぶん』』』にこ
も、もしかして、もうこれ以上食べられないの?
〖くぅっ···師匠〗
『ううっ···任せろ!俺が責任もってコイツらがちゃんと食えるようにする!』
『あらあらまあまあ、それこそ私の出番よ。サーヤのために鍛えた私の腕の見せ所!』
『『お手伝いします!』』
「さーやみょ!さーやみょ!」
おいちゃん、おばあちゃん、山桜桃ちゃんと春陽くんまでメラメラ燃えてます!サーヤも手伝うよ!
『『『ぁ、ありがとう』』』にこ
「ふにゅ~」
可愛い小鬼ちゃんのために、サーヤ、がんばる!
『そう言えば、三人はどうやって魚を捕っていたのかの?』
『そうじゃのぉ。それにどうやって食べておったのかのぉ?』
じぃじと亀じぃが、魚を捕っていたなら、何か魔法を使ってたんじゃないかって
『ぇ、えと、ぼくが雷でビリッてして』
らいちゃんが、川とか海で魚を見つけたら、ビリってして
『お魚、浮いたら、ぼくがお水で手繰り寄せて』
ひょうちゃんが、感電して浮いてきた魚を水魔法で岸まで運んで
『ぼくが風で空中に浮かせたら』
ちゅむちゃんが風で浮かせて
『ぼくが雷で焼いてたの』
またまた、らいちゃんの雷が活躍したんだね
『へぇ、やるな。水は電気を通すからな。それを利用したのか。すごいな』
『あらあらまあまあ、ほんとね。私たちみたいに学校で習う訳ではないものね』
あっ!そうだよね。
〖ふむ。たしかに。あなた達は聖域の外で生き抜いてきましたからね、もしかしたら一番実戦向きかもしれませんね〗
〖そうだな。自分たちでこの方法を見出したってことだしな〗
『こんなに気が弱そうなのにな。中々逞しいじゃねぇか。やるな!雷電、旋風、雹』ニッ
『『『ぁ、ぁり、がとぅ···』』』かあああっ
わあ~真っ赤になっちゃった。照れ照れだ~。
『ほっほ。かわいいのぉ』
『ほっほ。初々しいの』
『お主らは、どんな風に魔法を使いたいのかの?』
『何か思うことがあれば、教えてもらえると嬉しいのぉ』
じぃじたちが優しく聞くと、小鬼さんたちは、ちょっと相談して
『ぇ、ぇと、みんなに助けてもらったから』
『み、みんなの役に立てるような魔法が、いい』
『な、何したら、みんなの、役に立てる?』
な、なんてことでしょう
「ら、らいちゃん···」うりゅ
『ちゅむちゃん···』うる
ぴゅいきゅい『『ひょうちゃん···』』うるる
『『『『『いいこ···』』』』』
ぎゅうっ
いいこすぎです。みんなで、ぎゅう~です。
『ほんに、いい子らじゃの』うる
『そうだのぉ』うる
うんうん。みんなの目がうるうるです。
『『『ぇ?』』』
いい子いい子~みんなでいい子ってしてたら、
『あ、それならぁ、畑で使える魔法から練習したらどうかしらぁ?』ぽんっ
『『『ぇ?』』』
結葉様が手をぽんって打って、名案でしょ?って。
〖〖『『『『『エッ?』』』』』〗〗
『『『ぇぇ?』』』
でも、結葉様がすごくいいことを言ったので、小鬼ちゃんたちより、まわりがびっくり!
その反応に小鬼ちゃんたちがまたびっくり。
『なぁにぃ?その反応はぁ?サーヤたちまでひどいわぁ』ぷんぷん
「ご、ごめしゃい」ぺこ
そうだよね。結葉様、時々いいこと言うもんね。
『ん~?なんか引っかかったようなぁ?』
気のせいだよ。
『『お、お母様が···』』
『まともにゃ···』
『『サーヤちゃん以外のことで···?』』
『あの結葉様がにゃ···?』
『『何か裏が···』』
『怪しいにゃ···』
でもアイナ様たちには驚愕だったようです。日頃の行い⋯
『で、でもまあ、いいんじゃないか?水やりとか、風通したり、害虫駆除なんかも出来そうだよな』
『あらあらまあまあ、そうね。結葉様、ナイスアイデアじゃないかしら?』
『そうでしょ~?なのにみんな酷いわぁ』ぷんっ
やっぱり日頃の行い⋯
〖そうですね〗
〖そうだな〗
『じゃあ、自由自在に雨を降らせるように、頑張るか!なっ!』にっ
イル様たちにも採用されました!
『『『は、はい!』』』
そんなこんなで、真面目な小鬼ちゃんたち。
〖そうそう。その調子です。上手ですよ〗
『『『は、はぃ。ぁ、ありがとうございます』』』
〖さすが自力で魔法を使ってただけあるな〗
『見てみろよ。妖精たちが手を貸したそうに、うずうずしてるぞ。くくっ』
「ふお~」
『すごいね~』
ぴゅいきゅい『『うん!』』
『『『ぅぅぅ~』』』
てれてれ
真っ赤になって照れながらも、どんどん上達して
「にーじ~っきりゃきりゃ~♪」
『に~じ~♪』
ぴゅいきゅい『『に~じ~♪』』
『『『『『きらきら~♪』』』』』
『『『ぇ、ぇへへ』』』
やっぱり照れ照れ
『畑の野菜も元気なんだな』
『らいちゃんたちのおかげなんだな』
『ありがとなんだな』
『『『ぅ、うん!』』』にこぉ
それでも、よく笑ってくれるようになりました。八重歯がかわいいです。
畑できれいな虹を見せてくれてます。
みんなで仲良く、美味しいもの食べようね!
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。