538 小鬼ちゃんたちの、番!
小鬼ちゃんたちと、ちびちびっこたちが、くるくるくる。
『まーいむまーいむ♪』
『まーいむまーいむ♪』
『まいむべっさっそん♪』
『『『え?え?』』』
小鬼ちゃんたちも、みんなも可愛い♪曲が変わっても妖精トリオの動きに迷いはありません。おばあちゃん、そうとう仕込みましたね?⋯あれ?でも、何してたんだっけ?
『サーヤ⋯』ふ~ぅ
『お名前でしょ?』ふ~ぅ
「ち、ちってりゅよ」ふい~
忘れてなんかないよ
『忘れてたよな』じとー
『忘れてたわよね』じとー
「しょ、しょんにゃこちょは⋯」ふい~
フゥとクゥは何を言ってるのかな?
『『サーヤ⋯』』じとー
「おにゃにゃまえ、どーちよ?にぇ?」に、にぱっ
『『言えてないぞ(わよ)?』』
「ふにゅ」
そんなことないよ?
〖わははは!お前ら面白いな!〗
『くくっ、鍛治神、ばかだな。こういう時は黙って見てるもんなんだぞ?』
〖そうか?悪ぃな!続けてくれ!〗
『『は、はあ⋯』』
「ぶー」
別に面白くないよ?フゥとクゥの今のまの抜けたお顔の方が面白いよ?
『『サーヤ?』』じと
なんですか?
〖ワハハハっ〗
『くくっ』
ヴァル様、牙王様楽しそうですね。
『まあ、せっかく思い出したことだし、名前だな』
『そうよね?どうするの?色の名前なんかはけっこう使っちゃったわよね?』
「しょぢゃね~」
フゥとクゥが本題に戻らないとねって。う~ん、今まで名前いっぱいつけたもんね。色の名前もそろそろネタ切れかも⋯そうするとあとは
「まほー?」
魔法から、とか?
『そうだな。さっきの嵐つくったのすごかったしな』
『でも、魔法なら属性関係の名前も結構つけてるわよ』
「ふにゅ~」
そうだよね~?らんちゃんの晴嵐とか、だいちゃんの大地とか、そうだもんね。どうしよう~
『あらあらまあまあ、大変そうね。それなら、風や雨の種類とかの名前はどう?小鬼ちゃんたちにピッタリじゃないかしら?』
『ああ、そうだな。色んな言葉があるから、何かしらありそうだよな?』
おいちゃんとおばあちゃんが、見かねてヒントをくれました。
「『『しゅる(りゅ)い?』』」こてん
『『そう。種類』』こくん
種類?えっと、さっき使ってたお天気の魔法は
「きりかりゃ、くも?」
『そうだな。風も吹いてたな』
「びゅーちょ、くりゅくりゅにょ、かじぇ」
『ごろごろ音がしたと思ったら。雷落ちたわよね』
「ごりょごりょ、ぴかっ、ぴしゃーんっ」
『あと、氷のつぶが降って、雨に変わったよな』
「ぱりゃぱりゃ、ぱしぱし、ばしゃー」
すごかたったよね
『『う~ん』』
「ふにゅ~」
何かいいのあるかな?とにかく、調べよう!
『そうだな』
『頑張って!』
「あい!いしぇかいじちょ!」
頑張るよ!異世界辞書、よろしくね!
「えちょ、かみにゃりにょ、くみょ⋯あっちゃ!らい」
『雷雲だな。らいうん、かみなりぐも、とも読むな』
「⋯あい」
うにゅ~おいちゃんに先に言われちゃいました。仕方ないから次です。
「ごりょごりょ、おちょは⋯らい」
『音は雷鳴ね』
「⋯あい」
うにゅにゅ~今度はおばあちゃんに言われちゃいました。これも仕方ないです。じゃあ、
「ひかり⋯らい」
『ちなみに、光は雷光とか、稲光だな』
「⋯あい」
ふぎゅ~また先に言われちゃいました。じゃあじゃあ
「おとちょ、ひかり、いっちょなりゅ⋯らい」
『雷電とかも言うわね』
「⋯あい」
ふぎゅぎゅ~今度もおばあちゃんに言われちゃいました。異世界辞書いらない?ぐすん⋯
『『サーヤ、どんまい』』ぽんぽん
「あい」ぐすん⋯
フゥ、クゥ、ありがとう
それじゃ~風にいこう
「ちゅよいかじぇ⋯きょう」
『強風、豪風、暴風、疾風、色々あるな』
「⋯あい」
またまたおいちゃんです。しかもたくさんです。じゃあ
「くりゅくりゅかじぇ⋯ちゅむ」
『旋風、同じ字で、つむじ、つむじかぜとか、せんぷうとか読むわね』
「⋯あい」
またまたおばあちゃんです。やっぱり異世界辞書の出番が⋯ぐすん
『『よしよし』』なでなで
「あいがちょ⋯」ぐすん
フゥとクゥの優しさがしみます。じゃあ、次行こうかな。えっと
「こおり、ふっちゃ⋯あら」
『霰(アラレ)と雹だな。ちなみに霰は五ミリ以下、雹は五ミリ以上だな』
「⋯あい」
もう、おいちゃんにまかせていいんじゃないかな?
「ちゅよいあめ⋯ごう」
『豪雨、大雨、鉄砲雨、飛雨、黒雨、他にもあるかしらね』
「あい」
おばあちゃんが決めてもいいんじゃないかな?⋯ぐすん
『大丈夫だぞ』なでなで
『サーヤもちゃんと調べてるわよ』なでなで
「あい⋯」うりゅ
フゥとクゥの目が生ぬるい感じです。
〖おやおや、サーヤはちゃんと言わせてももらえてませんね〗
〖ちゃんと、調べてるみたいなのにな〗
『雷関係なんか、全部「らい」しか言えてなったぞ』
エル様、ヴァル様、牙王様も、何だかかわいそうにってお顔してます。
その間も
『たらったたった~♪』
『たらったら~♪』
『たらったたった~♪』
『『たらったら~♪』』
『『『え?え?』』』
ダンスは続いてます。曲もまた変わってます。おばあちゃん、色々仕込んだようです。
『それでどうする?』
『上がった候補から決める?』
「あい。らいちゃんは~」
『『らいちゃん?』』
「あい。かみにゃり、みんにゃ、らいかりゃ、はじまりゅかりゃ~」
『ああ、たんぽぽのぽぽみたいな感じか』
『それであだ名が先に決まっちゃったのね。じゃあ、どれにするの?』
「んにゅ~かっこいいにょ、らいこう?ふたちゅにょいみで、ちゅよしょう、らいでん?」
雷光と、雷電のどっちかかな?って。
『そうだな』
『たしかにね』
「あい」
そうでしょ?
『じゃあ、後で本人に聞いてみような』ぽん
「あい」
そうだね。
『じゃあ、次は風?』
「あい。ちゅむちゃん」
『ちゅむ?』
『つむじ風の「つむ」じゃない?』
「あい」
フゥ当たりです。
『じゃあ、風はつむじ風一択なのか?』
『あ~わたし、なんか分かったかも。多分だけど、あだ名にしやすかったんじゃない?雷の子が真っ先にあだ名だったし、あだ名で呼べる名前で揃えようとしたんじゃないかしら?しかも、少しかわいい感じで』
「あい!」
フゥ、また当たりです!ぱちぱち!だって、きょうちゃんとか、しっちゃんよりかわいいでしょ?でも、
「ごうふうにょ、ごうちゃんみょ、あり?でみょ、あめにょ、ほうにみょ」
『ああ、豪雨ってあったな』
『なるほど、じゃあ、それも一応候補にしたら?』
「あい」
そうだね。じゃあ、候補は旋風(つむじ)と豪風だね。
『それじゃ、最後は氷か雨の名前か』
『わたし、今の法則だと分かったかも』
「うにゅ?」
そう?
『じゃあ、一緒に言ってみたらどうだ?』
『そうね。じゃあ、せーのっ』
『「ひょうちゃん、ごうちゃん」』
「ふお~」
フゥ、すごい!ぱちぱち
『やっぱりね~』ふっ
『すごいな、フゥ』ぱちぱち
クゥも感心してます。
『だって、雹はあだ名じゃなくてそのままだけど、呼びやすいし、呼び方も今までの二文字呼びでしょ?あと、さっき豪風と悩んでたから、豪雨がこっちの候補にも上がってるんだろうな?って。これも二文字だしね』
「ふぉ~」ぱちぱち
『さすがだな』ぱちぱち
フゥすごいです!ぱちぱちぱち!
『あらあらまあまあ、呼びやすさで決まりそうね?』
『そうだな。でも、「つむ」は言えてないぞ「ちゅむ」になってる』
『あらあらまあまあ、今回はかわいいから、いいんじゃないかしら?』にこにこ
『凛さん⋯』
『何かしら?』にこにこ
だって、おばあちゃんも、かわいいは正義ですから。
『じゃあ、本人たちに聞いてみようか』
『そうね。でも、聞ける?これ』
「しゃ、しゃあ?」
そう、本人たちはまだ
『たらったらったらった♪』
『こおにのだんす~♪』
『たらったらったらった♪』
『『『らったらったらったら~♪』』』
『『『⋯⋯』』』
すでに舞台と化した台の上ではちびちびっこたちが踊り、台の周りでは、ハクたち台に乗れないちびっこたちがくるくる回っています。
曲も最初の曲に戻ってます。
肝心の小鬼ちゃんたちはされるがまま⋯
『『どうする?』』
「え、えちょ」
どうしよう?
『うふふ。お任せくださいませ。サーヤちゃん。ね?アイナ』にょき
『はいですわ。お姉様。ニャーニャが中で一緒に踊っておりますから、止めてもらいましょう。うふふ』にょき
『『わっ?』』
「ふお?」
リノ様とアイナ様が湧いてきたよ。
『アイナ、では、よろしくお願いしますですわ』
『はいですわ。ニャーニャ!出番ですわよ!』
ぴくぴくっ
『はいにゃ!みんな、止まるにゃ!』
すちゃっ! ピーッ!
『『『ぅ、ぅわぁっ』』』
びくーっ!ピタっ
「ふお~」
お耳をピクピクさせたニャーニャにゃんが、どっから出したのか、横笛をピーッと!
そしたら、みんなピタっ!と、止まりました。小鬼ちゃんたちだけ悲鳴をあげてます。
『さあさあ、サーヤちゃんたちの観察は終わったみたいにゃ。いよいよお名前にゃ!主役は席について、みんなも元の場所に戻るにゃ!』
『『『は、はぃ』』』
『『『『『らじゃーっ』』』』』びしぃっ
らじゃー?敬礼?
『凛さん⋯』
『あらあらまあまあ、何かしら?』ぷひゅ~
おばあちゃん、これもですね?
きゅるるん『『『はい。座って~』』』
きゅるるん『『『『ひよこちゃんもどうぞ~』』』』
『『『ぁ、ありがと』』』ぎゅう
子グモちゃんたちが、小鬼ちゃんを座らせて、ひよこのぬいぐるみも渡しています。
『さあ!サーヤちゃんどうぞにゃ!』にこ
「あ、あい。あいがちょ?」
ありがとう、で、いいのかな?
『それじゃ、サーヤいってみようか』
『解説はまたゲンさんかしらね?』
「あい」
おいちゃんもよろしくね♪
『やっぱりそうなるよな?』
よろしくね♪
「かみなりしゃん、らいちゃん!」
『『『え?』』』かちんっ
「ふにゅ?」こてん
何で『え?』
『サーヤ、違うだろ』
『それはあだ名』
「ふあ?しょでちた。らいこう、らいでん、どっち、い?」
選んで?
『『『え?』』』きょとん
『『サーヤ⋯』』じと
「う?」
おいちゃん、解説お願いします。
『まったく⋯すまんな、小鬼たち。あのな?サーヤはさっきお前たちが天気を操ってるのを見て名前を考えたんだ。嫌だったら言ってくれな』
『『『は、はぃ』』』
おいちゃん、そんな呆れたように言わなくてもいいんじゃないかな?
小鬼ちゃんたち、びくびくしないで大丈夫だよ。
『じゃあ、いくぞ。雷の光って書いて、「雷光」。それと、雷の音もして光っている状態を、雷に電⋯ん~電はイカヅチとか、光の意味な。くっつけて、「雷電」』
おいちゃんは今回も地面に書き書きしながら説明です。
『『『⋯⋯』』』
小鬼ちゃんたちは、初めて見る漢字を一生懸命見てます。
『サーヤ曰く、雷光はかっこよくて、雷電は強そうらしい。あだ名はどの道「らい」みたいだな』
「あい。らいちゃん」にぱっ
考えてみてね。
『は、はぃ』
そんなびくびくしなくても⋯
『じゃあ、次は風だな』
『そうね』
「あい。ちゅむちゃん、ごうちゃん」
おいちゃん、お願いします。
『はいはい。旋風⋯さっきのくるくる渦を巻く風のことだな。つむじ、つむじかぜとか、せんぷうとも読む。豪風は激しい風のことだな。それでサーヤが言ってるのはあだ名の候補だな』
「あい。ちゅむちゃん、ごうちゃん」
考えてね?
『は、はぃ』
うんうん。
『最後、氷と雨だな』
『はい、サーヤどうぞ』
「あい!ひょうちゃん、ごうちゃん!」
『『『え?』』』
あ、小鬼ちゃんが初めて変な顔だね。おいちゃん、お願いします。
『はいよ。雹はな、さっきの氷の粒、あれ位なら霰、あれより大きいのは雹って言うんだ。それから、豪雨は激しい雨な。豪風と豪雨で迷ったらしくてな、紛らわしくてすまんな』
「あい。ごめにぇ。しょれで、どっちしゅる?」
『『『え?』』』
え?じゃなくてね?
ぴこんっ
「ちゃっ」
またピコピコハンマーだ
『まったく、急かしたらダメだろ。考える時間をやれ』
「あい。ごめしゃい」
そうだね。ごめんなさい。
『『『ぁ、ぁの』』』おろおろ
「ふぉっ、こおにちゃ」
『あ~、すまん。気にすんな。ほら、やっぱり自分の嫌な名前は嫌だろ?だからな自分の好きな名前選んで欲しいんだよ。もし、今の候補になければ考え直すから、言ってくれな』
「あい」
遠慮しないでね?
『『『は、はぃ』』』
小鬼ちゃんたち、円陣組んで相談し始めました。ちょっと突き出たおしりがかわいいです。しばらくすると
『らいでん』
『つむじ』
『ひょう』
『『『に、します』』』ぎゅ
ひよこちゃんを、ぎゅってしながら、選んだお名前を教えてくれました。
『それでいいのか?』
「いいにょ?」
ほんとに大丈夫?
『『『うん。だいじょうぶ、です』』』ぎゅ
『分かった』
『あらあらまあまあ、決まって良かったわね』
「あい!」
良かった。決まりました。
『それじゃあ、サーヤ』ぽん
『頑張ってね』ぽんぽん
フゥとクゥが応援してくれます。
「あい!」
がんばるよ!
「こおにちゃ、らいでん、ちゅ、つむじ、ひょう、いいでしゅか?」
『『『はい』』』
『ぼ、ぼく、らいでん』
『ぼ、ぼく、つむじ』
『ぼ、ぼく、ひょう』
『『『よろしくおねがい、します』』』ぺこ
ピッカーっ!
「ふ、ふぎゅ」めかくしっ
『おお、サーヤが目を隠したぞ』
『ん~でも残念』
『『また指が開いてる⋯』』
「ふみゃーっ」
やっぱり眩しいよ~
『『サーヤ⋯』』
『残念だな』そっ
『残念ね』そっ
フゥとクゥは、サーヤのお手手を閉じてあげてから、自分の手でも塞いであげました。
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お読みいただきありがとうございます。