482 ドワーフさんたち、親子は
もはや腕もふりふり♪お尻もふりふり♪なんの踊りか分からないけど、ちびっこ達の動きは見事に揃っています。さすが仲良しちびっこ同盟。そして
〖いや～ん♪みんなこっち向いて～♪〗
「『にゃあ♪』」
『『『『『にゃあ♪』』』』』
ズキューン！
〖はぁ～ん♪かわいい～♪〗
ジーニ様の呼び声に、一斉ににゃんこポーズをとるちびっこ同盟。ジーニ様は完全に壊れました。
『うんうん。かわいいね』
『息ぴったりだね』
『楽しそうでなによりだね』
ドワーフの奥さんたちも、サーヤたちを見てほのぼのとしています。
『神様ってのは、もっと堅苦しいもんかと思ってたけどよ』
『けっこう親しみやすいんだな』
『フットワーク軽いな魔神様』
ドワーフさんたちはジーニ様を見て何やら感心してます。
〖あれが神全体の姿だと思われたらと思うと、大変心外ですね〗
〖お母様、サーヤが絡むとダメダメですからね〗
神様お二人は複雑なご様子。
『おしっ！ひと通り刈り終わったな』
『そろそろ行くか』
『カミさんたちと絹達が待ちわびてるぞ』
メーメーさんたちの毛を刈り終えた親方たち。ぽぽちゃんたちの毛も無事に刈れたし、おかみさんたちの待つ工場へ移動するようです。
『ありがとうメ～』
『楽になったメ～』
『まだいけるのにぴょん』
『そうだじょ！』
『なにごともほどほどがだいじめ～』
おお、ラムちゃん大人！
『親方、俺がその毛の山運ぶぞ』
インベントリを持つおいちゃんがそう言うと、親方たちは
『おう！ありがとな、でもこれくらい余裕で大丈夫だ！』
『ゲンのには適わねぇけどな？俺たちもジーニ様に習って収納力上げたんだよ』
『前から小さい空間なら使えたんだけどよ、ゲンのが羨ましくてな習得したんだぜ』
三人揃って親指立てて、グッ！
『そうなのか？やるな』グッ！
ニカッと親方たちはいい笑顔です。いつの間にやら練習してたようです。そもそもインベントリ使えたんだね。
『な、なんだと？』
『親父たちがインベントリ？』
『しかも大容量？』
ショックを受けているのは息子さんたち。
『ん？なんだお前らは使えなかったか？』
『俺たちは里にいる時から使えたぞ。容量は小さかったけどな』
『お前らも習得した方がいいぞ。マジックバックに頼りすぎは良くねえ。他人に見えない隠し球があれば何かあったとき有利だぞ』
親方が何食わぬ顔で言うと
『なんだそりゃ？もっと早くに教えてくれよ』
『魔法にばかり頼るな、こんくらいの荷物がなんだ！』
『何事も鍛錬だと思え！筋肉は裏切らねぇ！とか言ってたのはどこのどいつだよ！』
と、食ってかかる息子さんたちに
『かーっ、何言ってやがる。確かに頼るなとは言ったがな？使うなとは言ってねえだろが』
はあっと大きなため息をつく親方。
『『『はあ？』』』
息子さんたち、ちょっとムカッてしてるのが伝わってきます。
『大体よぉ、お前ら俺たちの何見てたよ。俺らは日常的に魔法を使って常に魔力を上げるようにしてただろが』
呆れ返って言う親方。
『『『は？』』』
息子さんたち今度は間抜けな声です。
『考えても見ろ。ドワーフロードだって転移魔法の一種だ。それなりに魔力がなきゃ出来ねえだろが』
『それに、鍛治で火に向かう時にゃ、お前らだって魔力を使うだろが。無意識かもしれんがな』
『木を切るにしたって身体強化、加工する時だって付与魔法とかな、使わねえことは無いだろ？』
親方たち三人呆れております。
『『『あ⋯』』』がーん
息子さんたち、思い当たることがあるのかショックを受けてます。お顔にガーンって書いてあるみたいです。
『インベントリだってな、ちょっとした魔道具や武器、採掘道具に鉱石なんかを常に常備しとくには必要なんだよ』
『マジックバッグも便利だけどな、容量に限りはあるし、無くしたり壊れる可能性がないとも言えんだろが』
『誰にも分からねえように隠し球を持ってるってことはよ、戦いにおいても有利に働くんだぞ』
とつとつとお説教を始める親方たち三人衆。
『『『うぐぐ⋯っ』』』
息子さんたちはぐぅのねも出ないようです。
『因みにな、俺たちがマジックバッグがあるのに、普通に荷物を担いでたのはな』
『筋トレもあるが一番の目的は』
『身体強化のレベル上げのためだぞ』
『『『なっ⋯んだと』』』ガーン
あ～あ、息子さんたち大丈夫かな？
『あちゃあ、うちの旦那は残念だったんだね』
『うちらは身体強化に関してはきづいてたよね』
『うん。旦那も知ってるもんだとばっかり』
『『『え？』』』
『なんだ、嫁の方ができるじゃねぇか』
『情けねぇな～』
『嫁、俺らの後継ぐか？見込みあるぞ』
『『『面白そうだね』』』ニヤ
『『『な、なっ』』』ぱくぱく
あ～あ、お魚みたいになっちゃったよ。
『仕方ねぇな。まあ、分かってると思って口にしなかった俺たちにも責任があるしな』
『まあ、本来なら自分たちで気づいてくれるのが一番だからな。俺らも親父たちを見て気付いた時にはショックだったよな』
『ああ。未熟さを痛感したよな。俺たちも一人前だと思い上がってた時だったしな』
うんうんと頷きあってる親方たち。
『『『⋯⋯』』』ずーん⋯
息子さんたち、もはや無言です。ちょっと気の毒。
『まあ、なんだ、丁度いいんじゃないこで覚えていきゃあな』
『あらあらまあまあ、そうよね。そんなに落ち込まないで』
見かねたおいちゃんとおばあちゃんが、息子さんたちをフォロー！
『『『あ、ああ⋯』』』
『『『いいね！私ら、おしえてもらおうかね！』』』
おお、奥さんたちの方が生き生きてしてる！
『我らも運ぶのを手伝うつもりで来たのだがな、要らぬことだったようだな』
『そうですね。ですが、頼もしいことではありませんか。そうとなれば、工場へ向かいましょう。待ちくたびれているかもしれませぬよ』
アルコン様とギン様もおかみさんたちと絹さんたちが待つ工場へ行こうと言います。
『そうねぇ。それじゃあ～、サーヤ、みんなぁ、そろそろ行きましょうかぁ。ほらぁ、ジーニ様も行くわよぉ』
結葉様がサーヤたちにを呼びました。
「う？あ～い」
『はいにゃ！』
『は～い』
ぴゅいきゅい『『いこーっ』』
『『ぼくたちのお顔できてるかな？』』
『『『はやくいこーっ』』』
『楽しみなのだ～』
元気よく戻ってくるちびっ子たち。そして
〖あ～ん、もう終わり～？〗
元気なく戻ってくるジーニ様⋯。そして
『あらあらまあまあ、サーヤ？いくら見せてもいい見せパンでもね、パンツはしまいなさい。パンツは』にこにこにこにこ
「あ、あい。ごめしゃい」
少々お怒りのおばあちゃんに慌ててスカートを元に戻すサーヤ。
『なるほど。この中で一番強いのは』
『凛さんだね』
『間違いないね』
うんうんと確信するドワーフの奥様たちなのでした。おばあちゃん、最強です。
