『切られた髪』
教師は幸子の切った髪を見て、心配そうに尋ねた。
「髪、どうしたの?誰かにやられたのか?」
幸子は内気に答えた。
「......クラスメイトに触られたりしたんだけど、自分で切ったの」
幸子は自分の髪を守るために自分で切ったことを告げると、教師は何か言おうとしたが、幸子は続けた。
「自分の髪だから、大丈夫だよ」
その夜、幸子は自分で切った髪を見つめて不安になった。佐世子は娘に声をかけた。
「どうしたの?心配そうな顔してるわ」
幸子は内気に答えた。
「......何か、心配なの」
佐世子は心配そうに尋ねた。
「どうしたの?何かあったの?」
幸子はクラスメイトからのいじめについて話し始めた。佐世子は娘を抱きしめながら、やさしく声をかけた。
「大丈夫だよ、ママが守ってあげるからね」
幸子は母親に抱きしめられながら、涙を流していた。権蔵も幸子を励ました。
「お前、大丈夫だよ。お前がやりたいように、やればいいんだ」
朝食を食べながら、幸子は昨夜のことを思い出し、自分に非があるような気がしていた。しかし、心に引っかかることがあった。
娘は母親に尋ねた。「お母さん、昨日のこと、何があったんですか?」と。
母親は驚いたように娘を見つめた。しばらく黙って考えた後、「何のこと?」と聞き返した。
娘は「お父さんとお母さんが手を握って、力が強くなっていくのを見て、不思議だったんです。何か大切なことが伝わったような気がして、気になっていたんです」と答えた。
母親は驚きながらも、微笑んで「ああ、あれね。あれはね、家族が団結していることを感じる瞬間なんだよ。手を握り合って力を合わせて、困難なことに立ち向かうときには、家族の絆が力になるんだよ」と教えてくれた。
娘は納得したようにうなずき、安心した表情を見せた。それから、母親と娘は、普段通りの生活に戻った。
しかし、娘は昨日の出来事を忘れられなかった。彼女は、自分が困難な状況に陥った時に家族の絆が力になることを心に留めた。
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