437 お風呂上がりには
ごくごくごく
「ぷはー。ふい~」
あ~おいしい~。今日はなんか疲れたからか特においしく感じます。
『はぁ。あらあらまあまあ。サーヤったら女の子なのに。そんなところはゲンさんの真似しなくていいのよ?』
おばあちゃんが呆れたように言います。でも、あれぇ?
「おんしぇんにょ、たちなみ、でちょ?おいちゃん」
おかしいな?違うのかな?
『ぷっはーっ!ん?そうだよな?風呂上がりに腰に手を当てて飲む牛乳は最高だろ?』
やっぱりごくごくぷっはー!してるおいちゃんが、思いっきりニカッと親指立てて笑ってます。ほらぁやっぱり~
「あい!しゃいこー!」
ごくごくごく
「『ぷっはー!』」
おいちいね~。おいちゃんは牛乳、サーヤはいちご牛乳で一緒にぷっはーっです。
『あらあらまあまあ。美味しいことは認めるわ。私だってコーヒー牛乳飲みたいわ。でもね、それとこれとは話が別です。サーヤはもう少しお行儀よく飲みなさい。ゲンさん?ゲンさんはサーヤたちのお手本になるんだから少し考えてくださいな』
にこにこにこにこ
「はうっ」
大変ですっ。おばあちゃんのお顔がにこにこです!しかも言葉がいつもより丁寧です!
「あ、あいて」
バシバシっおいちゃんこれはキケンです!ね?おいちゃ⋯
『いや、だってこれは⋯』
お、おいちゃんっ!おばあちゃんのお顔がぁっバシバシっ
『考えてくださいな?』
にっこにこにこにこ
『は、はい⋯』
だから、おばあちゃんのお顔がにこにこだって教えてあげたのに~。おばあちゃんのにこにこは要注意なんだよ!
『サーヤ?』
「あ、あい?」
なんでもないですよ?
『ゲンのこういうところは残念だよな』
『そうだね。結構うかつだよね』
うんうん。
うわぁ~ドワーフさんたちがみんなで頷いてるよ~。おいちゃんは
『ううっ』
あっ、落ち込んでます。
『でも、ほんとにおいしいだよ。今日、オイラのはハチミツ味なんだな』
ぽぽちゃんが、美味しそうに両手でコップを持って飲んでます。かわいい~♪
『うん。おいしいだよ。おいらこのバナナ味も好きなんだな』
『わたちはサーヤちゃんとおんなじなんだな。いちご牛乳も好きなんだな』
つくしちゃんと、なずなちゃんもおんなじ格好でくぴくぴしてます。かわいい~♪
『『『どの味もおいしいだ~♪』』』
三人で声が揃ってます。かわいいかわいい~♪ふら~
くいっ!
「くえっ」
誰ですか襟首つかむのは~
『はい。ストップよ。サーヤ、今はダメよ』
『そうだぞ。今抱きついたら、ぽぽたち』
『『牛乳まみれになるぞ(わよ)』』
フゥとクゥでした。
「あ~い」
お風呂上がりのぽぽちゃんたちもふもふしたかったのに~
『『サーヤ?』』
「あい」
今日はみんながきびしいです⋯
『ぼく、厳しくないと思うな~アレに比べたら~。あ~牛乳はそのままでもおいしいよね~』
「うにゅ?」
ハク?アレって?そんで、モーモーさんたちの牛乳だからね!おいしいよね!
『あれだよ~ほらぁ』
「う?」
ハクがちょいちょいってあんよで教えてくれた方を見ると
「ふあ?」
リノ様が?
ぴゅい~『リノしゃま』
きゅい~『さっきから』
ぴゅいきゅい『『おすわりなんだよ~』』
『違うよ。モモ、スイ』
『あれは正座って言うんだって』
ぴゅいきゅい『『そっか~。ベリーあじもおいしいよ~』』
『『おいしいよね~♪』』
モモとスイの説明をフルーとフライがお直ししてくれてます。
森のベリー味もおいしいよね~。
『それでね~』
『アイナさまとね~』
『ニャーニャにゃんがね~』
みゃ~『おこってるにゃ~』
『せっかくおいしい牛乳もお預けなのだ~。くぴっ』
『『『はちみつぎゅうにゅう』』』
みゃ~『おいしいのににゃ~』
『温くなっちゃうのだ』
うんうん。みんな観察しながら牛乳は飲み続けてるんだね。はちみつ味はぽぽちゃんとおんなじだね!
そんな風に、みんなが見てる中⋯
『まったく。お姉様、恥ずかしい真似はおやめ下さいませ!さすがに今回は許容できませんわ!』
『ほんとにゃ!あれはもう極度の可愛いもの好きなんて言葉じゃ片付けられないにゃ!変態にゃ!危険にゃ!』
『お姉様はこれからサーヤちゃんとお風呂禁止ですわ!』
『そうにゃ!変態は立ち入り禁止にゃ!お触り禁止にゃ!』
仁王立ちのアイナ様とニャーニャにゃん、怒涛の口撃です!
「ふあ~?」
『ねえ~?』
ぴゅいきゅい『『すごいの~』』
ほんとだね~
『ええええ?そんなぁ~。私だってサーヤちゃんを抱っこしてお風呂に入りたいですわ!お背中洗いっこしたいですわ!』
ええ?サーヤは遠慮しようかな?リノ様ってば、アイナ様とニャーニャにゃんにすがりつきそうだね
『お黙りなさいませ!百歩譲ってお風呂に一緒に入ったとしてもお触りは禁止ですわ!』
『ご主人甘いにゃ!大人二人分は接近禁止にゃ!抱っこしたいなら洋服来てる時限定にゃ!しかもサーヤちゃん本人の承諾を得てからにゃ!ついでにゲンさんと凛さんの許可もにゃ!』
おお~アイナ様とニャーニャにゃんがそんなリノ様をバッサリです!
『あらあらまあまあ。接近禁止令が出たわね』
『まあ、仕方ないよな?あれは』
おばあちゃんとおいちゃんも納得みたいです。
『ええええ?ひどいですわ!それではサーヤちゃんが寝てる間に添い寝も出来ないではないですか!』
ええ?サーヤは一緒にねんねはタオルケットともふもふがいいなぁ。
『『それはもう夜這いですわ(にゃ)!』』
おお~さすが仲良し!声が揃ってます!
『とにかく!お姉様は勝手にサーヤちゃんに近づかないで下さいませ!』
『そうにゃ!近づくなら必ず誰かの監視の下、許可をとってからにゃ!』
『そんな~ひどいですわ』
『『ひどくないですわ(にゃ)!』』
わ~また揃った~。
「あいなしゃまちょ、にゃーにゃにゃん、なかよちね。おしゃべりもじょーじゅね」
すごいね~。ぽんぽんおしゃべり。あんなに長くおしゃべりしてるし、おそろいだし。
『お前、またあれをおしゃべりと仲良しで済ませるのか?』
「う?」
すごいよね?おいちゃんはそう思わないの?
「のど、かわいちゃうにぇ?ぎゅうにゅう、もってちぇあげよう」
のど、痛い痛いになってるかもだよね?何味がいいかな?
『あらあらまあまあ。サーヤは平和ねぇ』
「う?」
今は、平和関係ないよね?
『あらあらまあまあ。おばあちゃん、やっぱりちょっと心配だわ。そうねぇ、はちみつなら喉にも優しいんじゃないかしら?』
何が心配?そっか~アイナ様たちの喉だよね。ばあちゃんも優しいね~
『凛さん、絶対これ分かってないよな?』
『あらあらまあまあ。やっぱり心配だわぁ』
心配ならはやく牛乳届けてあげよう?
『『はあ~』』
『そうだな』
『そうね』
「うにゅ?」
なんで変なお顔で頭なでなでしてくるのかな?温泉で疲れちゃったのかな?
『サーヤ~。ぼくたちも一緒に行ってあげるよ~』
ぴゅいきゅい『『サーヤ、ちんぱい』』
『『ぼくたちが守ってあげるからね!』』
『『『おににかなづちだよ~』』』
みゃ~『かなづちだったかにゃ?』
『違うかもなのだ~』
『妖精トリオ、それを言うなら鬼に金棒だ』
『ありゃ?』
『そうだった?』
『まちがった?』
『『『まあいっか~』』』
おいちゃんの訂正に妖精トリオは『まあいっか~』で笑って済ましてるけど、そもそも鬼も金棒も金槌も分かるのかな?
『『『ん?わかんな~い!きゃはは』』』
あっ、やっぱり分からないんだね。
『あいなしゃま、にゃーにゃにゃん、りのしゃま、どーじょ』
コップにはちみつ牛乳を入れてもらってお届けです。サーヤのおてては二つあるから、二個持つよって言ったのに
『一つにしとけ』
っておいちゃんに言われたので、ひとつのコップを両手で持ってすたすたお届けです。
ぴゅい~『よたよただよね?』
きゅい~『ちょこちょこだよね?』
『モモとスイも気をつけないとこぼれちゃうよ~』
ぴゅいきゅい『『だいじょうぶ~』』
パタパタ飛んでるモモとスイにも一つずつ持ってもらってるけど、大丈夫かな~?
ぴちょっ
「あ」
ハクの頭に!
『ほら~ぼくの頭濡らさないで~』
ぴゅいきゅい『『ごめちゃい』』
ハク後で拭いてあげるね。
『まあ、サーヤちゃんも皆さんもありがとうございますですわ』
『そういえば喉乾いたにゃ。ありがとにゃ』
スイとモモから受け取るアイナ様とニャーニャにゃん。と、言うことは
「あい。りのしゃま、どうじょ。おいちいにょ」
サーヤは自動的にリノ様です。
『あっダメですわ!サーヤちゃん!』
『近寄っちゃダメにゃ!』
「うにゅ?」
何が?
『ああ!かわいいサーヤちゃんが私のために?ああ!一生懸命よちよち歩いてきてくださる姿!可愛すぎですわ!』
がばーっ
「うにゅ!?」
なんか、飛んできた!?
べちゃっ
『ふぎゃ』
ひょいっ
「ふにゃ?」
なんだなんだ?
『まったくもう~。リノちゃんたら、ダメでしょう?サーヤに抱きついちゃぁ。せっかく持って来てくれた牛乳だってこぼれちゃうじゃないのぉ。くぴっ。うん。美味しいわ~』
「うにゃ?」
あ、あれ?結葉様?
『お、お母様?これは、良くやりましたわと、褒めるべきなのでしょうか?それともお諌めするべきなのでしょうか?』
『わ、分からないにゃ』
アイナ様とニャーニャにゃんのお目目が点です。
〖えげつないわね。結葉。飛びつこうとしたリノの上に転移して押し潰した上に〗
〖そのまま座ってサーヤを抱っこするなんて。これみよがしですわね〗
〖その上、牛乳まで取り上げて飲んでますしね。身から出た錆とはいえ、実に〗
〖〖〖えげつない〗〗〗
神様三人も仲良しですね。
『きゅう⋯』
『ん?何か聞こえたかしらぁ?ねぇ?サーヤ』にこにこ
「しゃ、しゃあ?」
結葉様、怖いです。
『うふふ。そうよねぇ?』
ごくごくごく
『ぷはー。あ~おいしい♪』
よ、良かったね。