第三十五話 男爵虜囚
--数日後、東南戦線本陣
東南戦線は危機的状況になっていた。
戦線を支えていた烈兵団が、革命政府から東北戦線への転進命令を受けて転進したため、戦力が大幅に低下した。
前線から伝令が悲惨な戦況を報告しに本陣へ来る。
「キャスパー中尉、もうダメです。前線を支えきれません」
キャスパー男爵は中尉として、東南戦線を戦っていた。
「お前ら、それでも帝国騎士か!? 何とかしろ!!」
「おらは百姓ですだ」
キャスパーの叱咤に兵士が答えた。
「クソッ!! クソッ!! クソッ!! なんて使えない奴等ばかりなんだ!!」
キャスパーはオカッパ頭を振り乱して、地団駄を踏んだ。
キャスパーの脳裏に酒場でアサシンギルドの女から言われた言葉がよぎる。
(「正々堂々と剣で勝負したら? 目標ターゲットも貴方も騎士なんでしょう??」)
(「軍人なんでしょ? 貴方も。努力するなり、武功を立てるなりして、相手を見返してやろうとか、思わないの?」)
(やってやる! やってやる! オレだって、やってやる!!)
キャスパーは意を決する。
「バジリスク小隊!! 前線に出るぞ!!」
「はぁ!?」
すっとんきょうな声を上げたのは、ハルフォード子爵であった。
ハルフォード子爵は、バジリスク小隊のメンバーであり、少尉として東南戦線に来ていた。
「本気ですか?」
ハルフォードの問いにキャスパーが答える。
「本気だ」
「死にますよ?」
「このまま敗走して、アイツに見下される訳にはいかない。覚悟の上だ」
キャスパーの命令で、渋々、バジリスク小隊は前線に向かった。
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前線に到着したバジリスク小隊は凄惨な戦況を目の当たりにした。
木槍を構えた兵士達は怖気づき、ジリジリと押されていた。
キャスパーは兵士達の戦いぶりに苛立つ。
「怖じ気付きおって! バジリスク小隊、前へ!! 突撃!!」
キャスパー達、バジリスク小隊は、前線に突撃する。
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「
バジリスク小隊の魔法使いが魔法を唱えた。火の玉が
しかし、ダメージは与えているものの、屈強な
キャスパーとハルフォードがダメージを負った
キャスパーは右腕に、ハルフォードは左の太腿に斬り付けた。
ポロリとラングも
ポロリは右肩を斬り付け、ラングは左脇腹を突き刺す。
バジリスク小隊は、やっと一体の
しかし、次の瞬間、ポロリとラングは吹き飛んでいった。
別の
「
バジリスク小隊の魔法使いが魔法を唱えた。
雷が
ハルフォードが雷撃を受けた
しかし、ハルフォードの斬撃は、
更に別の
「クソッ!!」
キャスパーは剣を構えて、周囲を見渡す。
味方は誰も居なかった。
周囲を六体の
その
「ごふぁあっ!?」
体の中の空気が押し出されるような嗚咽と共に、キャスパーはその場に倒れた。
キャスパーの意識が遠のき、地面の上に倒れ込む。
馬の頭をした
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キャスパーは気が付いた。
ところどころに松明がある薄暗い洞窟の中。
おそらく
キャスパーは全裸にされて、後ろ手に手枷を付けられており、馬の頭をした
「おい! 貴様!!」
キャスパーは、馬の頭をした
玄室には、木でできた粗末なテーブルがあった。
そして、キャスパーの首を鉄の金具でテーブルに固定した。
「貴様! 私をどうするつもりだ!?」
「フモッ! フモッ! フモーーッ!!」
「ま、まさか、私を食べるつもりか!?」
「フモッ! フモッ! フモーーッ!!」
キャスパーが話し掛けても、
「お、落ち着け。・・・わ、私は帝国貴族だ。革命軍か革命政府に連絡すると、身代金が貰えるぞ? お前たちがしばらくラクに暮らせるだけの金だ」
「フモーーッ!!」
「何なら私の実家に連絡しても良い。ヨーイチ男爵家だ」
「フモッ! フモッ!」
「待て!? 貴様!! 落ち着け!!」
次に
「ぐあっ!!」
「おい!? ま、まさか?? 貴様!! 何をする気だ!?」
脈打つ肉の塊がキャスパーの中にねじ込まれていく。
「ぐぁあああああ!! やめろぉおおおおお!!」
キャスパーは馬の頭をした