430 プリンは?
『おいしい。これがプリン』
淡々とした声とは裏腹に、ほわ~って、お顔を蕩けさせている月花ちゃん。ぷりん、おさすがです。
「ぷりん、おいち?」
あんまり幸せそうなお顔してるから聞いてみたら
『うん。おいしい』
言いながら、新しい味におかわりです。
「よかっちゃにぇ~」
『⋯⋯』こくこく。
頷きながらプリン食べてます。おしゃべりも放棄したみたいです。ほんとに全種類食べる気満々です。と、思ってたら
『サーヤ、食べないなら、私が食べてあげる』
「うにゅ!?」
にゅって、おててが伸びてきました!
サーヤのまで狙われてます!慌ててサーヤはプリンを抱え込んで、
「やーっ!こりぇは、さーやにょっ!」
ぱくぱく食べます!
『残念⋯』
スプーンくわえてこっち見てもダメだよ!サーヤのプリンだよ!ぱくぱくっ
『⋯小さい子からプリン取ろうとするとか』
『呆れ果てた食い意地ですね』
『わははは!元気になったってことじゃねえか?』
呆れて見てるだいちゃんとみーちゃん。もっと言ってあげてもいいよ。はーちゃんは、月花ちゃんを止めて?
『呆れた⋯ほんとに全種類食べる気なの?』ふぅ⋯
月花ちゃんの前には、普通のプリンに、濃厚たまごに、濃厚ミルク、チョコに抹茶に、はちみつ、み~んな並んでます。もちろんいくつかは既に空だけど~。
らんちゃんなんか、それを見て色っぽくため息ついてます。
『当たり前』
当たり前なの??
『もう。当たり前じゃないでしょうに』
『そんなに急に食べて、お腹壊しても知らないわよ?』
『大丈夫』
なるちゃんと氷花ちゃんの心配も、どこ吹く風って、感じです。
『太るわよ?』
『大丈夫。一番若いから』
ピキッ
『なぁんですってぇ?』
「あわわわ」
月花ちゃんっダメだよ!
『あらあらまあまあ。病み上がり?なんだから、いきなり沢山食べるのはどうかと思うのだけど』
『そうだな。飯だってあるしな。プリンはしまっておいても⋯』
『ダメ。食べる』ぱくぱく
『そうかよ⋯』
『あらあらまあまあ⋯』
おばあちゃんと、おいちゃんの言葉にもこんな感じです。
月花ちゃん、プリンものすごく気に入ったんだね。でも、サーヤのはあげないよ?ぱくぱくっ
『サーヤ、もう大丈夫だから』
『ゆっくり食べて』
「う?」
ほんと?
『おう。見ててやるから』
『安心して食べていいわよ』
「あ~い」
クゥとフゥ、そう言ったんだから、責任持って守ってね。ぱくっ
『でも、ほんとに美味しい』
『うん。晴嵐たちがいらないなら私が食べてあげる』
『『『ダメよ!』』』
牡丹ちゃんと、揚羽ちゃんの言葉に、きっちりダメと言うらんちゃんたちも、やっぱりプリンは大事らしいです。プリン、やっぱりおさすがです。ぱくっ
「おいち」にへ~
とろけます。みんなで頑張って濾したかいがありました。
『だいぶヨタヨタしてたけどねぇ』
なんですか?おばあちゃん。サーヤはまだ二歳だから仕方ないのです。
『そうね。がんばったわね』
そうでしょ?
『サーヤ~。プリンおいしいわねぇ』
「あい。むすびはしゃま、おいちいにぇ」
結葉様がふわぁって、プリンを持ったまま飛んできました。
『結葉様~?食べながら移動しちゃいけないんだよ~』
ぴゅいきゅい『『おぎょうぎわるいんだって』』
『『おいちゃんと』』
『『『おばあちゃんが』』』
きゅるるん『『『『『『『ゆってた~』』』』』』』
みゃ『わるいこにゃ』
『悪い子なのだ~』
ちびっこ達、容赦なく結葉様に注意してます。
『あらぁ。怒られちゃったわぁ。そうねぇ。ごめんなさい。じゃあ、どうしようかしらぁ?』
ん~と、辺りを見回す結葉様
『うん。こうしましょう。よいしょ』
『『うわっ?』』がくんっ
「う?」
『『わああああっ』』ズザーッ
「ふぅ~!くぅ~!」
隣でお世話してくれてたフゥとクゥのお椅子がいきなり後ろにズサッと下がりました!サーヤのプリン守ってくれるはずなのに!
『『なになになに!?』』
二人ともいきなりでびっくりしてます!
そしたら二人がいたところに、ぼこぼこって土が盛り上がってテーブルが!
更に椅子まで!そこに
『よいしょ。はい。これでちゃんと座ったわよぉ~』
しーん⋯
『あらぁ?みんなどうしたのぉ?』こてん
「ふええ?」
どうしたの?じゃないよね?
『『結葉様~あぁ』』
『いきなり何をするんですか!』
『びっくりするじゃないですか!』
フゥとクゥが怒ってます。当然です。
『え~?だってぇ。サーヤかぁ、ぽぽを抱っこして座ろうと思ったんだけどぉ』
「うにゅ?」
『オイラだか!?』
ぽぽちゃん巻き込まれてた!?
『そうよぉ。でも、ちびっこ達の椅子はドワーフさん達が作ってくれた特別仕様だから、私座れないじゃなぁい?だ・か・らぁ』
『おれたちの席を強制的に移動して』
『ご自分の席をお作りになったと?』
『そうよぉ』
うわぁ。フゥとクゥがジト目だぁ。
『安心してぇ?席は後で戻すわよぉ』
『『もちろんです』』
だよねぇ?ちゃんと直してね⋯ん?
そろぉ~
「ふあーっ!げっかちゃん、めっ!そりぇは、ふぅちょ、くぅにょ、ぷりん!」
『『え?あっ!』』
シュパッ
慌ててこっちのテーブルに置き去りにされてた自分のプリンを取り戻すフゥとクゥ。サーヤのプリン守るどころか、自分たちのプリンが危険!
『ちっ。バレたか』
『『ゆ、油断も隙もない⋯』』はあはあ
月花ちゃん、自分の分がたくさんあるのに
『あらぁ?これは、計算外ねぇ』
結葉様、無責任ですよ。
『そうそう。サーヤぁ、忘れてるでしょお?』
「うにゅ?」
何を?
『あそこで落ち込んでる子の、お・な・ま・え♪』
結葉様の指さす方を見ると
「ふぉっ!?」
しくしくしくしく⋯
『光のお姉様、大丈夫ですわ。サーヤちゃんは、ちゃんと考えて下さってますわ』
『そうにゃ!今はきっと、月花ちゃんが起きて安心しちゃったのにゃ!』
しくしくしくしく⋯
『そうですわ!それに今はサーヤちゃんたちの大好きなプリンのお時間ですし!』
『そうにゃよ!プリン美味しいにゃ!光の精霊王様も食べるにゃ!』
しくしくしくしく⋯
『ねぇ?』
「ふぁっ!」
そうでした!光の精霊王様!
『あ~忘れてたな』
おいちゃんも忘れてたみたい~
『ほらぁ、やっぱりぃ。ダメじゃないのぉ』
「あう~。ごめしゃい」
『すまん』
光の精霊王、プリン食べたらお名前つけるからね。ぱくっ
こそこそ
『なあ、もしかして結葉様、それを言うためだけにわざわざ?』
『やっぱりそう思う?なら、こんな大掛かりなことしなくても』
『一言いえば済んだような?』
『本当よねぇ?』
『フゥ?クゥ?何かしらぁ?うふふふ』
『『ヒェッ』』
『な、なんでも』
『ありませんっ』
『そう?うふふふ』
結葉様が何を考えているのか、謎です。一番 ふしぎせいぶつ だと思います。
『あらあらまあまあ。サーヤ、それ今更だと思うわよ?』
『そうだな。ここにいる全員、とっくにそう思ってると思うぞ』
「う?」
周りを見るとみんなが、うんうんってしてます。
「ありゃりゃ?」
そっかあ~
『うふふふふ♪』
おぉ、結葉様、笑顔が怖いです⋯
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