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1話 異世界召喚されて最初に快楽殺人鬼のお姉さんに遭遇してしまった・・。

午後18:30。俺は、東京駅で大量の人々に埋もれながら、改札を抜けた。

あぁ~~疲れたな。俺はいつも通りに電車に乗り込んだ。

せっかく高校生になったのに、やることは毎日少林寺拳法の練習ばっか・・。ろくに友達もできず、彼女も練習に邪魔だと言われ、親に作ることを禁止されている。まぁ・・考えたこともないが・・。そもそも女子に話しかけたことねぇ・・。

物心ついた時から少林寺拳法って、どうかしてるぜ俺の父さん。まぁ、そのおかげで高校1年生から全国優勝できたんだけど・・。

全国優勝したのに、ネットでは少林寺拳法を馬鹿にしている奴が多すぎる・・。空手の方が強い・・とか、総合格闘技の方が強い・・とか。少林寺拳法は護身用なの。護身用だからいいの。あんまり馬鹿にされるとモチベ下がるんだよなぁ・・。

練習の疲れで、帰宅中の電車の中、愚痴ばかり考えてしまう・・。

ガタン・・ゴトン・・

電車は進む・・。その振動が心地よくて、俺は眠ってしまった。まぁ、いつものことだから降りる駅に近づけば勝手に起きるだろ・・。

スーーー。スーーー。

いつも通りに眠る。だが、目が覚めると俺は驚愕した。

「あ、あれ?誰もいねえ・・。」

辺りを見渡すと、電車の中には俺一人しかいなかった。列車は停車していて、ドアも開いていた。

でも、ここは終電じゃない・・。外の景色が全然違う・・。

「えっ!?どこだよここ!!」

明らかに見たことのない場所だった。東京じゃなかった。田舎でもないけど都会ではない。何とも言えない風景の場所だった。木と土の壁でできた家が並んでいる家々。そして目の前には、西洋風の大きな城があった。

なんだこれ!まさか夢か?

気が付くと、外に出ていて、それも街の道の真ん中。

列車も線路も駅もどこかに消えていた・・。

そうか・・!!夢だ・・!!

俺は力いっぱい頬をつねった。しかし、ただ痛いだけだった。そして、俺は気づいた。

「こ、これって異世界召喚ってやつ・・?」

そこら中に歩いている者共、道、建物、すべてが俺がよくアニメで見る異世界と酷似していた。

「う、嘘だろ・・・。」

ピッ!!

「うわあああ!!!」

突然音がして、目の前に透明なパッドが現れた。そこには詳細が書かれていた。

レベル1 鶴来圭 能力 少林寺拳法

「お、おいなんだこれ・・?」

俺はその画面にチョンと触れた。すると、画面が変わり別の情報が見えた。

ミッション1 あなたは召喚されました。 召喚した召喚士を探してください。

何かゲームのミッションのような情報だった・・。

こういうことって、本当にあるもんなの?いいや、ありえない・・けどこうして現実に起こっている・・。

俺は再び画面に触れ、横にスライドさせてみた。

最終ミッション 魔族を滅ぼしてください。 報酬 なんでも叶えてあげます

「ほ、本当にゲームみたいなだな。で、でもいざ自分に来られると困るなぁ。帰りたいんだけど・・。」

俺は異世界召喚もののアニメを見たことがあるが、自分が異世界召喚をしたいと思ったことは一度もない。普通の世界でいいよ・・。

「くそっ!!なんで俺が!!」

おれは、ムカついてきた。とにかく、この最終ミッションまでクリアして、報酬で現実世界に帰ってやる・・!!

俺は決意を決めて歩き出した。

・・つーか。俺の能力の少林寺拳法ってなんだよ。この世界に通用すんのか?

街で歩いている奴らは、みんな人間と同じような姿だったが、黒髪は俺だけで、みんなピンクや水色など色とりどりの髪をしていた。

だから、黒髪の俺は不思議そうに見られていた。

話しかけてみようかな・・・?でも、言葉は通じるのか・・?

俺は、近くにいた少年に話しかけて見た。

「ねぇ、君。こんにちは。」

少年は銀色の髪をしていて、痩せていてタンクトップを着ていた。

「ん?どうしたのお兄さん。」

通じる・・!!言葉は通じる・・。よしっ

「ごめん、俺この町初めてでさ、市役所的なところある?」

「あぁ~~、役所ね。それなら、あっちの方にあるよ。」

「ありがとう。助かったよ。」

俺は、銀髪の少年にお礼を言って教えてもらった方へ歩いて行った。

「あ、待って!!」

少年がいきなり呼び止めてきた。

「ん?どうした?」

「あっちに赤い線が引いてあるだろ・・?」

俺は遠くを見ると、市役所のある所の付近に赤い線が引かれていた。

「あの線から奥は治安が悪いから、一人じゃ危ないよ・・。だから、市役所に行くには衛兵を連れて行くんだ。ほら、あっちにいるだろ。」

確かに、赤い線の引いてある横に、衛兵が立っている。

「おお、サンキュー教えてくれてありがとな。」

俺は歩き出した。治安が悪いの・・?やだな異世界。早く帰りてぇ・・。

俺は衛兵のとこまでたどり着いた。

「すいません。」

「なんだ?」

「実は、俺この街に来たばっかりで・・・。いろいろ聞きたいことがあるんですけど・・・。」

「ふむ・・・。どこから来たのだ?」

「えっと・・・東京です・・・。」

すると、衛兵の人は険しい顔になった。

「は?トウキョウ?どこの国だ・・?どうやって来たのだ・・?」

うーわ。ミスった。説明するのが面倒だ。

「あ、俺なんかの記憶障害なんです。とにかく、ここら辺で有名な召喚士の方いませんか?」

俺は適当に誤魔化し、ミッション1の俺を召喚した召喚士を衛兵に尋ねることにした。

「召喚士だと・・?召喚士はお城の中にしかいねえよ。すっげえ偉いんだ。お前に何の用があるのだ?」

見下したような目で衛兵は俺を見てくる。

「えっと。とにかく召喚士の人に会いたいんです。どうにかできませんか?」

すると、衛兵は頭を搔いた。

「わあったよ。まぁ、とりあえず市役所に申し出て、城に入れてもらうしかねえな。ついてきな。」

衛兵の男は俺を連れて、赤い線の内側に入って行った。ここから先は治安が悪いと言っていたが・・。大丈夫か・・・。

赤い線の内側の街は妙に静かだった。俺が不安そうな顔をしていると、衛兵の人が話しかけてきた。

「最近ですね、ここら辺で連続殺人鬼が現れるんですよ。」

「え!?」

俺は驚いてしまった。異世界に来て、すぐに殺人事件とか怖すぎるだろ・・・。

「犯人の特徴は女らしいですよ。お兄さんは可愛い顔してるから気をつけてくださいね。」

「ぐっ・・怖・・。」

確かに俺は昔から可愛い顔をしていると言われてきたが、もう高一だぞ。かっこよく思われてえよ。でも、殺人犯は怖い。

「どんな人が狙われるんですか?」

「う~ん。誰でも殺すからな、その殺人鬼は。ここら辺じゃジョーカーって言われてる。」

そんなのがいるのか・・・。本当に異世界だな・・・。

「あ、着いたぜ。」

市役所についたようだ。中に入ると、俺の身長の三倍はあるであろう巨大な男が座っていた。

「市長!!この子が召喚士に会いたいそうです。」

「あぁ?お前さん。黒髪かぁ・・。珍しいな。」

市長は俺の頭をくしゃくしゃにしてきた。

「ちょ、ちょっと・・・。あ、あの。召喚士に合わせていただけませんか?」

すると、市長は腕を組んで考え出した。

「そうだな・・・。特別な理由がなけりゃ合わせられんな。」

そう言ってきたので、俺は空中にパッドを出し、ミッション1の画面を見せた。

「ここに、ミッション1 召喚士を探してください。って書いてあるんですよ。」

市長と衛兵はそのパッドを見て驚いていた。

「なんじゃ?このパッドは。!!」

「あ、これはもともと持っていました。」

「ほー珍しいのぉ。まぁ、ちょっと裏で確認してくるから待っておれ。おい、衛兵殿ちょっと来なさい。」

市長は衛兵を呼び、裏の部屋に貼って行った。ロビーには俺一人になってしまった。

何やら奥で、市長と衛兵の話し声が少し聞こえる。

正直不安でしかない・・。実際自分が異世界に飛ばされたら何していいか分かんねえ・・。

ガチャッ・・。市役所の扉が開いた。また誰か来たみたいだ。

そこには、20代後半くらいの紫色の髪のお姉さんがいた。なんだかセクシーで見とれてしまった。

あれ・・?衛兵は連れてないのか・・?

そのお姉さんは俺に近づいてきた。

「あら、こんにちわ。ここらじゃ見ない顔ね。」

そういって微笑んでいた。俺は女性経験が皆無だから、顔が熱くなった。

「衛兵は連れていないんですか・・・?ここら辺じゃ治安が悪いって聞いたので・・。」

すると、お姉さんは「フフフ。」と笑い出した。なにかおかしかったのだろうか・・。

その時、「おーすまんすまん」そう言って、市長と衛兵が戻ってきた。

「あ!!!」

衛兵がこっちを見て驚いていた。

「おい君!!その女から離れろ!!」

・・・へ・・?

「え・・・?」

俺が困惑していると、目の前の女の人はクスっと笑った。

「貴方、騙されたのよ。可哀想に。」

そう言うと、俺の腕を掴み、引っ張ってきた。俺は反射的に危機感を感じ、少林寺拳法の護身術が出た。

「ぐっ・・・!」

俺は手刀で彼女の首元を狙ったのだが、彼女はそれを手で受け止めていたのだ。

「え・・・!?」

俺は驚いてしまった。なんせ自分の手が痛かったからだ。

彼女を見るとニヤリと笑ってこちらを見つめている。ナイフを持っていた。

自分の手刀を放った手を見ると、出血していた。切られたのか・・!!

だが、手が切られたくらいなんともない・・!!初めて切られたから痛いけど・・。

俺はすぐにバックステップで後ろに下がった。

女の人は必死な俺を見て、笑みを浮かべていた。

「あら?武術の心得があるのね。」

衛兵の人が叫ぶ。

「お兄さん!!そいつがここらへんの連続殺人鬼、ジョーカーです!!」

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