286章 洗濯機
「ハルキさん、要件があったんじゃないの?」
ハルキは何かを思い出したかのように、手をポンと叩いていた。
「服を洗いたいと思っているけど、どうすればよろしいでしょうか?」
ハルキの服は汚れているので、きれいにしたほうがいい。汚れのない服を着ることで、心にプラスの影響を与える。
「ここにある、洗濯機を使ってよ」
「洗濯機は何ですか?」
洗濯機を知らない女性に、簡単な説明をする。ハルキは興味深いのか、何度もうなずいていた。
「なるほど、とっても便利ですね」
「服を洗濯して、乾燥するまで、15分くらいはかかるよ」
服の洗濯に10分、乾燥に5分かかる。合計すると、15分くらいになる。
15分で乾燥まで終えられるのは、高機能の機械を使用しているから。通常の道具であったなら、2~3時間くらいはかかると思われる。
時間短縮のために、魔法で乾燥したことがある。魔法の威力を調節できずに、服がボロボロになった。お気に入りの服を失ってからは、魔法で乾燥させることはなくなった。
「15分で終わるのは、とっても早いですね。家は手洗いなので、洗うだけで2時間くらいかかっていました。乾燥に3~10時間くらいかかったので、着られるようになるまで、5~12時間くらいはかかりました」
服を手洗いするという話を聞いて、江戸時代にタイムスリップしたように感じられた。文明は日本よりも発達しているのに、人間の思考回路は200年前さながらだった。
「洗濯機以外についても、知らないものがたくさんあります。アカネさんに、教えていただきたいです」
「わかった。時間のあるときに説明するね」
「ありがとうございます」
ハルキはお礼をしたのち、服を脱ごうとしていた。アカネはその姿を見て、浴室からいなくなることにした。