283章 カスミの考え方
カスミは白いタオルで、髪の毛の水気を丁寧に切っていた。
「家庭の風呂は初めてなので、新鮮に感じました」
家にお風呂はないため、家庭のお風呂に入る機会はなかった。どのような生活であるのか、見当もつかなかった。
「家庭の風呂はどうだった?」
「とってもいいですけど、大衆浴場のほうが好きですね。みんなで入浴していると、大家族で入っているように感じます」
大衆浴場に慣れてしまったことで、家庭の風呂は物足りなく感じているのかな。家庭は一人を対象としているため、スペースは狭くなっている。
「家庭用のお風呂だと、子供たちと入るのは難しいです。私は家族と入るお風呂が、とっても大好きです」
子供の心を心から愛している。とっても素敵な、おかあさんだと思った。
「一緒にお風呂に入ると、子供たちの成長を感じることができます。一人の母親として、とっても嬉しくなります」
子供を育てたことがないので、イメージがはっきりと浮かんでこなかった。
アカネは柔らかい声で、ハルキにお風呂を進めた。
「ハルキさんもどうぞ」
「アカネさん、ありがとうございます」
ハルキが服を脱ごうとしたので、待ったをかける。
「お風呂場にある更衣室で、服を脱げばいいよ」
「すみません・・・・・・」
ハルキは恥ずかしいのか、顔が赤く染まっていた。
「アカネさん、お風呂に入ってきます」
ハルキは浴室に向かっていった。