273章 仕事終了
テオス、ソラがこちらに戻ってきた。
テオスはばっちりと休養をとったのか、元気そうである。仕事をするにあたって、支障はない
と思われる。
「テオス様、最後の仕事をしましょう」
テオスは不安が強いのか、声は非常に弱々しいものだった。
「わかりました」
ソラは弱気になっている、テオスの手を握った。
「アカネさん、水をきれいにしてください」
アカネは洗浄魔法で、水をきれいにした。
「テオス様、分析してください」
アカネが分析魔法をかけると、テオスは成分とにらめっこする。
「水は問題ありません」
300カ所の水をきれいにしたからか、達成感で包まれていた。
ソラからねぎらいの言葉をかけられる。
「アカネさん、おつかれさまです。今回の仕事は終了です」
水がきれいになることによって、住民の生活にプラスになるといいな。アカネはそのように思った。
テオスは小さな声で、
「私は今日を持って、トップから退きます。後継者のソラに、これからの未来を託します。街でトップクラスの能力があるので、アカネさんのお役に立てると思います」
といった。トップから退くことに対して、未練があるのかもしれない。
「ソラさん、よろしくお願いします」
「私は若いので。経験値が圧倒的に不足しています。アカネさんに、たくさんの迷惑をかけることになると思います」
「ソラさんはいくつですか?」
テオスの住民の見た目は、ほとんど同じである。年齢を確認しなければ、何歳なのかを識別するのは難しい。
「私は18歳です」
テオスとは29982歳も離れている。人間界では絶対にありえない、年齢差であるといえる。
「後継者の話を最初に聞いたときは、大きな衝撃を受けました。18歳ということもあって、選ばれるとは思っていませんでした」
ソラを抜擢するのは、小学生を名誉会長にするようなもの。現実的であるとはいいがたい。
「ソラと一緒に仕事をして、才能、性格に惚れました。私の後継者にしたいと、強く思うようになりました」
仕事をするにあたって、能力だけでなく、性格も重要な要素になる。正確に難があると、チームワークに支障をきたす。
「ソラ、アカネさんからいろいろと学んでくださいね」
「はい。わかりました」
ソラは異変を感じ取ったのか、テオスの肩を持った。
「テオス様、しっかりと休みましょう」
「わかりました。ゆっくりとします」
テオスは瞬間移動の魔法で、自分の世界に戻っていった。