268章 優秀な部下
水の浄化作業がスタートする。
ソラは上司の体調を気にかける。絶対に命を守り抜くという、決意を感じた。
「テオス様、お体はどうですか?」
「ばっちりと睡眠を取ったから、今日は行けそうです」
テオスは13時間くらいの睡眠を取っていた。体を休めたことによって、万全の状態に回復している。
「テオスさん、何をすればいいですか?
「アカネさん、水の塩分を抜いてください」
「わかりました。塩分を抜きます」
アカネは塩分を抜く魔法をかける。テオス、ソラは仕事の様子を見つめていた。
「テオスさん、ソラさん、終わりました」
ソラはあまりに早すぎる仕事に、驚きを隠すことはできなかった。
「もう終わったんですか?」
「はい。水の塩分を抜きました」
「何もしていないように見えましたけど・・・・・・」
塩分を抜いたことを立証するために、水の成分を見せることにした。下手に説明をするよりも、時間短縮につながる。
「水の成分はこちらです。ソラさん、確かめてください」
「わかりました」
ソラは水の分析を、3秒で終えた。テオスは10秒だったので、三分の一くらいで終了させたことになる。
「塩分濃度、その他の要素も問題ありません。生活水として、十分に活用できますね」
「水の状態を維持するための魔法をかけます」
維持魔法を使用することによって、水の状態の変化を防ぐ。
次の場所に移動しようとしていると、ソラから声をかけられた。
「アカネさん、水を移動させることはできますか?」
「はい、できますよ」
「きれいになった水を、各家庭に届けられるようにしてほしいです。最近は水不足が顕著で、生活に支障をきたしています」
「わかりました。どのようにすればいいですか?」
「街に水の貯蓄庫があります。貯蓄庫が満タンになるようにしてほしいです」
「どれくらいの水が必要ですか?」
「1億キロリットルですね」
あまりにも多すぎて、どれくらいなのか見当もつかなかった。
「わかりました。水を移動させます」
アカネが水を移動させようとすると、ソラからストップをかけられた。
「すべての水を移動させると、魚などが死んでしまいます。全体量の10分の1くらいにしてください」
「はい。そのとおりにします」
アカネは10分の1の水を、貯蓄庫に移動させる。
「ソラさん、終わりました」
「ありがとうございます。貯蓄庫の様子を確認してきます」
ソラは瞬間移動の魔法で、目の前からいなくなった。貯蓄庫に行っているものと思われる。