『ジェーン・ドウの解剖』 死体は動かない【80点】
【あらすじ】
遺体安置所を舞台に身元不明女性遺体の検死から、さまざまな怪現象が巻き起こる恐怖を、リアルな解剖シーンの描写を交えて描いたホラー作品。
バージニア州の田舎町で息子のオースティンとともに遺体安置所と火葬場を経営するベテラン検死官トミー。ある夜、保安官から入った緊急の検死依頼は、一家3人が惨殺された家屋の地下から裸で発見された身元不明女性、通称「ジェーン・ドウ」の検死だった。
解剖を進めていく中で、遺体に隠されたある事実が判明し、閉ざされた遺体安置所にさまざまな怪奇現象が発生する。
監督は「トロールハンター」を手がけたノルウェー人監督アンドレ・ウーブレダル。
【因幡さんの映画語り】
死体の解剖から始まるミステリーとオカルトを混ぜ合わせたもの。
最初は身元不明の死体を司法解剖する論理的展開がされる。
後半はオカルトによる恐怖の連続。
どうしてもオカルトものとなると、リアルが薄まるのだが、今作はちゃちな作り方をしていないので見応えがある。
ジェーン・ドウとは「身元不明の女性」という意味で、名前ではない。
ちなみに「身元不明の男性」のことは、ジョン・ドウという。
一家3人が惨殺された事件が発生。
地下では、裸にされた身元不明の女性(ジェーン・ドウ)が土に埋められていた。
検死官であるトミーは、息子とその死体を検死することになった。
まず両手両足の骨が砕かれている。
舌が何かでちぎられている。
膣の中は傷だらけ。
中身を開けてみると、肺は黒く焦げ、内臓は何かで切られている。
明らかに壮絶な拷問をされたあとがあったものの、2人が不可解に思った理由。
死体の外観はとてつもなくきれいで、傷一つないのだ。
これらの医学的矛盾の謎を親子は解いていく。
彼女はなぜ『死んだ』のか・・・。
舞台は解剖室のみで起こるので、どうしてもできごとが小さく思えてしまう。
だが、解剖の描写はリアルだし、そのあとにくるオカルトはさらなる恐怖を底上げしてくる。
ご飯を食べながら観るときは要注意だ。(死体のグロさがこれでもかとくる)
オチは絶望感しかないものの、久しぶりに見応えのあるホラーだった。
死人に、ハッピーエンドを期待してはいけない。