05. 雨
雨の音は嫌いじゃない。
滴る雫の音。
跳ねる水の音。
ヒタヒタとパシャパシャと
何処か物寂しげな音に耳をかしげる。
一人っきりの部屋で
真っ暗な空間で
いつも泣きたい私がいる。
いつも泣けない私がいる。
下からはまた、お母さんの怒鳴り声。
怖くて悲しかったのは私だろうか?
泣きたくて泣けなかったのは?
お父さんはいつも何も言わない。
ただ黙って嵐が過ぎるのを待ってるのだ。
雨が泣いてる気がする。
誰の涙だろう?
雨の音が続くこの時。
私はやっと泣けるのだ。