04. 遊園地
閉じてしまった門の外。
いつも眺めては、ため息ついた。
観覧車が遠く微かに見える。
楽園のような憧れがそこにある。
学校の遠足で行った遊園地。
息苦しくて歩きたくなくなった。
人に合わせて楽しむ事が苦痛だった。
ジェットコースターの上で黄色い声を上げる友人に
私は下で手を振った。
あんな声は私には出せないだろうと静かに思った。
家族と行ったそれはとても楽しいものだった。
でも、ふと振り返ると母が悲しげに微笑んでいた。
「どうしたの?一緒に行こうよ」
と聞いた私に母は
「だって、荷物見てなきゃね」
父を見て言った事に私は気づかなかった。
私たちと一緒にはしゃぐ父。
ひっそりとそれを見守る母。
楽しかったのは私たちだけ。
母は不満だったのだ。
今も眺める遊園地の跡。
楽しいと思っていたそれはつまらないほど平凡で。
楽園でない事を知ってしまったから。