274 いい匂いの正体は?
カイロに驚く精霊さんたち。そ、そんなに?
『ま、まあ、カイロのことはまたその内な』
『『『『『ええ~』』』』』
と、精霊さんたちの不満の声が聞こえますが、さっきから美味しそうな匂いがしてるのです!
『あとで絶対教えてね』
『絶対だぞ』
風の精霊さんと、火の精霊さんがおいちゃんに念を押します。よっぽど知りたいんだね。
やっぱり『自然の原理』って言っちゃったからかな?おいちゃんもついに勢いに押されて
『わ、分かったよ』
と、言っちゃったので、精霊さんたちも落ち着いてくれたみたいです。おいちゃんの顔はヒクヒクしてるけど。
『さてと、それじゃみんな席に着いたか?』
改めて、おいちゃんが仕切り直してます。
「あ~い」
大丈夫だよぉ~こたつにすっぽり潜ってる人もいるけど~
『それじゃ、みんな色々大変だったから腹減っただろ?飯とデザート用意したけど、どうする?みんな食えるか?』
ニヤッと笑うおいちゃん。
「ちゃべる~!」はいっ!
当たり前だよ!
『ぼくも~』
ぴゅいきゅい『『たべる~』』
みんなハイハイ!って、手を挙げます。ハクたちはコタツからちょっとだけ手を出して挙げてます。
〖食べるに決まってるじゃない!焦らさないの!〗
ジーニ様まで参戦です。
うんうん。そうだよね!当たり前だよね!
『そうかそうか!でもな、食材がまだ限られてるから、ちょっと食べ合わせが微妙なんだよなぁ。口に合わない奴がいたら申し訳ないんだが』
おいちゃんが申し訳なさそうに言うけど、たぶん大丈夫だと思うけどな~
〖師匠、そもそもこの世界の者は「食べ合わせ」などというもの知りませんよ。料理すら発展しないのですから〗
ほらね?エル様の言う通りだと思うよ?
『そうか?んじゃ、持ってくるから、みかんでも食って待っててくれ。コタツと言えばみかんだよな。サーヤたち、ちびっ子は半分こずつな。メインとデザート食えないの嫌だろ?』
すでに伸ばしていた手をみんな一斉に、ピュッと、引っ込めます。
「あ~い」
『サーヤは四分の一でもいいぞ?』
おいちゃんが笑って言います。
ふおっ?
「あい!」ピッ!
ビシッと敬礼です。だってサーヤ知ってる。おいちゃんがこういう言い方するとき、すっごいたくさんか、すっごいお腹にたまる物が!しかも、サーヤの好きなのが来る時!じゅるり。
なので、みかんは半分この半分こにします!
『サーヤ~』
コソッとハクが聞いてきます。
「あい?」
つられてサーヤもコソコソです。
ぴゅいきゅい『『おいちいの、たくしゃん』』
『『くるんでしょ?』』
『サーヤのおくち』
『すっごい』
『キラキラ~』
流石です!みんなよく分かってます。
きゅるるん『『『と、いうことは?』』』
きゅるるん『『『『おみかんは、すこしにしたほうが?』』』』
「あい!」
その通りだよ!
『じゃあ、みんなで分けて食べよう』
『そうだな。みかんは森になってるやつだもんな』
そうなんだけどね
「|なじぇか《なぜか》、|こたちゅに《コタツに》、みかんは、|しゃいこう《最高》」
難しいとこだね。でも、がまんです。
『それじゃ一口ずつ、堪能しよう』
『そうね。私たちが分けてあげるわ』
フゥとクゥが真剣に皮を…ああ!それは皮剥きすぎです。
「ふぅ、ちりょいとこ、たべりゅ」
『え?だってここ美味しくな…い……まさか?』
こくり。そうです。美容と健康のためには食べた方が良いのです。
『みんな、大事に食べるわよ』
『お、おう。皮は捨て…ずに、ゲンさんに渡すか』
こくり。そうしてください。漢方薬にも、入浴剤にも、お掃除にも使えるのです。
みゃ~『なんでこんなやりとりにゃ?』
いろいろあるんですよ。
みゃ『わ、わかったにゃ』
分かってくれてありがとう。
そして、フゥとクゥが分けてくれた、みかんをじっくり味わって食べます。
「やっぱり、こたちゅには、みかん」
『なんでだろね~』
ぴゅいきゅい『『ほんとに』』
『『しっくりくる~』』
『『『おちつくね~』』』
『ほんとよね』
『なんでだろな?』
不思議だよね~?みんなでそんなことを言ってると
カチャカチャカチャカチャ
来た~!
山桜桃お姉ちゃんと、春陽お兄ちゃんは、またお手伝いです。
『うわぁ~いい匂い~』
ぴゅいきゅい『『おなかがすくにおい~』』
『『初めての匂いだよ~』』
『サーヤ』
『なんのにおいか』
『わかる~?』
こ、この匂いは
「おだちにょ、かおり」
優しい匂いがするよ~
『おお!さすがサーヤだな。分かるか?鰹節としょっつるが手に入ったし、本当はもっと野菜が欲しいが、とりあえず、キノコとほうれん草あるし、卵あるし、なんたって小麦が手に入ったからな』ニカッ
小麦…お出汁……もしかして
『うわぁ~サーヤのかお~』
『サーヤ、こっち向いて』
『口拭こうな』
ハクとフゥとクゥもそれどころじゃないですよ。じゅるり
ぴゅいきゅい『『うわぁすごい~』』
おいちゃん、それは
『海老天ぬきの、鍋焼きうどんだ!卵だけならまだあるぞ!』
がーん!海老天は無いのか!そりゃそうだよね。次に期待!でも、それでも!
「うきゃ~!おいちゃんにょ、てうちうぢょん~!!!」
おいちゃんのうどんは絶品なんだよ!
しかも鍋焼き~!
「はやきゅ!はやきゅ!」
のびちゃう~!
『慌てるな。一人用鍋がまだないから大きい鍋から取り分けてな。ただ熱いから火傷すんなよ』
おいちゃんがみんなに注意します。お鍋、ぐつぐつ。
「ふーふー」
『そうだな。フーフーして食べような』
「あ~い!」
気をつけないとね!お口の中火傷したら、皮がペロンってなっちゃいます。
『ちびっ子の所は俺が行くまで待てよ。危ないからな!』
「あ~い」
まだしばらく、お預けみたいです。ぐすんっ
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