k-25
14:30
「さて、何をするかな」
腕時計をチラリと見た俺は、そうつぶやいた。
寝床は土の床にダンボールを敷いて寝ているような状態である。せめて寝床には、木の板を敷き詰めることにしよう。木材は、先ほどサラサが持ってきたものがある。
ノコギリで木材を丁度良い大きさに切り分け、カンナで整形する。お父さんの日曜大工レベルではあるが。
何とか、木の板を小屋の中の生活スペースに敷き詰める。鶏との間に仕切りを作り、最後に箒で掃いて掃除をした。
◇◇◇
17:00
この手の大工仕事は、凝り出すとキリがない。
やり切った感があるので、晩酌でもしたいなあと、いつもの俺が顔を出し始める。
が、「いや待て」ともう一人の俺の理性が、「まだまだ安全なわけじゃない」と反論してくる。
理性が勝ち、鍛冶仕事をすることに決めた。
俺は、採取してきたフェムト石と火炎石を金槌で叩き粉々にする。その粉を混ぜて、火炎研磨剤を作成した。
試すのは、鍛冶Lv2になった今、銑鉄製のショートソードに火属性の付与ができるかどうかである。
火炎研磨材で銑鉄製のショートソードを研ぐこと20分。刀身が薄く赤く発光した。
俺は、ショートソードを鑑定してみる。
【ファイアソード:銑鉄製の中品位の金属製の剣。火属性が付与されている】
――カラン、カラン。
次の瞬間、室内に設置された鳴子が音を立てる。緊張が走る。
武器を手に、扉を少し開け、外を伺う。ブルーウルフがチラリと見えた。敵もこちらの様子を伺っているようだ。
装備を整えた俺は、可能な限り気配を消し、外に出る。
体長2メートルほどの個体が3体。うち1体は、落とし穴に嵌っている。そこにすかさず、毒矢を打ち込み仕留める。
後2体。
距離をとりながら、弓を打つ。1体に矢がかすったが、即死とまではいかなかった。
俺は、小屋の壁を背に、盾と剣を構える。
ブルーウルフは俺を挟むように、同時に飛び掛ってきた。俺は身を屈め、1体は盾で防ぎ、もう1体はファイアソードを胴体に突き刺した。
転げまわるブルーウルフ。
盾で防いだ1体は、落とし穴に押し戻した。落とし穴にはまった1体の頭に、剣を突き刺し仕留める。
次に、転げまわっていた個体と対峙する。
グルルルルル
唸るブルーウルフ。剣で突き刺した胴体から、血が垂れている。
動きの鈍ったブルーウルフに、慎重に狙いを定め、俺は毒矢を打ち込み仕留めた。
――俺は、ブルーウルフ3体に勝利した。
『個体名:奥田圭吾はLv6からLv7になりました。体力13→16、魔力6→8、気力9→10、力14→16、知能71→71、器用さ16→17、素早さ15→16』
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狼モンスター3体が襲ってくるという大ピンチでした。
自分がこんな状況で剣と落とし穴で戦えと言われたら、うん無理って言うと思います。むしろ落とし穴の中に隠れて、頭の上に藁敷き詰めるかも。
小屋の中に引きこもって籠城戦がリアル? と今ふと思ったので、漫画版や書籍版とは違った流れになりますが、籠城戦からの勝利みたいな流れで書き直すかもしれません!