第2話 クラス転移キター!
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「うっ……眩しい……」
暫《しばら》くの間、眩くて目を開けられない状態が続いた。やがて少し時間が経ち、段々と瞼《まぶた》の赤い色と光が見えなくなって来たので、目を恐る恐る開いてみた。
「う、ここは……もしかして、異世界?」
開けた視野に写ったのは、まるで中世ヨーロッパのお城のような雰囲気の室内だった。
天井は高く、床には深紅の絨毯が敷き詰められている。そんな空間に、俺は立っていた。
「ここは……どこなんだ?」
「皆大丈夫?何が起こったの?」
「これって異世界転生パターン?キター!」
周りを見渡してみると、さっきまでクラスにいた生徒全員もその空間に居た。
皆、結構動揺している感じだったけど、一部の男子等は「転生、よっしゃぁ!」と逆に喜んでいる感じだった。
「みんな、落ち着いて!」と女性の高い声が聞こえる。岸田先生も異世界に転生してきているようだ。
各々は立ち止まって、不安げに会話をし始めている。その時だった。
「ああ、異世界の勇者様方!お待ちしておりました!」
声を聞いて俺たちは一斉に振り返った。如何にもお姫様っぽい、甘ったるい声だった。その後ろに、兵士や重臣とみられる人達が並列している。
「異世界……どういうことですか?」
「そうよ!冗談でしょ!」
「やっぱり異世界……まじか!」
「異世界転生、キター!この時を待っていた!テンプレ展開や!!」
次々にお姫様に向かって説明を求めていたが、クラスの影山を筆頭とするオタクグループは、とてつもなく興奮している様だった。
「突然の御無礼をお許し下さい。私はフィレーネ。我がアルダート王国の、第一王女でございます。」
「第一王女?アルダート王国?ここは本当に異世界なのか?それに勇者……?」
陽キャ軍団の頭《かしら》である新田が、冷静そうに尋ねた。
「そうです。今回あなた方を召喚した理由は、この世界を侵略する魔王軍を倒して欲しいからです。どうか、御力をお貸しください。」
「ちょっと待って?意味わからないんだけど?」
如月含む陽キャ女子は、不機嫌そうな感じだ。その他のクラスメイトも、動揺していたり、まだ転生したことが信じられなかったり、密かに高揚している様子だった。
「これって、ドッキリか何かじゃないの?なら、ここが異世界だって言う理由を見せてよ!」
「分かりました。魔王軍と戦ってもらう勇者様方には一人1つずつ、戦う為のスキルの加護が付きます。頭の中で、何かを思い出すように集中して考えてみてください。」
俺は昂りを抑えながら、うーんと唸りながら念じてみた。すると、身体中に未知のエネルギーが循環している様な感覚に襲われる。
「ええっと、俺のスキルは……」