k-12
次の朝、いつものようにパンと卵の朝食を食べ、鶏を軽く散歩させたり世話をしてから、素材の採集に出ることにした。
ちなみに鶏のエサにハーブばかりではもったいないので、レスタの町で買ったパン屑を混ぜて与えることにしていた。
装備は、皮の鎧に腕装着型のスモールシールド、ショートソード、弓。
しばらく、植物を鑑定しながら薬草類を中心に採集していると、近くに不穏な気配を感じた。
――そこには、緑色のモンスター、【ゴブリン】がいた。
幸いゴブリンは、こちらに気づいていないようだった。ゴブリンはダガーを装備している。
スライムと違って多少の知性を感じルため、より一層恐ろしく感じる。
しかしいつまでも逃げてはいられないと腹をくくる。
相手が複数なら逃げるしかないが、一体である。俺は弓を構え、体の中心に狙いを定める。
ビシュ!
矢がゴブリンの肩にヒットした。
「ゲギャッ!」
ゴブリンは落としたダガーを拾いつつ、こちらに赤くテラテラと光る目を向けた。
俺は一瞬怖気ずく。しかし、意を決して盾を構えつつゴブリンに剣先を向ける。
「ギギャー! 」
ゴブリンが耳障りに奇声を発しながら、ダガーを構えて一直線に向かってきた。
俺は、ゴブリンのダガーの突きをスモールシールドで防ぐ。そしてカウンターで、袈裟切りを繰り出した。
袈裟切りはゴブリンにヒット。しかし浅い。
ゴブリンは緑色の血を流しながら、それでもダガーを構え、一直線に進んでくる。
……よく観察しろ。
俺は呼吸を整え、ゴブリンを冷静な頭で観察する。単調な同じ攻撃パターンだ。ならば。
俺は今度も盾でゴブリンの一撃を防ぎ、カウンターでバッシュを叩き込んだ。
バッシュはゴブリンの頭に命中。
俺はゴブリンの討伐に初めて成功したのだった。
『個体名:奥田圭吾はLv3からLv4になりました。体力8→10、魔力3→4、気力5→6、力9→11、知能69→69、器用さ11→13、素早さ10→12』
やはり、ゴブリン一体だけでもスライムとは経験値が違うようだ。
単調な攻撃だったとは言え、スモールシールドがないと、かなり危険な攻撃だったと思う。
今倒せたのは、相当な幸運が重なったからだ。念のためゴブリンを鑑定しておこう。
【グリーンゴブリン:ランカスタ地方全域に生息する亜人の魔物】
ゴブリンからは、耳と魔核と鞘付ダガーだけを収集する。耳は討伐の証になる。
実際、そうやって報告しているパーティを、昨日確認していた。
耳はそのままだと嫌なので、適当な葉に包むことにした。
その後、ゴブリンと出くわすことはなかった。スライムを討伐しつつ、採集を終えて小屋に戻った。
今回採集したものの中にブドウに似た木の実があったので、食べてみることにする。
当然、ムレーヌ解毒草を煮込んで作った【ムレーヌ解毒ポーション:解毒効果、即効性は葉よりも上。解毒効果(小)】の入ったペットボトルは左手に持っている。
木の実に毒があった場合は即座に飲まないとやばいからな。
食べると、少し甘酸っぱい味がした。
もっとも、ブドウの味はしない。不思議な味だった。体の不調はなく、むしろ体調が良くなった気がする。
木の実を鑑定した結果。
【デルーンの実:体力、魔力、気力回復効果(微小)】
これはポーション作りに使えるかもしれない。今度色々試してみよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
初めての人型モンスターとの戦闘、勝利でした。日本で格闘技なんかしたことなかったのに、頑張ったケイゴでした。
新しいアイテムも手に入れて、次はどんなものを作るでしょうか?