172章 レベル999
ひとりでくつろいでいると、部屋の中が薄暗くなった。
「こんにちは・・・・・・」
アカネの二つの瞳に、懐かしい顔が映っていた。
「メイホウさんですか?」
「はい、そのとおりです」
「メイホウさん、どうかしたんですか」
メイホウは転生させた張本人である。
「レベル95では厳しいようなので、999に変更させていただきます」
「レベルの上限は100だったような・・・・・・・」
「これまでは100が最高でしたけど、これからは999を上限とします」
アカネには大きな疑問点があった。
「レベルは上がらないと聞いていたけど・・・・・・」
「今回は上げているのではなく、レベルを変えているだけです。ルール上は何ら問題ありません」
限りなく黒に近い、グレーといえるのではなかろうか。アカネはそう思ったものの、口にすることはしなかった。
「レベル999はどれくらいの強さなの?」
「魔物界のボスを、指一本で倒せるくらいの強さですね」
そんなことができるのであれば、先にやってほしかった。レベル95で戦ったために、大きな苦戦を強いられることとなった。
「レベルがアップすれば、素早さも格段にアップします。魔物界の敵の動きなら、カメが動いているように見えるでしょう」
人間を卓越したスピードが、亀に見えるようになる。レベルアップしているのが、はっきりと伝わってくる。
「レベルを上げることによって、回復魔法の持続性も格段に高まります。回復魔法の恩恵を受け
た人は、一年くらいは病気を防げます」
一度の治療によって、一年間の病気を防げる。奇跡的な能力を有している。
「寿命については、変えることはできません。命を救うことは無理ですね」
寿命を変えられたら、200年、300年も生きられることになる。それはやってはいけないような気がする。
「他の能力については、現状維持となります。不老不死、こうげきむこう、どくぶつむこうなどはひきつぎます」
「超能力を付与したのは、どうしてですか?」
「超能力については気まぐれですね。こういう人がいてもいいかなと思いました」
気まぐれで、能力などを決めているのか。「セカンドライフの街」の最大の悪魔は、メイホウ
自身なのかもしれない。