169章 36時間経過
ボスと戦闘を開始してから 36時間経過
これだけの時間を戦い続けているのに、高い戦闘力を維持している。魔物界のボスは、只者ではないことを知った。通常の生物がまともに戦えるのは、1時間が限界である。
「第二形態がダメなら、第三形態に変身するぞ」
ボスはゴリラから、ティラノザウルスへと形を変える。
「力がみなぎってきたぞ」
ティラノザウルスは、突進攻撃を仕掛けてきた。動きが単調だったため、瞬間移動で回避することができた。
ティラノザウルスは、口からマグマを吐き出す。こちらについては、シールドで威力を抑えていく。ノーダメージであったとしても、まともに受けるのは辛いものがある。
マグマが身体に当たったものの、ダメージを受けることはなかった。数千度といわれる、熱さを感じることもなかった。
アカネが無事であることを知ると、
「くそ!くそ!くそ!」
と何度も繰り返していた。思い通りにならないことに、腸が煮えくり返っているようだ。
ボスが無防備になっている隙に、顔面キックをくらわす。
「ギャーーーーーーー」
ボスは地面に叩きつけられることとなった。ティラノザウルスになったことで、防御力は雑魚クラスまで低下している。
1分後、ボスが姿を見せる。地面にたたきつけられたのに、元気そのものである。通常の耐久力なら、100パーセントの確率であの世に直行する。
「よくもやったな・・・・・・」
ボスはでたらめな攻撃を仕掛けてきた。アカネに命中させようというより、ストレス解消のた
めにやっているように感じられた。
じっくりと観察していると、右、左、右、右、左に動いていることに気がついた。ランダムに見えていた動きには、規則性があったようだ。
右で攻めているときは、ガードはしっかりとしているのに対し、左で攻めているときは、ガードは甘めになっていた。右利きゆえに、左のときは甘くなるのかもしれない。
左でパンチをしているときに、顔面アゴキックを炸裂させる。まともに攻撃を受けたことで、ボスは失神することとなった。
無防備状態のボスに、炎魔法を浴びせる。ゴリラが丸焼きされたかのように、真っ黒こげになっていた。
「あちちちち・・・・・・」
究極の炎魔法を受けても、まだ生きているのか。何もしても死なない虫といわれる、クマムシ以上の生命力を誇っている。
ボスは身体を消化したのち、
「このままではダメだ、第4形態に変身だ」
といった。このボスの変身は、まだまだあるようだ。
ボスはゴリラから、そろばんに姿を変える。
「これじゃない・・・・・・」
ボスはそろばんから、将棋盤に姿を変える。
「これも違う・・・・・・」
将棋盤の形をしていたボスは、マスクに姿を変えた。
「これも違う・・・・・・」
マスク姿だったボスは、注射器に姿を変えた。
「これも違う・・・・・・」
注射器だったボスは、テレビに姿を変える。
「これも違う・・・・・・」
テレビだったボスは、ガンダムのような姿になった。
「これだ、これで戦うぞ」
ガンダムになった直後、光光線を発射してきた。あまりのスピードだったので、まともに受けることになった。「こうげきむこう」のスキルを所持しているので、ダメージを受けることはな
った。
「これもダメなのか。どのようにすれば、おまえを倒せるんだ」
動揺を隠せない敵に、メガトンパンチを仕掛ける。素早さが低くなっているのか、まともに命
中することとなった。
「くそやろう、くそやろう」
魔物を取りまとめる立場なのに、言動はまるで子供だった。体力などは超人なのに、肝心の頭脳は子供のままである。これを見て、頭でっかち尻つぼみだと思わずにはいられなかなった。