第13話 アイカとウォン (2)
でも、元彼、主だったウォンは、自身の彼女、妻だった女王アイカと離れ離れ。逢うことが二度と許されない。
禁止された間柄になってから初めて、自分自身の彼女。女王アイカへの熱い恋心と想いに気が付いたと。淡くて甘い恋話。物語のよう語り。口調で話しを続けたいところではあるのだが。男も女もそうだとは思うのだが。他人に奪われるまでは、別に大した思い。恋心がある。あった訳ではなく。
数年もお互いが付き合い。同じ屋根の下で住み暮らせばマンネリ化。他の者が欲しくなるし。摘まんで食べたい。
また、そんな衝動に駆られ。頂きたいと思うのが。生ある者。生きとし生ける者達の欲望心であり性だと思う。
だから他の者を摘まんで食べ浮気を繰り返す。繰り返していく。
でも、マンネリ化して相手にしていなかった相手、異性が、いざ他人の手に堕ち、奪われてしまうと。
今迄さんざん他の者に手を出して摘まんで、食べ、己の性を満腹感に浸らせ桃源郷を味わい堪能をしていたにも関わらず。
今迄放置していた物。彼女や彼。妻に夫と。自分の物だった者を取り返したくなる生き物の性と良く似た感情がウォンに芽生えただけ。
単なる彼の気の迷いだと女王アイカは、自身もそうだから。元夫彼、夫だった男もそうだと冷淡な目で見ているのだ。
だから先の戦──。突如、此の国の隣接した地に出来たジャポネの王国との戦に負けた時に、自分自身を放置して、他の女性を夜伽の相手としていたウォンを捨て、自分自身に優しい。二国の王健太への許へといき。忠誠を誓って尽くしている最中に起きた事件が、この度の不倫騒ぎとNTR、寝取られた騒ぎなのだが。
自分の妻、妃をウォンに盗られた。寝盗られたから悔しい。だから今度は首を刎ね、殺してしまうのだと、大騒ぎをしている健太自身も、ウォンの彼女、妻だった女性。女王アイカを力づくで、手に入れNTR。寝取った訳だから。
ウォンも健太も同一人物。別の世界の健太と健太。ウォンとウォンなのだから。余りすることは、変わりはない気がする。別の世界のシルフィーとシルフィー。アイカと愛華を取り合い。奪い合いを男の意地、ムキになりしているだけにしか、傍から見ても思えない。
実際ウォンに対してアイカが、不満があるように。健太に対してシルフィー自身が、不満があるように思える。過去の回想シーンを思い出せばね。と、説明を加えたところで話しを元に戻し。物語を進めていくことにする。