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第12話 此の国の神殿の外は……(3)

「嫌よ。嫌。行きたくない。行きたくないの。逃げるならば。貴方一人。一人で逃げてよ。ウォン」と。

 自身の腕を、手首を、強く握り引っ張り。この部屋。女王アイカ監禁、幽閉をされていた部屋から外へ──。

 そう、陽の光が当たり。風が吹き。自身の身体、肌をチリチリと熱し。自身の髪が、爽やかな風に吹かれ。フワフワと気持ちよく揺れる外の世界へとウォンが、自身の元カノ、婚約者。妻だったかも知れない女性。女王アイカを連れ出し解放をしようとウォンは試みるのだが。元カノ、妻だった女王アイカは、元主の、ウォンの思いとは裏腹に、この建物──。

 此の国の神殿。二国の皇帝健太の愛の巣からは出たくはないし。元彼、夫、主だった漢の謀反には加担をしたくはないと。

「嫌よ。嫌。もう、あのひとを裏切りたくはない。ないの。だから貴方だけ。ウォンだけ。仲間達と共に、別の土地まで逃げて、そこで新たな国を興し。一から始めれば良い。良いと私は思うから。ウォン、貴方だけ逃げれば良い……。今ならメイ自身も軍の立て直しをしている最中だと思うから。逃亡。逃走するなら今が良い。良いと思うし。チャンスだと思うから。ウォン、貴方だけ逃げて、私の事は、もうすっかり忘れて、新しい女性(ひと)と幸せになって、お願いよ。ウォン」と。

 女王アイカは、元自身の主だった漢に、元妃だった自分。女のことは忘れて欲しいと嘆願、願うのだ。

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