2話 作戦決行
シゲルヒメはレストランいた、それは駿河が何人かの知り合いとレストランで食事をしにきていたため尾行し近距離で仕留めるタイミングを伺っていたのだ。
(次の作戦は隙を狙って近距離でナイフを使って暗殺しよう)
そして静かに隙を見せるのを待っていると時は流れついにチャンスがきた。
「ちょっと俺トイレ行ってくるわ」
そうしたらシゲルヒメは何かを思い静かにほほ笑んだ。
そして駿河は誰もいないトイレで用を済ませた、トイレの中は薄暗くそして蛍光灯はついてなく蜘蛛の巣がかかっていた。少し不気味に思い早く出ていこうとした時、目の前に謎の人物が立っていて顔は周りが少し暗かったためあまりよく見られず、駿河は不思議に思いながらその謎の人物に声をかけた。
「あの何か御用でも」
謎の人物は何も言わずに駿河をナイフで刺し血が流れだし駿河はそこで倒れこむ。
「やっぱり一回刺しただけでは死なないか」
謎の人物は駿河をもう一回ナイフで刺そうとしたが人が男子トイレに近づく気配を感じたためかその場を去っていき駿河は意識が遠のいていく。
それから駿河の耳にはかすかに何人かの話声が聞こえてくる。
(ここはどこだ、そうかトイレから出ようとしたら謎の人物にナイフで刺されたのか)
(俺は助かるのか、それともこのまま死ぬのか)
駿河は意識が徐々に戻りつつあり視界よく見えるようになっていき、いつのまにか病院の手術室にいることに気が付いた。
それと駿河は自分のことを手術している女性に見覚えがあるようだ。
(思い出した、あのとき俺のことをナイフで刺した女だ)
彼女はシゲルヒメという名で殺し屋をしているがそれは裏の姿。表では東条明音という名で医者の仕事をしているのである。
そして駿河はこう思った。
(この女は裏で俺をナイフで刺し殺そうとして表では医者として俺の命を助けようとしているけど今、どういう気持ちで俺を治療しているのだろうか)
そう思いながら自分のことをナイフで刺した女をガン見した。そしてガン見してくる駿河にシゲルヒメはこう思った。
(うわあ、駿河という男がこの女は裏で俺をナイフで刺し殺そうとして表では医者として俺の命を助けようとしているけど今、どういう気持ちで俺を治療しているのだろうかという目で見ているわ)
(あそこのファミレスのトイレは人気が無いから誰にもバレないと思ったんだけど…それに薄暗いから仕留めることに失敗して逃げられてもターゲットには自分の顔が見えないだろうから仕留めるのに絶好のチャンスだと思ったのだけどな)
その後、東条は駿河という男に何時間もガン見されながら治療を続けたのであった。
数時間後、手術は無事に終わり病室のベッドには手術を終えた駿河の姿があった。ベッドで安静にしているとそこに東条がやってきた。
「駿河さん、調子の方はどうですか」
駿河は東条がつけているネームプレートで自分が殺そうとした人物が東条という名前だということがわかった。
「東条さん、自分を殺そうとしましたね。何でそんなことを」
「見ての通り私は医者だ、だがそれは表の姿に過ぎない。私は裏でシゲルヒメとう名で殺し屋をしている、そして依頼主からあなたをターゲットにされた。
「自分に殺しの依頼?誰がそんなことを」
そして東条は駿河のことを依頼した人物の名前を告げた。
「いや別に坂田に憎まれるようなことしてないけどな…」
そして東条は坂田の動機を話すと駿河は呆れて唖然とした。
「しょうもない、というか何故あなたはこんな理由で依頼を引き受けたのですか」
「そりゃどんな理由であれ、依頼主から引き受けたターゲットの人物を仕留めるのが仕事ですから」
そして駿河は東条に顔を近づけるとこう言った。
「それなら自分もあなたに坂田の殺しの依頼をします、あんな理由で知人に殺しを依頼する坂田を野放しにしておくわけにはいけません。これは自分のためや坂田と関わりのある人のためでもあります。お金もしっかり払います、給料三カ月分でどうでしょう」
「まあ、お金を払うのなら引き受けましょう」
(まあたしかにあんな人物を世の中に野放しにしていたら危ないよな)
「それでは頼みますよ。東条、いやシゲルヒメさん」
それから数日後、ビル屋上にて。今回の作戦は前回の同じターゲットを遠距離から射撃という感じだが少し前回とは違う所がある。それは駿河の話によれば大学の同級生に聞いた話で坂田は大企業の会長だということ、なので坂田の周りは警備が厳重だということだ。
(まあ隙を狙うしかないな)
そうしているうちに警備で厳重に囲まれている坂田が建物から出てきた。そして東条はライフル銃を構える
(やはり警備が厳重だ、こりゃ手間がかかるな)
だが東条は坂田が歩く先にあるものを見つける
「バナナの皮だ」
そして坂田はバナナの皮があることを気づかず踏んでしまい大きく転倒し強く頭を打ってしまった。
「えっ」
そのありえない出来ことにシゲルヒメは大きく驚いてしまいこう思っていた。
(いやいや普通に歩いていて目の前にバナナの皮あって滑るとかないやん…)
その後、救急車で病院に運ばれたが坂田は静かに息を引き取ったのだ…
それから別の場所で駿河がいる病室のテレビには速報のニュースが流れていた。
「速報です、坂田グループ株式会社の坂田〇×さんが先ほど都内の病院で死亡したことがわかりました、詳しい情報が入りしだいまたお伝えします」
「よし」
その速報のニュースを聞いた時、駿河はそう言いながら小さくガッツポーズしていたのであった…
それから数か月が過ぎ無事に駿河の退院の日がやってきた。
「何から何まで本当にありがとうございました、まさかバナナの皮を使って暗殺するとは思いませんでしたよ」
「ええ、まあ…」
(本当はあの男が勝手に自滅しただけだけどな)
「また会う機会あったら頼みますよ」
そういって駿河は病院から去っていき東条は仕事に戻っていったのだ。
そしてまた数カ月後、東条は自分のマンションでゆったりと過ごしていた。
するとインターホンが鳴りそして東条はドアを開けると、とある人物が立っていた。
「こんにちは、今日となりに引っ越してきた駿河と申します、ご挨拶に参りました。あとこれ、つまらないものですがどうぞ」
そしてこれから東条と駿河の長い付き合いが今始まりだそうとしているのであった…