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205 逃げてくださーい!

いよいよ土の魔法です!やるきまんまんのサーヤです。ふんすっ!

『サーヤ、力みすぎて鼻の穴が膨らんでるぞ』

失礼ですね。お鼻を両手で縦に挟んでふにっと、つぶします。それから、ほっぺたむにむにします。なおりました。

『サーヤ、顔が変なことになってるぞ』

ぶー。ほっぺたぶーですよ。

『〖あ~♪かわいい(ですわ)♪〗』
〖『え?』〗
ハモった二人が顔見合せてます。

〖ふふふ。アイナとは気があいそうね〗
『ありがとうございますですわ!可愛いものは正義ですの!サーヤちゃんの可愛さは正にその頂点ですわ!』
〖さすが!よく分かってるじゃない!そうだわ!あとで一緒に鑑賞会をしましょう!〗
『鑑賞会ですの?何をですか?』
キョトンとするアイナ様に、不敵な笑みで答えるジーニ様・・・

〖ふふふふ…聞いて驚きなさい。サーヤのあまりの可愛さに編み出した、私の新魔法!映像魔法よ~!今では進化して三六十度、どこからでも撮影可能!超小型化!見逃さないように、自動追尾機能付き!〗
どうよ!と、胸を張るジーニ様!

『す、すごいですわ!よく分かりませんが、尊敬いたしますわ!』
〖ふふふふ、サーヤが名付けに苦悶しながら踊っていたあの時も!赤い水着でケンケンパを楽しむサーヤも!もれなく記録済み!〗
『んまあ!なんのことだか分かりませんが、ぜひぜひ拝見させて頂きたいですわ!』
〖もちろんよ!ゲンに美味しいおつまみを作ってもらって鑑賞会という名の女子会をしましょう!〗
『女子会!なんてステキな響きなのでしょう!楽しみですわ!』

〖ふふふふふふふふ〗
『うふふふふふふふ』

手を取り合って大盛り上がりの二人に、すっかり置いてけぼりなサーヤとおいちゃんです。

「おいちゃん、さーにゃみょ、おやちゅ、ちゃべりぇりゅ、かにゃ?」
ぼーっとキャッキャウフフな二人を見ながら聞きます。
『あ、ああ。でもこれ、女子会じゃ、俺はつまみ作るだけだよな?』
おいちゃんも、ぼーっと一点を見ながら応えてくれます。
「しょうぢゃにぇ~」
『味見くらいはいいよな?』
「おあじみ、だいじ」
サーヤもしたい。じゅるり。

そこに意外な人から意外な声が

『んもう!二人とも、今はサーヤの魔法の練習の時間でしょう。いつまでもじゃれてちゃダメじゃないのぉ』
プンプンしながら話す結葉様。すごい!普通のこと言ってる!こういうこともできるんだね!って思った瞬間
『私のためにも早くやってもらわなきゃあ』
やっぱり結葉様は結葉様だった。

『お母様!そうでしたわね、つい盛り上がってしまいましたわ。ごめんなさいですわ』
〖コホンっ。そうね、じゃあ、始めましょうか〗
でもまあ、結葉様のおかげでアイナ様とジーニ様が戻ってきました。

「あ~い!」
おててあげて元気よくお返事です!

『〖か、かわいい(ですわ)♪〗』

『ジーニ様?アイナぁ?』
結葉様がジト目・・・

『あら、失礼いたしましたわ』おほほ
〖コホンっ。じゃ、じゃあ、サーヤ。まずはどうするか、覚えてるかしら?〗
ジーニ様、お咳でごまかしてますね?
でも、サーヤは気付かないふりしてあげます。サーヤは空気も読める(ときもある)のです。ふんすっ。

「あい!ちゃん、たん、たんでん!」
ふぃ~。ちゃんと、覚えてますよ。
『えらいえらい。丹田、よく覚えてたなサーヤ』わしゃわしゃ
おいちゃんに褒められました!えへへ。

〖ふふ。そうね。それじゃ、魔力を体の隅々まで循環させてみましょう〗

「あい」
ぐる~って、丹田から体のすみっこまで、まわすぅ~ぐる~

〖ゆっくりでいいわよ。体から溢れ出ないようにしっかり回してね〗

「あい」
あふれないように~、ぐる~

『すごいですわね』
私の精霊視を解放しなくても、サーヤちゃんの体の隅々まで、滞りなく魔力が回っているのが分かりますわ。銀色の綺麗な魔力ですわ。

『ジーニ様、次の段階に行く前に、サーヤちゃんとお話させて頂いても?』
不用意に声をかけて、集中力が切れてしまっては大変ですもの。確認は取らなければいけませんわよね。

〖ええ。いいわよ。もう、十分魔力は回ったからね〗

『ありがとうございますですわ。サーヤちゃん、ゆっくり目を開けられますか?』
ジーニ様の確認も取れましたので
サーヤちゃんに声をかけますわ。あくまでも慎重に。脅かしてはいけませんわ。
そして、サーヤちゃんの目がゆっくり開きましたわ。

『サーヤちゃん、探索という魔法は、分かりますか?』
「・・・・・・」ふるふる
首を横に振っているということは、ご存知ないのですね。

『それではこんな風に、例えば、水面に落ちた雫が広める波紋のように』
言いながら小石を地面に落とし、地面を水面に見立てて魔法で波紋を作りますわ。サーヤちゃんは土が波打つことに、びっくりした顔をなさってますわね。でも、サーヤちゃんなら、これも簡単に出来るようになりますわ。

『こんな風に、土の中を自分を中心にした魔力の波紋で探るのですわ』

〖サーヤ、慣れれば立ったままでも出来るけど、初めは地面に手を着いた方が分かりやすいわよ。ゲンもそうしてたでしょ?〗

「あい」
サーヤちゃんが、素直に地面に手を置いて魔力を流し始めました。キレイにできたのですけれど、これでは不十分ですわね・・・

『サーヤちゃん、表面だけではなく地中もですわ。地に関する妖精や動物たちは地中にいることがほとんどですから』
「あい」
いいですわね。捜索が広がり始めました。

『それで、何か反応を掴みましたら、良い子達には優しく、呼びかけてあげてください。悪い子はそのまま無視でいいですわよ』
まあ、聖域ですから、そんな悪い子はそういないでしょうけどね。

「あい。しょこにいりゅちと、さーにゃ、やが、こりぇから、まほう、ちゅかいましゅ。にげちぇくだちゃーい」

『ぶふっ』
おいちゃん、なんですか?

『〖かっかわいい(ですわ)~!!〗』

『サーヤ、えらいわねぇ~』なでなで
結葉様が頭なでなでしてくれたよ!おいちゃん失礼です!ぷんだ!

「くりかえちましゅ。さー、やが、まほう、ちゅかいましゅ。おっきちて、にげちぇくだちゃーい」

『ぶほっ』
ぶ~。

『〖かわいい~(ですわ)!!〗』
『えらいわぁ~』
えへへ~

『みんな、にげろ~』
『『『『わ~』』』』
『ココロ!にげるにゃよ~』
みゃ~ん『あいにゃ~』
みんなが土の中から、しゅぽぽぽぽんっと飛び出てきました。

「みんにゃ、あいがちょ~」

『『だいじょうぶ~』』
『『がんばって~』』
『がんばるにゃ~』
みゃ~ん『さーにゃにゃん、がんばるにゃ~』
ぶんぶんっ

「あ~い」
みんなが、ぶんぶん手を振って応援してくれます。

『ふふ。声に出さない念話の方法も覚えるといいですわね。一応、確認しますわね。あら?これでも起きない大物が一人いますわね』

「うにゃ?」
アイナ様が誰か見つけたみたいです。

『よいしょ、ですわ』
ぼこっ!アイナ様の掛け声で出てきたのは

「ほぇ?」
『もぐら?でも』
「でっかい…」
『サーヤくらいあるなぁ』
もぐらさんて、手のひらサイズじゃないのかな?

『サーヤちゃんの探索より、人一人分下にいましたわ』

『すう~すう~・・・』

〖まだ寝てるわね〗
『すごいですわね』
〖まあ、ほっといて大丈夫じゃない?練習続けましょ?〗
アイナ様とジーニ様が、掘り起こしたもぐらさんを覗き込んで、大丈夫じゃない?って。

「あ、あい」
いいの?
『…いいんじゃないか?』
もう、諦めたというような目ですね。おいちゃん。

『すうすう・・・』
もぐらさんはまだ気持ちよさそうに、ねんねしてます。

〖じゃあ、サーヤ。やってみましょう。最初難しかったら浅くから初めて、だんだん深くしていきましょう〗
「あい」
かきまぜる。かきまぜるぅ。かきまぜるといえば、ミキサー?

ぶお~ん!!
「ふあ?」
な、なんでしょ?

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