201 おしゃべりの先生、就任!そして、その時・・・
突然の名付けも終わりました。よかったよかった。あれ?そう言えば、
「おいちゃ~ん」
『んん?さーや、どうした?』
「なにちようちょ、ちちぇちゃっけ?」
『あ?そう言えば…何しようとしてたんだっけな?』
おいちゃんも忘れちゃったの?なんだっけかな?
きゅるる『土の魔法の練習に来たんじゃない?』
きゅるる~ん『『『あとは』』』
きゅるる~ん『『あたらしい』』
きゅるる~ん『『たね~!』』
「『あっ』」
「しょうぢゃっちゃ」
『そうだったな』
絹さん、子グモちゃん、ありがとう!すっきりした~
『土の魔法ですの?』
『土は得意にゃ!』
土と聞いてアイナ様とニャーニャにゃんが、楽しそうにお話してきました。というより
『この畑の土は素晴らしいですわ!この土の香り!この聖域に着いた瞬間に感じた素晴らしい香りはまさにこの土ですわ!ああ!はやくこの土に触れたくて仕方ありませんでしたの!是非この土に触れる許可を下さいませ!』キラキラ
『そうにゃ!この素晴らしい土と戯れたいにゃ!それにどうしたらこんないい土が出来たかも是非聞きたいにゃ!』キラキラ
おめめキラキラ、大興奮?そして、まだまだ
『ああ!土が喜んでますわ!土の妖精もこの土に惹かれてどんどん集まってますわ!どなたですの?この畑を作られたのは!』くるくるくる
『そうにゃ!教えてにゃ!誰にゃ?』くるくるくる~
すちゃっ
「ふ、ふぉお」
す、すごいです。踊るように手を広げクルクル回りながら話してたと思ったら気がついたら目の前に二人のお顔がありました。すごいです。いつ息してたんだろ?
「お、おいちゃん、ちゅくっちゃ」
『ゲンさんですの!?』
『ゲンさんにゃ!?』
「あ、あい」
こ、こわいです。
てしてし。てしてし。
ん?何かな?
てしてし。てしてし。
みゃーみゃー『さーにゃにゃん!さーにゃにゃん!』てしてし。
てしてしの正体は、抱っこしてたココロでした。
「こころ、にゃあに?」
みゃーみゃー『ココロも!ココロもいきたいにゃ!』
おっきなおめめ、いっぱいにあけて、キラキラおめめです。まぶしいです。
『ココロにも分かるのですわ!この土の素晴らしさが!』くるり
『さすがちっちゃくてもケット・シーにゃ!』くるりんっ
みゃ~ん『あいにゃ!かんじるにゃ!』
「ふおお」
また、くるくる!
『なんか、ミュージカルみたいだなぁ』
おお、おいちゃんの言う通り!ミュージカルみたいです!
ん?あれ~?
「けっちょちー……けっとちー、ん~ぅぅぅ けっと・ち、しー」ぜぇぜぇ
上手に言えないよ~。くすん。
『ど、どうしたんですの?サーヤちゃん』
『サーヤちゃん大丈夫かにゃ?』
みゅ~?『さーにゃにゃん?』
突然落ち込んだサーヤに、アイナ様たちがどうかしたのかと、オロオロしだしちゃいました。
『あ~大丈夫だよ、心配ない。たぶんな?話し出した前の顔から察するに、「ケット・シーは土と仲良しなの?」と聞こうとしたんだけど、「ケット・シー」が上手く言えなくて、頑張ってる内に疲れたんだな。サーヤは長い名前はまだ難しいけどな、短い言えそうなやつは、頑張ってちゃんと言おうとしてるんだよ。名前は大事だからな。な?』
「あい。ちゃんちょ、れんちゅう。ごめしゃい 」しゅん・・・
ケット・シー、上手に言えませんでした。
でも、おいちゃんは分かってくれます。うれしいです。
『サーヤちゃん、落ち込む必要はありませんわ!むしろ、私たちのために頑張ってもらえて嬉しいですわ!大丈夫です!これからゆっくり、言えるようになればいいのですわ。ね?』
『そうにゃ!サーヤちゃん、頑張ってくれてありがとにゃ!』
みゃ~『ありがとにゃ』
「あい」
よかった。怒ってないみたいです。
『ふふ。怒りませんわよ。頑張ってくれているのに、怒るようなことはしませんわ』にこっ
『そうにゃよ!サーヤちゃん!気なしないで、た~っくさん、お話するにゃ!』にぱっ
「あいっ!」にぱっ
ありがとう
『それからにゃ、さっきの質問だけどにゃ?ニャーニャたちは土が大好きにゃ!』
『ケット・シーは私と仲がいいだけあって土属性の魔法が得意なのですわ。なので』
『いい土を見ると遊びたくなるのにゃ!掘ったり潜ったりひっくり返したりにゃ!』
みゃ~ん『ココロもあそぶにゃ~!』
「ふお~」
そうなんだね~。ん?もぐる?
『そう言えば、二度ほど聞き捨てならないことを言われたような?』はて?
おいちゃんが、う~って、唸ってます。
『あっ!ゲンさん、あれじゃないですか?加護と土の妖精!』
山桜桃お姉ちゃんが思い出してくれました。
そう言えば、加護とか言ってたね。
『あ、あれはですね、つい感激してしまって、加護を与えてしまったんですわ。でも、あって損は無いですわよ。土の魔法は地味に見えますが、使い方をしっかり学べば、生活にはもちろん、防御にも攻撃にも役立つ魔法なのですのよ。皆さんにも加護をお渡ししますね。これで皆さん土魔法を使えますわよ。特にピンクのドラゴンさん』
ぴゅい?『え?わたち?』
急に話を振られてびっくりのモモです。
『ええ。そうですわ。可愛らしいピンクのドラゴンさん』にっこり
『この子らは我の子たちだ。ほら、二人とも挨拶しなさい』
アルコン様が二人の背中を軽く押して、前に押し出します。
ぴゅいきゅい『『あ~い!』』
ぴゅいぴゅい『わたち、モモ』はい!
きゅいきゅい『ぼくは、スイ』はい!
ぴゅいきゅい『『ふたごなんだよ~よろちくね!』』
二人、元気よく手を上げてご挨拶!よく出来ました!
『ありがとうございます。モモちゃん、スイくん。よろしくお願いいたしますわ。エンシェントドラゴン様にお子がいらっしゃるとは存じ上げませんでしたわ。とっても可愛いですわね』
ぴゅいきゅい『『えへへ~』』ぶんぶん
モモとスイが照れてしっぽぶんぶんしてます。
そうだよ!モモとスイ、かわいいでしょ!エッヘン!
『なんでサーヤが胸をはってるんだ。そこはアルコン様に譲ってやれよ』
『いや、ゲン…』
だって、アルコン様はその辺にぶちんだから
『『サーヤ…』』
なんですか?違うお顔で声だけハモらせて?
『ふふ。お二人はそれぞれ得意な魔法が異なるようですね。さすが双子ですわね。お互いを補い合うような感じですわ。共通で強いのは空と風。そしてモモちゃん。あなたは土の属性が強く出てるようですわ。あとは火と光かしら?ですが、力の差はあれど、全属性使えるようですから、複合魔法も出来そうですわね』にっこり
ぴゅきゅ?『『え?』』
あれ~?思わぬところからモモとスイの属性が?
突然の自分たちの属性の話にびっくりな双子です。そう言えばイル様が二人は多属性持ちだって言ってたね。
『あ、あら?その反応は、みなさん知らなかったのですの?もしかして、言ってはいけないことでしたか?』
アイナ様がみんなのポカンとした様子に焦ってます。
〖大丈夫よ。みんな魔力に慣れるための練習を始めたばかりだから、まだ知らなかっただけよ〗
ジーニ様が笑顔で説明してくれます。
『そうですか?良かったですわ』
アイナ様がほっとしてます。
『それから、土の妖精がこの畑にどんどん集まってますわ。これは私が来たことには関係なく、この土に引き寄せられてのことですわね。この調子なら、精霊もここから誕生するのも近いでしょう。仲良くなれば、妖精魔法や精霊魔法も使えるようになりますわよ。この森にいる者は皆さん私の加護がついてますから、皆さん土魔法が使えるようになってますしね。あっ!これからこの地に来る者にも付きますわ。ただし、この聖域に認められた者のみですけれど』
にこっと、いたずらっぽく笑います。それも気になるけど、
「あいなしゃま、おちゃべり。ちぇんちぇ」
いっぱいすらすら。すごいなぁ。息、苦しくないのかな?
『え?先生ですの?おしゃべりの?』
「あい」
おしゃべり上手。すごい~
『うわぁだにゃ~サーヤちゃんの目、すごいキラキラだにゃ~』
「にゃーにゃにゃんも、ちぇんちぇ」二人とも、おしゃべりすごい~
『え?ニャーニャもかにゃ?』
「あい!」
ぽんぽんおしゃべり!すごい!
『まあ、ほんとにお目目キラキラですわね』
『そうにゃにぇ~』
『でも、おしゃべりの先生と言われても、昔からこんな感じなだけですしね~』
『そうにゃよにぇ~』
『とにかくたくさん、仲良しとお話しすることでしょうか?』
『そうにゃね。ニャーニャもご主人と話しまくって鍛えられたしにゃ~』
『まあ!鍛えただなんて、そんなことをしたことはありませんわよ?』
『ご主人、無自覚にもほどがあるにゃ~』ふぅ~ぅ
『まあ!ひどいですわ』
『こんな感じで鍛えられたにゃ!だからサーヤちゃんも、いっぱい話すといいにゃ!』
『ニャーニャ!話をそらさ…』
『ご主人』じっ
ニャーニャにゃんがアイナ様をじっと見つめると、アイナ様が、はっと何かに気づいたみたいに一瞬、静かになりました。
『・・・そうですわね。ここの皆さんは優しい方ばかりですもの。たくさんお話しすれば大丈夫ですわ!』
『そうにゃ!練習相手も先生もたくさんいるにゃ!それにココロも一緒に練習できるにゃ!』
『そうですわね。念話と普通のおしゃべりと両方できるようになれば、楽しいですわよ!』
『そうにゃ!内緒話もし放題にゃよ!にゃはは』
ナイショ話!
「ふぉぉぉぉぉ」
楽しそう!!
「あい!りぇんしゅう、しゅりゅ!がんばりゅ!」
ナイショ話、楽しそう!
『ふふっ。頑張らなくていいのですわ。楽しめばいいのですの』
『そうにゃ!楽しむのが一番にゃ!』
楽しく!うん!
「あい!たのちく、おちゃべり!」
みゃ~ん『ココロも~たのしむにゃん!』
ぴゅいきゅい『『たのしくなの~』』
きゅるる~ん『『『いっしょに』』』
きゅるる~ん『『『『やる~』』』』
ココロも子グモちゃんも、みんな一緒だね!
「あい!」
がんばろう!
『は~い』
『ぼくたちも』
『なかまに』
『いれて~』
え?だれ?聞いたことのない声が急にたくさんです。え?どこ?だれ?と思った瞬間
ぼこぼこぼこぼこぼこっ
『『『『ここだよ~』』』』
「ふぇぇ?」
土の中からとんがり帽子を被った小さい小さい子たちが飛び出してきました!
『あら、出てきたのですわね~』
『やっぱり、いっぱいいたにゃにぇ~』
『さーやちゃん、みんな土の妖精ですわ』
『『『『よろしく~』』』』
みんな手を振ってます。
「ふわぁあああ」
土の妖精さん、いっぱい!すご~い!
《あの時のニャーニャとアイナ様》
ニャーニャは感じ取っていた。すごいすごいと目をキラキラさせながらも、どこか寂しげなサーヤの感情を。ニャーニャは人の気持ちを感じ取る能力に長けたケット・シーだ。
だから、ご主人との掛け合いの中の一瞬でご主人に念話で語りかけた。
⦅ご主人、サーヤちゃんの感情に影があるにゃ⦆
はっとするご主人。ご主人も人の感情を読むのが得意にゃ。気を感じるのはもちろん、強力な精霊視を持つご主人、強力すぎるために普段は力をわざと抑えているけど、一瞬でサーヤちゃんの状態を確認したご主人は、ニャーニャに調子を合わせてきたにゃ。
⦅感じますわ。先程から度々感じていた感情はこれですわね⦆
ニャーニャからの念話で、気づかれないよう一瞬だけ精霊視を解放し、サーヤちゃんを見てみると、確かに複雑な感情が見えた。
⦅これは、申し訳ないという感情と、恐怖?⦆
ニャーニャに念話を送る。
⦅恐怖!ご主人さすがにゃ!でも、恐怖を感じるのはなぜにゃ?⦆
そう。ここにはサーヤちゃんを怯えさせるような存在はない。なのに、なぜ?
⦅サーヤちゃん自身、自覚はなさそうですしね。無意識?⦆
サーヤちゃんが長い言葉を話そうとする度に感じていたこと。本当はもっとちゃんと話したいのに、気を使うように単語で話が成り立つように、言葉を選んでいたこと。それにより、さらに細切れのようになる話し方に、上手く話せなくてごめんなさいと、言いながら話しているようだった。そしてさらに後ろに何かあるように感じられた。それが今分かった恐怖。上手く話せないことで怒られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう、そんな恐怖が見え隠れしていた。これは、後で皆さんに伝えないといけない。でも、今は
⦅ご主人、ご主人!⦆
はっ
⦅今はまずやることがあるにゃ!⦆
そうですわね。今は
⦅えぇ。今はお喋りは楽しいと伝えないといけないですわね⦆
⦅その通りにゃ!⦆
これは、精霊王たち全員に集まってもらってジーニ様たちから話を聞かなくてはいけないかもしれない。何かいい口実があれば…
その口実は案外すぐに見つかるのだが、それはもう少しだけ後で…
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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m
切りどころが分からず、長めになりました。お付き合いいただきありがとうございます。