178 平和だのぉ
ふわぁ~おはようございます。たぶん朝です?どうしてかな?動けません。それに真っ暗です。でも、きもちいーからいいです。もういっかいねんねしよう。おやすみなさい。すー
コンコン…がちゃっ
『おはようサーヤ。え?』
『おはようございます。さーやちゃ、ん?』
『みんなもおはよう。ちゃんと元いた場所で寝てるか~?あ?』
『皆さん、おはようございます。えぇ?』
フゥ、山桜桃、クゥ、春陽の順番で固まった、サーヤとちびっこ同盟のお世話係に任命された四人。
『『『『ええええ?』』』』
一瞬の間をおいて響き渡る四人の声。
〖なあに?フゥ、クゥ?また何かあったの?え?何これ?〗
『ええ?念の為に山桜桃と春陽も一緒に行ったんでしょぉ?あら~』
『なんだ?自分たちのベッドで寝てないのか?は?』
『皆さん、後ろがつかえてますよ?え?』
フゥたちの声でやってきた大人たちも、ジーニ様、結葉様、アルコン様、ギン様の順で固まる。そして、やはり
ん~?ジーニ様たちの声がするかな~?でもぉ、きもちいーからいっかぁ すー
起きないサーヤ…
〖『『『ええ~?』』』〗
うにゅ~ちょっとうるさいです。もぞもぞ。これでよし。おやすみなさい。すー
『なんだ?お~見事に芋虫がいっぱいだな。蚕の繭にも見えるなぁ。わはは』
後から悠々とやって来たおいちゃん。驚くこともなく笑ってます。
サーヤたちがどうなってるかというと、みんな見事にタオルケットぐるぐる巻きになっていました。しかも頭から足の先まですっぽりです。
『これは、息できてるんでしょうか?』
バートさんも呆れてます。
『それは大丈夫だろ~。それにしても双子はどうやって移動してきたんだろうな?』
みんなちゃんと自分の場所で寝ているのに、双子だけはサーヤの両脇にいました。ただ双子もタオルケットで丸まってるのでサーヤに抱きついてはいません。抱き枕には抱きついていますが、器用です。
『ほら、みんな起きろ~』
ゲンがみんなを起こし始めたのを見てフゥ達もあわてて起こし始める。
『みんな起きて~』
『え~?これ頭こっちだよな?』
『これ、剥がれないです』
『こっちも剥がれないです』
続いて大人たちも…
『モモ、スイ起きろ』
『ハクも起きなさい。どうやったらこうなるんだ?』
『これって~自分でもはがせないんじゃないぃ?』
〖ほら、みんな起きて~〗
だけど、みんな頭まですっぽり。何も聞こえないよ~とばかりに寝続けています。く~す~・・・
『みんな、朝ごはんいらないのか~?』
そこへゲンさん必殺の鶴の一声。
はっ!
「いりゅう~」
ぴゅいきゅい『『たべる~』』
『ごはん~』
『『たべないで~』』
『『『おきる~』』』
さすがです!一発で起きました。
『『ええ?』』
『『そんな簡単に?』』
フゥたち呆然…
そして、やっと起きたちびっこたち…
みんな、いっしょに、おっきしようと思ったけど~
「あ、ありぇ?」
ぴゅいきゅい『『ぐるぐる~?』』
『起きれないよ~』
『『だれか~』』
『『『たすけて~』』』
いっせいにもがき出すちびっこたち。
『やっぱりぃ』
結葉様の予感は当たった。
みんなしてタオルケットをほどこうと動いているようだが、どう見ても芋虫がうぞうぞもごもごしてるようにしか見えない
「うにゅ~」もがもご
『あ~サーヤ!余計に絡むから動くな』
ぴゅきゅ~『『えいえいっ』』もこもこ
『モモ、スイ蹴るんじゃない!』
いっこうに解けません。
〖新たな問題発生ね~〗
『毎日こうなるのかしらぁ?』
みんながどうしたもんかと、ため息をついたその時
きゅるる『どうしたの?』
きゅるん『『『ごはん』』』
きゅるる~ん『『『『さめちゃうよ~?』』』』
救世主が現れた。絹さん親子だ。
『絹さん、いい所に!助けて~』
『くるまりすぎて取れないんだ』
フゥとクゥの言葉に目をまん丸にする絹さんたち
きゅるる『どうしてあれでこうなるの?』
きゅるるん『『『どうして~?』』』
きゅるるん『『『『どうなってるのぉ?』』』』
それは、皆同じ気持ちです。
『よっぽど気持ちよかったのか寝てる内にこうなったようだ。こらハク!暴れるな!』
『だって~ぇ お父さ~ん』
もごもごうごうごもがくほど絡まるちびっこたち。あ~あ・・・
きゅるる~『しかたないわね~。子供たち手伝ってね』
きゅるん『『『は~い』』』
きゅるるん『『『『分かった~』』』』
絹さんたちはタオルケットの端を器用に見つけ出し『えいっ』と一発ころころころ~っと中身が出てきました。
『『『『お~』』』』ぱちぱちぱち
〖さすがね~〗ぱちぱちぱち
拍手喝采!ぱちぱちぱち
きゅるる『う~ん。タオルケット、あとでもう少し小さくするようかしらぁ?』
まさかタオルケットでこんなことになるとは・・・絹さん親子は悩みます。
「うにゅ~ 」
『助かった~』
きゅいぴゅい『『びっくりちちゃったね~』』
『『ね~』』
『『『ごはんいこ~』』』
タオルケットから『あ~れ~』な感じでコロコロと解放されたちびっこたち。何事も無かったかのようにベッドを降りようとするが、でもサーヤは…
『その前に』
『着替えなさい』
「は~い」
フゥとクゥが最近、お父さんとお母さんみたいです。
そんな朝の様子を見て
『平和だのぉ』
『そうだの』
頭の上に小さくなった青葉ちゃん達を乗っけたじぃじ達が扉の影からしみじみと呟いてました。
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