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デラマンモスパオンを求めて その2

 イエロ達が、チウヤゲレンデに出向いて3日が経ちました。

 その成果たるや、すごいものがあります。

 最初の日に、様子見で6頭のデラマンモスパオンを狩ってきたイエロなのですが、その翌日になりますと合計で15頭ものデラマンモスパオンを狩ってきた次第なんです。

 あまりにも数が多かった上に、デラマンモスパオンはデラマウントボアほどではないものの結構でっかいもんですから、イエロ達に事前に渡していた魔法袋では入りきらなくなってしまって
「店長殿! ま、魔法袋の追加を頂きたいでござる!」
 慌てた様子のイエロが、転移ドアをくぐってコンビニおもてなし本店に戻ってきたほどなんですよ。

 まだ3日しか経っていないのに、デラマンモスパオンを詰め込んだ魔法袋が、すでに3つになっている次第です、はい。
 それだけ多くのデラマンモスパオンが、チウヤゲレンデの近くに棲息していたってわけなんですよね。

 その中の数匹がチウヤゲレンデにやってきて、そこに居座ったせいで、クマタンゴさんが以前経営していた宿が破壊され、それまで観光客で賑わっていたチウヤゲレンデが廃墟と化していたわけなんです。

 そのデラマンモスパオンはスアが魔法で駆逐してくれたんですけどね。

 まぁ、その後色々ありまして、今のチウヤゲレンデは改めて観光客を迎え入れていまして、徐々にですがお客さんの数も増えている次第なんですよ。

 今日狩ったデラマンモスパオンが詰まった魔法袋を持って来てくれたイエロは
「とりあえず、あと2日ほどここで狩りをしてくるでござる」
 そう言って笑っていた次第です。

 こうしてデラマンモスパオンを狩ることで、チウヤゲレンデへデラマンモスパオンがやってくる危険性も少なくなりますしね、イエロ達にはもうひと頑張りお願いしたいところです。

◇◇

 そんなわけで、チウヤゲレンデで狩りをしているイエロ達は順調そのものです。

 で

 一方、ガタコンベに残っているおもてなし狩猟部隊の皆さんも元気満々です。

 こちらには、オデン6世さんとイエロの弟子のグリアーナに加えて、狩りに復帰したルアが加わっているのですが、
「はっはっは、やっぱ狩りはいいねぇ」
 そう言いながら、久々に手にした武具、大金槌を手に、ルアはご満悦な表情をうかべていました。

 元々、ガタコンベ商店街の自警団として活動していたルアなんですが、オデン6世さんと結婚してビニーが産まれてからというもの、しばらくの間は子育て優先ってことで狩り禁止令をオデン6世さんから出されていた次第なんですよ。

 まぁ、ルア本人もこの頃は初めての子育てってことでてんやわんやしていましたので、狩りどころじゃなかったんですけどね。
 
 ルアが経営している工房も、しばらくはルアの片腕のパラランサくんに任せていたくらいですから。

 で、そのビニーも、亜人特有の成長の早さのおかげで、すでに10歳くらいの女の子の姿になっていまして、最近ではよく我が家の子供達のところに遊びに来たりしている次第です。

 ……まぁ、ビニーのお目当ては我が家の長男、リョータなんですけど……そのリョータは、我が家に居候しながらヤルメキススイーツの見習い店員として修行しているアルカちゃんと仲良しなもんですから……僕としては、もう、みんな仲良くしてねとしか言えないといいますか……しかし、まったくモテた経験のない僕の子供が、まさかこんなにモテるなんてねぇ……

 そんなわけで、ビニーちゃんのことを心配しなくてよくなっているルアは、ここ数日森の中で大暴れしていまして……イエロとセーテンの不在を感じさせないだけの獲物を連日狩ってきてくれている次第なんですよ。

 ルア達が狩ってくれているのはタテガミライオンやデラマウントボアです。
 どちらも、今のコンビニおもてなしの看板弁当メニューになっている食材だけに、本当に助かっている次第です。

 ちなみに……

 イエロ達が狩ってきてくれているデラマンモスパオンですが、この肉を利用した弁当も試験的に販売を開始しています。

 色々試行錯誤したのですが……やはりこのお肉はがっつり食べるのが一番だろうとの結論にいたりまして、厚さ5センチはあるステーキ弁当にした次第なんです。

 さすがに、購入者の多くは男性なのですが、

「いやぁ、この肉肉しさがたまらないよ」
「肉がジューシィでほんとうまい!」

 と、購入してくださった皆様からは大好評なんです。

 ちなみに、このお肉は

 コンビニおもてなし食堂エンテン亭
 おもてなし酒場
 おもてなしピアーグ食堂

 などでも、
『デラマンモスパオンステーキ定食』
 として提供を開始しているのですが、どのお店でも大好評になっている次第なんですよ。

 今、パルマ生誕祭ケーキ作りを手伝いに来てくださっているラテスさんも
「店長さん、このお肉、うちの店でも使いたいです。オトの街って農作業や土木作業してる人が多いから絶対喜んでもらえると思うんです」
 そう言われたもんですから、喜んでこのお肉を提供させてもらっている次第です、はい。

◇◇

 そんなデラマンモスパオンですが、重宝しているのはお肉だけではありません。

 その骨にもですね、いろいろ効能があるそうでして、それを利用した薬品をスアがあれこれ調合しているんです。

「……私も、こんなにたくさんデラマンモスパオンの骨を使用したのは、はじめて」
 スアが嬉しそうにそう言うくらいですから、今回の狩りの成果は相当すごいみたいですね。

 で、この骨は

 披露回復
 滋養強壮

 などに特に効能があるそうでして、加えて骨の強化や、欠損の回復薬にも使用出来るそうなんです。
 欠損というと、文字通り腕や足がなくなってしまうことなんですけど、それを復元することが出来る薬の材料になりうるわけです……魔法薬には疎い僕でも、それがすごいことだというのは理解出来ます。

 この欠損回復薬は、ドンタコスゥコが
「そそそ、それはぜひとも全部購入させていただきたいですねぇ!」
 と、目の色を変えて申し出てきたほどだったんですけど、
「ならば、まずは値段交渉よねぇ」
 と、その前に不適な笑顔のファラさんが立ちはだかっていた次第です。

 ……その後、ドンタコスゥコが真っ白な灰になっていたのは、言うまでもありません。

◇◇

 それほどすごい薬を調合出来たせいでしょうか、最近のスアは僕達が住んでいる巨木の家の3階にあります研究室で鼻歌を歌いながら作業しているんですよ。
 いつもは無言でもくもくと作業をしているスアだけに、なんかちょっとびっくりなんですが……

 そんな中、もっとびっくりしているのがですね……

 その日の夜、いつものようにスアの研究室へと移動した僕とスア。
 えぇ、寝静まった子供達に気付かれないように、この研究室にある簡易ベッドで夫婦の営みを行おうとしているわけなんですが……僕の前で裸になっているスアのお尻に、大きな栗鼠の尻尾が生えているんですよ……

 いえね……コンビニおもてなしで新人研修を受けている栗鼠人のマキモさん達10人姉妹の尻尾を見て
「モフモフしてて、触ったら気持ちよさそうだなぁ」
 と、思っていたらですね、それを察したスアが、魔法で自分に尻尾を生えさせて、僕に思う存分さわらせてくれたのが最初だったのですが、
「……旦那様が、あんなに喜んでくれるなんて」
 と、スアが笑顔で言いながらですね、最近は毎晩こうして尻尾スアになって僕の前に……

 そんな、超積極的なスアに少々びっくりしながらも、その心遣いを無駄にしないように、僕は毎晩全力で尻尾スアをモフらせてもらっている次第でございます、はい。

 これはデラマンモスパオンとは無関係ですけど……まぁ、そこはご愛敬ということで。

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