163 サーヤのポシェット
サーヤのポシェットを持つジーニ様に、みんなの目が集中する。
〖はい。サーヤ。この中に色々入ってるわ。主神がマジックバックっていう特別なポシェットに変えてくれたから、色々入ってるわよ〗
そう言ってジーニ様は、優しくサーヤの手にポシェットを持たせてくれました。
「あ~!さーにゃにょ、ぽしぇっちょ~!うしゃちゃんみょ~!」
やった~と持ち上げて喜ぶサーヤに、ジーニ様が
〖サーヤ、開けてみてくれる?〗
と声をかけると
「あ~い」
と元気にテーブルの上に置いて蓋を開けます。
『サーヤはマジックバック使うの初めてよねぇ?使い方教えてあげた方がいいんじゃなぁい?』
結葉様がサーヤの頭なでなでしながらジーニ様に言ってくれます。
〖そうね。それじゃ、サーヤ、私がひとまず全部出していいしら?あとで出し方としまい方教えてあげるわ〗
ジーニ様も優しくなでなでしながらきいてくれます。みんな優しいです。だから、もちろん
「あい!おにぇがいちみゃしゅ!」
ポシェットをジーニ様にお渡しです。
〖ありがとう。じゃあ、出すわね〗
すると、ちっちゃいポシェットから、どんどんポシェットよりおっきいものが出てきます。
「ふお~?しゅごーっ」
すごいです!どんどんどんどんとっても不思議です!しかも、それはみんな
「おばあちゃんちょ、さーにゃにょ~!」
すごいすごい!ぴょんぴょんしたいけど、出来ないから、かわりに、お椅子がガタンガタンしちゃったら、あぶない!ってみんなに言われちゃいました!でもでも!
「しゅごいしゅご~い!」
ぱちぱちしちゃいます!
「どちて~?どちて~?」
どうしてこんなにいっぱいあるの?
〖ゲンよ。ゲンに、主神とシアが力を貸して、こちらの世界に持ち込んでくれたの〗
ジーニ様が教えてくれました。
「おいちゃんちょ、いりゅしゃまちょ、しあしゃま?」
おいちゃんを見ると、どうしてか、ちょっとしょんぼりしてます。こんなに嬉しいことしてくれたのにどうしてかな?
「おいちゃん?」
どうしたの?
『ごめんな。サーヤ。これくらいしか持ち出せなくて』
おいちゃんから返ってきたのは思ってもみない言葉でした。
「どちて~?たくしゃん!ありゅよ!うりぇちい!あいがちょう!」
ホントに嬉しいよ!なんであやまるの?
『そうか…サーヤ、ありがとう』
おいちゃんが泣きそうな顔でありがとうって…
「うにゅー?あいがちょーは、さーにゃぢゃよ?」
よくわかんないよ。なんで泣きそうなのかな?
『いいんだよ。とにかく、ありがとな』
「うにゅ~?わかっちゃ。さーやみょ、あいがちょ」
おいちゃんは今度はちゃんと笑ってくれました。よく分かんないけど、おいちゃんありがとう。
『サーヤ、それじゃあ、これが何か説明してくれるかしらぁ?』
「あい!」
結葉様にお願いされました。嬉しくて、みんなに見せて、説明します。だから、ジーニ様がおいちゃんの肩をぽんぽんしてるの気づきませんでした。
結葉が上手く、サーヤの気をそらしてくれたわね。ありがたいわ。今のうちね…
〖ゲン、ごめんなさいね。もう少し、時間が必要だったかしら?〗
ゲンを子供たちに気づかれないようにそっとその場から引き離す。気を利かせたアルコンとギン、バートがさり気なく私たちと子供たちの間に立って視線を遮ってくれた。
『大丈夫です。すみません。ジーニ様』
動揺させてしまったわね。
〖いいのよ。私たちも配慮が足りなかったわ。ごめんなさい。それから、サーヤの宝箱、あれにアルバムとは別に一枚だけ写真が入っていたの。どうしたらいいか決めかねてね、宝箱はあのバックには入れなかったわ〗
『そうですか。ありがとうございます』
何とか、ゲンに安心してもらいたいのだけど、伝えるべきことは先に伝えないといけないわね。
〖一応、みんなで大丈夫そうなものを選んでサーヤに渡したわ。あとは、時期を見て、みんなで相談しながらにしようと思ってね〗
『ありがとうございます。ジーニ様、皆さんはあの中身を見たんですか?』
やっぱり心配よね。
〖証拠の写真と、アルバムの中身は見せてないわ。まあ、宝箱にあった一枚だけは見てしまったけどね〗
黒髪のサーヤがおばあちゃんと写っている写真。
『そうですか』ほっ
証拠写真に関しては安心してもらえたかしらね。
〖ポシェットの中はサーヤが見ても大丈夫そうな物だけ選んだつもりよ。ゲン、ありがとう。サーヤのために。見て?あんなに喜んでるわ〗
『サーヤ...』
サーヤは今キャッキャっと楽しそうにみんなに見せている。
ゲンに同じ言葉を繰り返すことしか出来ないのがもどかしい。でも、サーヤは本当に喜んでくれている。その事はゲンにも素直に喜んで欲しいわ。
『そうか...』
〖そうよ〗
少しはほっとしてもらえたかしら?
『ジーニ様、あの中に、翡翠の勾玉…緑色の石の首飾りはありましたか?』
〖いいえ。なかったと思うわ〗
ゲンの眉間にシワがよっている。それを見たジーニ様は
〖ゲン、それはさっきのサーヤの異変に関係があると思っているのね〗
それは疑問ではなく、確信だった。
『はい。あとでその事で話があります。出来れば、バートさんにも聞いていもらって、イル様に伝えてもらいたいんです』
ゲンの話し方が完全に改まっている。これはかなり、重要なことみたいね…
〖分かったわ。後で必ず〗
『ありがとうございます』
少し、緊張はほぐれたようだけど…今は…。ぽんぽんとゲンの背を叩く
〖今は、戻りましょう。サーヤに心配させないうちに〗
『そうですね。戻りましょうか!』
ゲンは強い。自分も辛いだろうに普通に振舞おうとしている。私たちも、サーヤの為に何ができるか、考えなくては…
〖さあ、行きましょう〗
サーヤの元へ
『おう!』
二人は笑顔をまとってサーヤの元へ戻った。
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