パラナミオが珍しく…… その2
魔法使い集落にありますコンビニおもてなし3号店。
その2階にあります、魔法少女戦隊キュアキュア5ランドで、パルマ生誕祭限定の服をオーダーメイドしてきた我が家。
我が家の子供達は、長女で養女のパラナミオを筆頭に、女の子が3人男の子が1人です。
そのため、唯一の男の子であるリョータも、パラナミオやアルト、ムツキ達が来ている女物の可愛い服が大好きだった時期がありまして、自らもそれを身につけたがっていたのですが、今では普通に男の子の服を好むようになっています。
これは、リョータが、
「大きくなったらパパみたいな立派な大人になって、コンビニおもてなしの支店の店長になりたいです!」
そんな夢を語るようになった時期と重なっているような気がします。
なんといいますか……親としては、こうして子供に目標にしてもらえるのってすごく嬉しいんですよね。
そのおかげで、お店で働いている時の僕の元気が4割増しくらいになっている気がします。
そんなリョータのためにも、目指してもらえる立派な店長として恥ずかしくないように、日々頑張っていかないといけませんね。
◇◇
そんな中……
服を発注してからのパラナミオの、ソワソワぶりがすごいです。
キュアキュア5の絵本を、アルトやムツキ達と一緒に見返しては
「出来上がるのが楽しみですね」
「早くみんなで一緒に着たいですね」
満面の笑顔を浮かべながらそう言っている姿をよく見かけるようになっています。
それは、みんなで一緒にお風呂に入っているときも同様でして、
「えへへ……服、早く出来ないかなぁ」
湯船の中でそんなことを言いながら、その顔に無邪気な笑顔を浮かべているパラナミオです。
その笑顔を見ていると、僕まで笑顔になれてしまいます。
そのおかげで、リョータのおかげで4割増しになっていた僕の元気が、さらに倍加されたような気になってしまいます。
……ただ、あれなんですよね
いまだに無邪気な笑顔を浮かべているパラナミオなんですが……すでにかなり成長しています。
保護してすぐの頃に比べても、身長もかなり伸びましたし、体つきも良い意味でふっくら女性らしくなり始めているといいますか……
それでも、まだまだ細身なパラナミオですけど……ホント、いつまでこうして無邪気に、キュアキュア5の服を楽しみにしながら笑顔を浮かべてくれるのか……
そんなことを、時々考えてしまうことが多くなりつつある僕だったりします。
まぁ、これはむしろ親としては喜ぶべきことだと思うんですけどね。
もっと問題なのは……いつまでパラナミオが一緒にお風呂に入ってくれるか、という事な気がしないでもないのですが……ははは。
◇◇
そんなパラナミオですが、最近はコンビニおもてなしのお手伝いをしてくれるようになっています。
学校が冬休みに入っていますので、
「パパ! パラナミオもお店のお手伝いをしたいです!」
自らそう申し出てくれたんですよ。
コンビニおもてなしは、現在人材不足……とまではいいませんが、以前採用させてもらった人達が一斉に辞めちゃったもんですから、少々人手不足なのは事実です。
スアが精製した、チュ木人形のおかげで、その不足分をどうにか補えていますので、今のところコンビニおもてなし各支店ならびに出張所の業務は問題なくまわせてはいるのですが、やはり客商売ですので、最後はマンパワーってことになってしまうわけです。
チュ木人形は、商品の補充や清掃作業などでしたらほぼ完璧にこなせますが……これが接客となりますとやや問題が生じてしまいます。
お客様の中には、精算が済んでから
「あ、これも追加で……」
「あ、ホットデリカのあれも……」
そう言われる方が、意外と多かったりするんですよね。
そういったイレギュラーな出来事に、チュ木人形はうまく対応出来ない感じなんです。
そういったイレギュラーな申し出をされて
『至急助ケヲ求ム……至急……』
そんな声をあげながら固まってしまう、なんてことがあったって報告を複数受けている次第なんです。
これに関してはスアもすでに把握していまして、
「……今、バージョンアップしてるから」
そう言ってくれた次第です。
そんな中……自らコンビニおもてなしのお手伝いを申し出てくれたパラナミオなんですが、
「私、パパと一緒に働くのが夢なんです」
お店の手伝いをしてくれながら、笑顔でそう言ってくれるんです。
コンビニおもてなしの制服を着て、僕と一緒にあれこれ作業をこなしてくれているパラナミオ。
その一生懸命な姿を見ていると、僕のやる気・元気がさらに高まっていく気がして仕方ありません。
ちなみに、普段から和装を好んでいるアルトは
「私、魔王ビナスさんのようになんでもこなせる店員になりたいですわ」
と、言ってくれています。
いつも笑顔を絶やさないムツキはですね、
「ムツキは、ヤルメキスさんみたいに美味しいお菓子をいっぱい作れるようになりたいにゃし、にしし」
そう言って笑っています。
……こうして見ると、我が家の子供達ってみんな将来的に僕のお店を手伝いたいって思ってくれている感じなんですよ。
なんといいますか……親としましてはこれ以上の喜びはないといいますか……
「うん……みんなが大きくなって正式にコンビニおもてなしで働けるようになるまで、パパ、もっともっと頑張るからね」
そんなことを、つい口に出しちゃうことが最近増えている僕だったりするんです。
現在、バイト雇用している冒険者の人達と一緒に狩りを行い続けているイエロ達のおもてなし狩猟部門
ドンタコスゥコ達、数多の商会のみなさんを相手に一歩も引かない交渉を行ってくれているファラさんが管理してくださっているおもてなし商会
こういった各部署も問題なく機能していますし、この調子ならいつか僕が店長を引退してその座をパラナミオかリョータあたりに譲るまで、コンビニおもてなしを問題なく続けられるんじゃないかな、と思ったりするんですけど
「いかんいかん……そんな先の事を気にしていると、足下をすくわれかねないな」
そんな事を考えながら、僕は改めて気合いを入れ直しました。
すると
「パパ、どうかしましたか?」
そんな僕の様子に気がついたパラナミオが、僕の元に駆け寄って来ました。
「あぁ、大丈夫だよパラナミオ。みんなのために、パパ、もっと頑張らないとと思っただけだから」
僕は、笑顔でパラナミオに言いました。
すると
「駄目です!」
パラナミオはそう言いながら僕の手を握りました。
「え? 駄目って……」
「はい、パパは今でも働き過ぎだと思うんです……パラナミオも一生懸命お手伝いしますから、パパには少しでも休んでほしいのです」
パラナミオは、僕の手を握りながらそう言ってくれました。
……なんでしょう……心の中がジーンと温かくなった気がします。
「ありがとうパラナミオ。パパ、無理しすぎないように頑張るからね」
「はい! パラナミオも頑張ります!」
僕とパラナミオは、そんな言葉を交わしながら笑顔を交わし合いました。
……パラナミオにはあれなのですが、この笑顔のおかげで、僕はエネルギー充填120%の状態で頑張れそうです。