パルマ生誕祭に向けて その2
パルマ生誕祭の準備を進めているコンビニおもてなし各店ですが、今年はそれと平行してあることを計画しているんです。
と、いいますのも……
忘年会とパルマ生誕祭を兼ねて、コンビニおもてなしの宴会をしてみようかな、と、思っている次第なんですよ。
僕の世界のコンビニエンスストアは、24時間365日休むことなく毎日営業していました。
もちろん店員はローテーションしていますので、店員全員が24時間365日働いているわけではなかったんですけど、とにかくお店をしめることがありませんでしたから、店員みんなで集まって宴会なんて考える余地すらありませんでした。
ですが
ありがたいことに、このパルマ世界には
「週末や祝日のお休みはお店を閉めてお休みする」
その習慣がしっかり根付いているんです。
各地を旅している冒険者や商会の方々を相手にした食堂付きの宿屋や、冒険者組合は休みなしで開店していますけど、それ以外のお店はだいたい全部しまっている次第です。
郷に入り手は郷に従えとも言いますし、コンビニおもてなしもほとんどのお店が週末はお休みにしています。
そのおかげで、宴会の計画も立てやすいんです、はい。
これを、週に一度開催しています店長会議で提案してみたところ、
「へぇ、楽しそうじゃないですか」
「素敵ですわリョウイチお兄様! ぜひやりましょう!」
2号店店長のシルメール、5号店東店店長のシャルンエッセンスの大賛成がきっかけになって、他の店長達も全員賛成してくれました。
そんなわけで、コンビニおもてなし大宴会 (仮称)を、パルマ生誕祭の祝日の、僕の世界の12月、こちらの世界のトゥエの月の23日のお昼から開催することにいたしました。
お昼からにしたのは、夜は家族でパルマ生誕祭をお祝いしてくださいね、との配慮をさせていただいた次第です。
場所は、コンビニおもてなしの中でも一番広い保養施設があります、旧オザリーナ温泉郷、現オザリーナ村にありますコンビニおもてなし6号店で行うことにしました。
ここは温泉掛け流し状態なもんですから、本来川に排出されちゃう温泉を使わせてもらってコンビニおもてなし6号店の2階に温泉大浴場付きの保養施設を作っているんです。
いつもは可動式の壁で小部屋に仕切ってあるんですけど、その壁を全部取っ払いますと、かなりの数の人微雨とを収納出来る宴会場に早変わりする仕組みになっているんですよね。
これも、ルア工房のルアの巧みの技ってことですね。
参加は自由ですが、準備の都合がありますので、各支店並びに出張所の参加希望をとってもらうことにしました。
そんな中、4号店店長のクローコさんが
「どうせやるなら、目一杯派手にやりたい! みたいな!」
って言いながら舌出し横ピースしながら猛アピールをしてきまして……
そんなわけで、有志による出し物も行う事にしました。
これも、進行の都合がありますので、用紙に出欠希望を書く際に、備考欄を設けまして、
「出し物を行う方は、その内容と人数、およその所要時間」
をそこに明記してもらうことにしました。
その日のうちにこの用紙を作成した僕は、すぐに店長のみんなに配布しておきました。
◇◇
で、この紙を、僕はヤルメキスの家にも届けました。
ヤルメキスの家は、イコールオルモーリのおばちゃまのお屋敷です。
僕が尋ねますと、ヤルメキスとオルモーリのおばちゃまが仲良く一緒に出迎えてくれました。
この2人ってば、今では本当の婆娘みたいに仲良しさんなんですよね。
側でみていてそれがすっごく伝わってくるもんですから、見ているこちらまでなんだか心が温かくなってしまうんですよ。
「……そんなわけで、コンビニおもてなしの宴会を来月予定しているので、もしよかったら……」
僕がそう言うと、ヤルメキスは
「さ、さ、さ参加したいのはやまやまでごじゃりまするけど、まだ子供も小さいでおじゃりまするので……」
そう言い出した次第です。
まぁ、実はこれは想定内でした。
育休中だからといってヤルメキスに声をかけないというのは可愛そうな気がしていたので、僕が直接声をかけておいてですね、断られたら、その代わりということにしてパルマ生誕祭で食べてもらえる料理を届けさせてもらおうと、こっそり考えていたんです。
ヤルメキスの様子からして、この計画どおりに事は進んでいたはずなんです。
そう……オルモーリのおばちゃまの右手があがるまでは……
「じゃあ、ヤルメキスは欠席で……その代わりに……」
と、僕が話をもっていこうとした、まさにその時、
「店長ちゃん、ちょっといいかしら?」
そう言いながら、オルモーリのおばちゃまが右手をあげたんです。
「あの、その宴会ね、おばちゃまも参加してもいいかしら。あのね、赤ちゃんのお世話はね、おばちゃまが全部引き受けるからね、その上でね、お店のみんなの邪魔にならないように配慮するからね……だから、ヤルちゃまを参加させてあげてほしいとね、おばちゃま思うの」
オルモーリのおばちゃまはそう言ってにっこり笑っていました。
……もうあれですよね
こんなことを言われちゃったらもう、
「はい喜んで!」
意外に、言葉の選択肢、あるわけないじゃないですかねぇ。
はい、そんなわけで、ヤルメキスとオルモーリのおばちゃま+12つ子の赤ちゃんずの参加が決定した次第です、はい。
◇◇
これを受けまして……
「本支店のみんなの家族の参加もOK」ってことにしました。
子だくさんのクマンコさんや、ヤルメキス同様先日子供が生まれたばかりのツメバ、おもてなし商会のファラさんも、ピラミとその仲間のみんなを参加させたいと思われるでしょうしね。
ちなみに
現在、コンビニおもてなしの臨時店員として働いてくれているラテスさんとヨーコさんにも参加してもらうように声をかけています。
もちろんテマリコッタちゃんも参加可能ってことで。
それを受けまして……
この日の夕食の際に
「実はさ、来月の23日のパルマ生誕祭の日にね、コンビニおもてなしの宴会をすることになったんだけど、みんなも参加するかい?」
そう聞いて見たところ、
「はい! パラナミオ参加したいです!」
と、パラナミオが真っ先に右手をあげました。
ついで、
「リョータも参加したいです!」
「アルトもぜひお願いいたしたく」
「ムツキも絶対行くにゃしぃ!」
「あ、アルカもリョータさまとご一緒したいアル」
そんな感じで我が家の子供達も全員参加希望と相成った次第でございます。
ちなみに
「出し物をしてもいいんだけど」
そう加えて伝えたところ、子供達は一斉に輪になってごにょごにょ相談し始めた次第です。
すぐには決まらなかったみたいなんですけど、どうやら当日は期待しても良さそうですね。
僕は、輪になってあーでもない、こーでもないと話合いを続けている子供達を笑顔で見つめていました。
すると、そんな僕の右手を、スアがそっと握ってきました。
「……私も、いい?」
スアはそう言って首を少し傾けました。
そんなスアに、僕は、
「もちろんだよ! っていうか、もうとっくに僕の隣の席を確保してあるよ」
と、笑顔でいいました。
その言葉を聞いたスアは
「……うん、楽しみ」
すごく可愛い笑顔をその顔に浮かべながら頷いてくれました。
まだ一ヶ月近く先の話ですけど、なんだか今からすごく楽しみに思えてきた次第です、はい。